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    デジタル

    中国企業がモバイル・ブラウザーを制圧する?

    読売新聞専門委員 東一眞
    • オペラ社のロゴ
      オペラ社のロゴ

     「オペラ」という日本ではあまり知名度のないブラウザーがある。中国の企業連合がこのブラウザーを開発したノルウェーのIT企業「オペラ・ソフトウェア社」を部分買収する。買収が完了すれば、オペラ・ブラウザーは中国企業のものになり、スマートフォンなどモバイル端末でのブラウザーの世界地図が大きく塗り変わる。いったいどんな風に?

     まずは買収の事実関係から見ていこう。オペラの事業を買収する中国企業連合の中核は、オンラインゲームの開発・運用会社の「北京崑崙(クンルン)万維科技有限公司」(以下、クンルン)と、ウイルスソフトやウェブ・ブラウザーの開発会社「奇虎(チーフー)360科技有限公司」(以下、チーフー360)だ。

     そもそも中国企業連合側は、12億ドル(約1200億円)でオペラ社を丸ごと買い取る計画だったが、曲折を経て、部分買収に落ち着いた。

     中国企業連合の買収対象は、オペラ社の(1)デスクトップ・ブラウザー(2)モバイル・ブラウザー(3)各種スマートフォンアプリ――を含み、これらの事業をオペラ社から切り離して別会社にした上で買収する。買収金額は5億7500万ドル(約575億円)。オペラ社の最近の発表によると、買収金額の払い込みは今月中に終了する予定で、最終的には米国外国投資委員会(CFIUS)の承認を待って買収が決着するという。

     なぜ、中国企業はブラウザーが欲しいのか? ブラウザーは、基本的に無料で供与するものなので直接的な収益には(つな)がらないが、ユーザーを囲い込み、別のサービスに誘導することができるからだろう。

     オペラ・ブラウザーのユーザーは世界で3億5000万人という。莫大(ばくだい)なユーザーを手に入れることで、クンルンはオンラインゲームの、チーフー360はウイルスソフトの、それぞれ普及を狙っているのかもしれない。

     さて、この「オペラ」というブラウザーだが、調査会社スタットカウンター社の推計では、パソコン用ブラウザーでの世界シェア(占有率)は、2%弱(今年9月時点)とほとんど存在感がない。ところが、モバイル端末用ブラウザーでは事情が異なり、世界で10%(同)のシェアがある。

     円グラフは、スタットカウンター社調べによる、今年9月現在のモバイル端末用ブラウザーの世界シェアだ。このうち3位のUCブラウザーは、中国電子取引大手のアリババ集団傘下の企業が持つブラウザーで、世界で17%のシェアを持つ。4位がオペラで10%。これが中国企業のものになれば、中国企業が世界3、4位のブラウザーを押さえることになる。世界シェアは合計で27%と、世界の4分の1を握ることになる。

     下の地図は、国ごとに最大シェアのモバイル・ブラウザーを示したものだが、中国製のUCブラウザー(黄色)はインド、インドネシアなどアジアの新興国で最大シェアを持ち、そして今回中国企業連合が買収するオペラ(赤色)はアフリカの途上国で圧倒的なシェアを持つ。つまり、中国勢は、主にアジア・アフリカ地域のモバイル・ブラウザーを押さえることになる。

     まず途上国や新興国の市場でシェアを広げブランドを確立して先進国市場に攻め上がるという世界戦略は、後発企業の定石といえるだろう。例えば、韓国のサムスン電子が家電分野でこの戦略をとって、世界ブランドに成長した。

     こうした動きは日本にいたら気づきにくい。気が付いたら世界中にサムスン製の家電が普及していたように、気が付いたら中国企業のブラウザーとその付随サービスが世界を席巻していた、という事態が将来的に起きる可能性が高まっている。

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    2016年10月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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