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    中高生(中学生、高校生)に読んでもらいたい本を決める文学賞の情報を発信します。

    「21世紀を生きる10代へ」編 発表

     先生たちが今、中高生に一番読んでもらいたいと思っている本は――。全国の中学・高校の教師が生徒に最も(すす)めたい本を選ぶ「君に贈る本大賞」(キミ本大賞)は今年度で4回目。「21世紀を生きる10代へ」をテーマにした今回は1500を超える投票がありました。大賞や得票上位の作品を、先生が寄せてくれたコメントとともに紹介します。  *年齢はアンケート回答時、本の値段は税抜きです。

    1位 君たちはどう生きるか  吉野 ( よしの ) 源三郎 ( げんざぶろう )

    • 新装版 ©「君たちはどう生きるか」(マガジンハウス)吉野源三郎(著)
      新装版 ©「君たちはどう生きるか」(マガジンハウス)吉野源三郎(著)

    あらすじ

     1937年出版。貧困、いじめ、学問など主人公の中学生「コペル君」が直面する体験や悩みを描く。母の弟にあたる「叔父(おじ)さん」がコペル君にあてた人間味あふれる手紙を、要所に挟んだ形で物語が進む。2017年8月、マガジンハウスが新装版と漫画版を出版。それぞれ50万部、200万部のベストセラーとなった。

    (新装版・漫画版各1300円/マガジンハウス、文庫版970円/岩波書店)

    • 文庫版
      文庫版
    • 漫画版 ©「漫画 君たちはどう生きるか」(マガジンハウス) 吉野源三郎(原作)、羽賀翔一(漫画)
      漫画版 ©「漫画 君たちはどう生きるか」(マガジンハウス) 吉野源三郎(原作)、羽賀翔一(漫画)

    不変の言葉は時代を超えて

     <先生から>

     「コペル君のように自分の弱さを初めて自覚するのが10代。どんな未来もそれは変わらない」(神奈川県 私立高 40代女性)

     「おじさんみたいに10代に寄り添える人でありたい」(千葉県 公立中 20代女性)

     「おじさんの言葉が説教臭くなく心に入る。『こんな古い本…』と思ったが、よく考えれば自分が読んだ時も出版から50年以上たっていた…」(東京都 公立高 50代男性)

     「私たち教員が伝えきれていないものを語ってくれる本!!」(福岡県 公立高 50代女性)

     「あらゆる世代の『生き方の指針』となる名言がちりばめられている」(東京都 私立高 50代男性)

     「新装版・漫画版が出たこの機会に、“自分に合った形”で読んでほしい」(埼玉県 私立中・高 50代女性)

     「こんな名作を読みやすい状態で入手できる今の10代が(うらや)ましい」(宮城県 公立高 40代女性)

     「たくさんのネット記事やつぶやきに探していた言葉はここにある」(神奈川県 私立高 20代女性)

     「『どう生きるか』という問いは古くて新しいテーマ」(岡山県 私立高 60代女性)

    古典と新作バランスよく

     上位には古典と新作がバランスよく選出された。

     1位の『君たちはどう生きるか』を推したのは44人で、17人の2位に大きく差をつけた。漫画版の大ヒットに加え、「次世代に読んでほしい」というテーマの趣旨にぴったりとはまったことが独走の理由だろう。若い先生から「新装版が出て初めて読んだ」、ベテランからは「読み直して良かった」というコメントがあった。火付け役の編集者・鉄尾(てつお)周一さんの狙い通りだ。

    • 2位『星の王子さま』
      2位『星の王子さま』
    • 3位『蜜蜂と遠雷』
      3位『蜜蜂と遠雷』
    • 4位『陸王』
      4位『陸王』
    • 5位『嫌われる勇気』
      5位『嫌われる勇気』

     2位の『星の王子さま』は1943年出版で、こちらも古典の部類。やはり何度も読んだという声が多い。大人も子供も考えさせる内容で、20世紀の名作として定着している。

     一方、3位の『蜜蜂と遠雷』と4位の『陸王』は、いずれも2016年出版の新作。夢をあきらめない登場人物たちの姿に心を動かされたという先生が多かった。人生訓に富む5位の『嫌われる勇気』も13年出版と比較的新しい。『陸王』同様に17年にドラマ化された影響力が大きいようだ。

     歴史小説で知られる司馬遼太郎の作品が、ベスト10に二つ入っている点にも注目したい。中でも6位にランクインした『二十一世紀に生きる君たちへ』は唯一のエッセー。歴史と向き合い続けた作家の言葉に、未来を生き抜くヒントを読み取ってほしいという、先生たちの思いの表れかもしれない。(増田知基)

    2018年03月30日 17時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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