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    文化

    生田斗真と「ニセ乳」にかけた監督の思いとは?

    メディア局編集部

    「ニセ乳で映画を撮らなきゃ」

    • 荻上直子監督
      荻上直子監督

     「かもめ食堂」(2006年)、「めがね」(07年)などをヒットさせ、癒やし系映画の名手と呼ばれる荻上直子監督が新作に選んだテーマは、セクシュアル・マイノリティー(性的少数者)だった。公開中の映画「彼らが本気で編むときは、」は、生田斗真が心と体の性が一致しないトランスジェンダー役に挑んだことでも話題となっている。この映画では毛糸で編んだ「ニセ乳」が重要な役割を果たす。ニセ乳から紡ぎ出される物語とは――。

     この映画を作るきっかけとなったのは、2013年、米国から帰国した荻上監督が「トランスジェンダーの子どもに母親がニセ乳を作る」というエピソードが書かれた新聞記事を目にしたことだ。普通に生活していれば、職場や学校にきっといるはずなのに、日本ではセクシュアル・マイノリティーの存在が見えない。

     荻上監督の違和感はどんどん膨らんでいった。「これはおかしい。ニセ乳で映画を撮らなきゃいけない」

    「生田さんがかわいくて仕方なかった」

    • 自らの性にとまどう思春期のリンコ(高橋楓翔)を抱きしめる母(田中美佐子)(c)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会
      自らの性にとまどう思春期のリンコ(高橋楓翔)を抱きしめる母(田中美佐子)(c)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

     思春期を迎え、胸が膨らまないことを悲しむリンコ(高橋楓翔)に、母親が毛糸で編んだニセ乳を贈る。その後、成長し性別適合手術を受けたリンコ(生田斗真)は、恋人のマキオ(桐谷健太)とその(めい)トモ(柿原りんか)の3人で生活することに。いつしか、リンコに母のような気持ちが芽生えてくる。スーパーで買い物をし、ともに食卓を囲む3人は家族そのもの。

     ところが、3人を見る周囲の目は冷たく、ときに攻撃的だった。そんな偏見や差別に、リンコは編み物をすることで静かに闘う。そして、怒りが通り過ぎるのを待つ。生田が演じるリンコは、ロングスカートを着こなし、おだやかにほほ笑む女性的な面を強調している一方、たくましい後ろ姿や大きな手が印象的だ。

    • (c)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会
      (c)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

     「生田さんに女の子になってもらうため、撮影前に3か月間かけて、しぐさや言葉遣いなど準備を重ねた」と振り返る荻上監督。「撮影を続けるうちに、生田さんの演じるリンコがどんどんかわいくなって仕方なくなってきた。映画を見たときに、美しさの中に陰のようなものがある感じが出て、リンコらしさがより一層強くなった」

     ひとり親家庭、再婚世帯、同性パートナーシップ……。さまざまな家族のカタチが存在している現状に、荻上監督はこう断言する。「血のつながりがなくても家族はきっと成立する。この映画でそれを伝えたかった」

     違いを認めること。多様な生き方や価値観を尊重する。ニセ乳からスタートした物語は、今の時代を生きるのに必要なことを気付かせてくれる。

     

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    2017年03月14日 16時04分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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