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    年齢でも腰痛でもない、三宅宏実の「ある不安」

    メディア局編集部
    • リオ五輪の重量挙げ女子48キロ級で、ジャーク3回目で107キロを成功して、銅メダルを決めた三宅宏実。もちろん、ドーピングとは無縁だ(2016年8月6日、関口寛人撮影)
      リオ五輪の重量挙げ女子48キロ級で、ジャーク3回目で107キロを成功して、銅メダルを決めた三宅宏実。もちろん、ドーピングとは無縁だ(2016年8月6日、関口寛人撮影)

     リオデジャネイロ五輪の重量挙げ女子48キロ級で銅メダルを獲得した三宅宏実(30)(いちご)は、9月27日に「東京五輪を目指して競技を続ける」と宣言した。一方で、不安も抱えている。現在苦しんでいる腰痛や、年齢との戦いではない。ドーピングがはびこる重量挙げ界に対し、「いつしかオリンピックの種目から外れてしまうのではないか」と危機感を持っているのだ。

     確かに、重量挙げ界のドーピング事情はひどい。

     リオ五輪前に、2008年北京五輪、2012年ロンドン五輪両大会の不正が次々と明るみに出た。国際重量挙げ連盟は7月27日に、「再検査の結果、ロンドン五輪で11選手(うちメダリスト6人)が陽性反応を示した」と発表。国際オリンピック委員会(IOC)は8月31日に「北京五輪の重量挙げ5選手を失格処分にした」と発表した。リオ五輪ではロシアの国家的ドーピングが注目を浴びたが、重量挙げに限ってはロシアだけの問題でなく、度重なる違反で、たとえば、ブルガリアが大会への参加を認められなかった。

     さすがに厳戒下で行われたリオ五輪は、抜き打ち検査が厳しかった。

     三宅は7月に2回、国内で受けた。リオ入りすると、到着翌日に抜き打ち検査。さらに、試合後に定例の検査。「通常は何か月にいっぺんで、普通はこんなに多くない」そうだ。

     それでも懲りない選手はいるもので、違反者が出た。男子69キロ級銅メダルのキルギス選手が禁止薬物に陽性反応を示し、メダルを剥奪された。自浄作用は働いていない。

     「えっと思って、ちょっとびっくりした」こともある。

     三宅によると、「北京五輪で6位だった自分の順位が現在は4位になっている」という。違反による失格者が相次いだためだ。事態が動いているので最終確定ではなく、IOCのホームページはまだ6位のままなのだが、あと一人失格者が出るとメダルに届いてしまう。

     「もし3番になったとしても、オリンピックのその場でメダルをもらわないと、うれしくない。後でもらってもうれしくない。それなら、そのままでいいやと思う」

     競技の現場に全精力を注ぎ込んでいるアスリートの本音だろう。

     「五輪からなくなるかもしれない」という三宅の不安は、決して杞憂(きゆう)ではない。ドーピングが理由ではなかったが、同じ伝統競技のレスリングが五輪から外されそうになったのは、そう昔のことではない。

     「いま競技を始めている子供たちはみんなオリンピックを目指している。その夢をこわさないためにも、存続してほしいと思う。五輪には夢がつまっている」

     五輪出場4回の実力者の願いを、違反者たちはどう聞くのだろうか。

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    2016年10月01日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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