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    文化

    目標は持つな、常識外だらけのジブリ仕事術

    メディア局編集部
    • トークショーに出演した鈴木敏夫さん(左)と石井朋彦さん
      トークショーに出演した鈴木敏夫さん(左)と石井朋彦さん

     スタジオジブリの名作たちが生まれる背景に、どんな「仕事術」があったのか――。ジブリの名プロデューサーとして名高い鈴木敏夫さんの下で、一から仕事を教わり、プロデュース業のすべてをたたき込まれた石井朋彦さんが、自著の出版を記念して、鈴木さんとのトークショーに出演した。

     著書は『自分を捨てる仕事術』(WAVE出版)。常識とは一見かけ離れていながら、聞けば深く納得させられる数々の「仕事術」の一部を紹介したい。

     21歳でジブリに入社し、27歳で退社した石井さんは、39歳の現在、アニメーションのプロデューサーとして、押井守監督、岩井俊二監督ら多数の作品をプロデュース。「ジブリ時代に徹底的にたたき込まれた仕事術のおかげで、今の自分がある」と話す。

     鈴木さんから教わったことはすべて大学ノートに記し、それを保管する段ボールは数箱にもなるという。著書で惜しげもなく披露された仕事法は、常識を否定するようなキーワードでつづられる。「人を肩書で判断せよ」「意見は他人のまねで良い」「急がなくてよい仕事は早くやれ」

     都内で開かれたトークショーでは「将来の目標を持つな」もテーマにした。鈴木さんは「目標を決めて努力する人と、目標を決めず、目の前のことだけをコツコツやる人がいる。ジブリを『辞めたい』と言いだす人はたいてい前者で、『このままでは自分を見失いそう』と言ってくる。理想や目標を高く持ち続けると、今の自分がみすぼらしく見えてしまう。目標がない方が毎日、楽しく暮らせるし、毎日やるべきことをしっかりやっていれば、どこに行くかはわからないが、どこかに道は開ける」と指摘した。

     著書もトークショーも「自意識を捨てる」ということが共通のテーマとなっているようだ。石井さんは「自分の創造性なんかにこだわるな、と鈴木さんにはいつも言われました」と打ち明ける。「自意識過剰の若者だった」という石井さんが、3年間、自分の意見やこだわりを捨てて、鈴木さんのまねだけをするように命じられたという逸話も。

     「自分のなかには何もない。何かあるとしたら、それは外、つまり他人のなかである」ということを身に付けさせるための修業だったというのだ。そしてこれが著作を貫くテーマであり、そのためには、人の話を聞き、他人の良いところを盗み、仲間を作ることが必要となってくる。

     ジブリの宮崎駿監督は20年の間、アニメーションの先輩である高畑勲監督をまねし続け、自分のスタイルを確立したという。

    2016年12月12日 11時53分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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