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    中高生の部活にまつわる青春ストーリーをお届けします。

    知の決闘(4)

    開成中・高 クイズ研究部

    こんな話です 知の勇者が集う開成中学・高校クイズ研究部のよっしーこと吉村(高2)。中3で出場した中高生のクイズ大会で悲願の初優勝を果たし、名実ともに、開成クイ研のエースになる。

    ▽過去の連載

    知の決闘(1)(2)(3)

    王者陥落。こんなはずでは…。

     開成に吉村あり――。中高のクイズ界に僕の名が知れ渡るきっかけとなったのが、中3の3月に出場した「KQA杯」だ。関東クイズ連合(KQA)が主催するこの大会は年度最後の公式戦。関東のクイ研はもちろん、関西の名門・灘など全国各地から約170人の中高生クイズプレーヤーが集う。

     開成高校の食堂を舞台に開かれたその年の大会。僕は、毎日5時間の自主練でたたき込んだ圧倒的な知識を武器に予選を危なげなく通過。その後も華麗な早押しを連発し、決勝にコマを進めた。

     決勝の相手は開成の1コ上の先輩と灘高の3年。そして、高校クイズ界で名の知られた難敵との戦いが僕の潜在能力を開花させた。

     早押しボタンに手を置いた瞬間、極限まで高まる集中力。「問い読み」の言葉をフル回転で解析する頭脳。膨大な知の引き出しからたった一つの正解が導き出された瞬間の快感……。あの日僕は早押しの極意を知った気がする。

     迎えた歓喜の瞬間。

     「問題。ローマのサロンに集まり『日曜日の友人たち』と称した文学者グループによって創設された、『魔女』という意味の名を持つイタリア最高の…」

     ピーン♪

     「ストレーガ賞」

     ピンポンピンポンピンポン♪

     クイズ業界では、大会で優勝を決めた正解を“ウィニングアンサー”と呼ぶ。僕が公式戦初優勝を決めたこのイタリア最高の文学賞の名は、僕のウィニングロードの始まりにもなった。

    連勝街道

     高校に進んだ僕は無敵の連勝街道を歩んだ。

     純粋な知のバトルを求め、出場するのはガチンコの早押しにこだわる大会だけ。

     夏休みは、多くの部員がかつて僕も憧れた高校生クイズに出場するけど、僕は出場を見送った。ペーパークイズと早押しで日本一を競う8月の「高校生オープン」に照準を合わせるためだ。

     同級生のライバル・長崎は高1の夏、高校生クイズの決勝まで進み、ニューヨークまで行ったが、長崎は長崎。知識量と早押し技術を磨きに磨いた僕はその年、高校生オープンを制し、高校No.1の称号を手にした。

     「10万問の引き出し」。僕の圧倒的な強さはいつしか畏敬(いけい)の念を込め、そう呼ばれるようになった。

    頂上決戦

     高校生以下の公式戦無敗のまま迎えた昨夏の高校生オープン。優勝候補として2連覇に挑んだ僕は、決勝の顔ぶれを見て興奮を抑えきれなかった。

     部内のライバル長崎、関東クイズ連合長の早稲田の江並、関西を代表するクイズプレーヤー・大阪星光学院の谷原――。高校クイズ界トップを争う“四天王”による頂上決戦。それは僕が求めていた究極の知のバトルそのものだった。

     でも……。

     この日、何かが僕の歯車を狂わせた。序盤から誤答を連発。焦りと迷いはいつもはフル回転する頭脳を鈍らせた。

     結果は屈辱の4位。高校No.1の座は5年来のライバル長崎に譲り渡すことになった。

     追い求めてきた知のバトルでの完敗。「なぜ、負けたのか……」。自問自答する僕に引退の季節が近づいていた。

     (登場人物はすべて仮名です。敬称略)

    2017年03月02日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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