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    中高生の部活にまつわる青春ストーリーをお届けします。

    青春 舞い込んだ(4)

    中京大付属中京高(愛知県) チアリーディング部

    こんな話です

    高3になり、忙しくも充実した日常を送っていたサエ。しかし、最後の全国大会を目前に控えた合宿で大きなケガに見舞われ、欠場を余儀なくされることになる。

    ▽過去の連載

    青春 舞い込んだ(1)(2)(3)

    もう踊れない。わかっていても…。

     「サエ、今年は最高の夏になりそうだね」

     「だね。でも、チョー忙しい。日本中を飛び回る、みたいな」

     7月29日、名古屋市のパロマ瑞穂野球場からの帰り道。キャプテンのミチと会話を交わす私は、充実感でいっぱいだった。

     野球部が2年ぶりに甲子園出場を決めたのだ。チア部も黄色いポンポンを持って応援したけど、打線が爆発しての快勝に、スタンドのテンションは上がりまくりだった。

     そして、野球部の甲子園出場により、3年生になった私の夏も、どこぞのエリートビジネスマンのように忙しくなることが確定した。

     だって、30日から8月3日までは大分県で夏の全国大会に向けた合宿でしょ。その後は、甲子園で野球部の応援(勝ち進めば何回も全国にTV中継☆)、8月19、20日には東京で私たちにとって最後の全国大会!

     一生忘れられない夏になる――。そう思った。

    絶望

     それは大分合宿2日目のことだった。

     3段ピラミッドのてっぺんで、しゃちほこみたいなポーズを決める大技「シャチ」の練習中に事故は起きた。3.5mの高さから下りようとしたトップの子が空中でバランスを崩したのだ。

     危ない! 下にいた私は、体が反射的に動いて、とにかく懸命に手を伸ばして……キャッチ! 

     ブチッ。変な音がした。

     気づいたら、右ひざに力が入らない。私は病院に運ばれた。

     地元・名古屋で精密検査を受けた8月7日、私は医師から無情の宣告を受けた。右ひざ前十字靱帯(じんたい)と骨の損傷。

     「全国大会への出場は無理だよ」。医師の言葉を私はぼう然と聞いていた。

    葛藤

     その日の夜、代役を務めることになった2年生のミイに私は電話をした。

     「チアは支え合うものだから、一人で強くなろうなんて思って焦らないで。自分のベストを尽くすことを意識すれば、ミイなら大丈夫」。余計なお世話かもしれない。ただ、かつての私なら不安で心がいっぱいになっていただろうと思った。

     こんな形で、最後の大会に出られなくなるのはやっぱりつらい。スピリッツの大黒柱に私は、なる、って誓ってもいた。

     だけど、副キャプテンに選ばれたときから、私は今、私にできることをする、って決めたんだ。試合ではもう二度と仲間を支えることはできないけど、ミチもこう言ってくれたよね。「まわりを見てくれるサエが、スピリッツには必要」って……。

     ミイとの電話を終えた後、私は泣けるだけ、泣いた。

     「わっしょーい! アゲアゲほいほーい!」

     8月11日、甲子園球場にサンバの陽気なリズムが鳴り響いた。野球部の全国大会1回戦。ミニスカユニホームに身を包んだスピリッツも一糸乱れぬダンスで満員のアルプススタンドを盛り上げる。

     いいねぇ。みんな、最っ高の笑顔だよ。全国中継(もちろん録画予約済み)だし、あまりのかわいさにネットをざわつかせちゃったりして☆ 

     右ひざを痛めた私は席に座っての応援だったけど、夏空の下で舞う仲間の姿はやっぱりまぶしい。そして改めて思うのだ。

     私の夏はまだ、終わらない。

     (高校生の登場人物はすべて仮名です)

    2017年10月12日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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