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    経済

    東大生のロボット義足、米新興企業の登竜門で優勝

    読売新聞システム企画部 沢野未来
    • 義足を開発し、学生部門で優勝した東京大のチーム「BionicM」(現地時間14日、米テキサス州オースティンで)
      義足を開発し、学生部門で優勝した東京大のチーム「BionicM」(現地時間14日、米テキサス州オースティンで)

     米国テキサス州オースティンで開催されている世界的なテクノロジーと映画、音楽の祭典「サウス・バイ・サウスウエスト」(SXSW)で、2016年に生み出された革新的なアイデアや製品を表彰する「SXSWインタラクティブ・イノベーション・アワード」が15日に発表され、最先端のロボット技術による電動義足を開発した東京大の学生チーム「BionicM」が学生部門で優勝した。チームを率いる孫小軍さん(29)は「誰もが自由に動ける社会のために、世界一の製品を」と意気込んでいる。

     同アワードは、これまでにSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の「ツイッター」や画像共有サービスとして世界中で使われている「ピンタレスト」、民泊仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」などのIT企業が受賞しており、新興企業の登竜門として世界的に知られている。日本チームの受賞は今回が初めて。

     BionicMは、東京大学の情報理工学系研究科博士課程で自らも義足を使う孫さんら4人のチーム。同大で長らく研究してきた自動で動くロボット技術を基に、人体の動きに合わせて歩行を補助するハイテク義足を、約1年半かけて開発した。

    • モーターやバッテリーが内蔵された義足
      モーターやバッテリーが内蔵された義足

     現在広く使われている義足は、前へ進む際に自分の力で義足を動かすために疲れやすい。また、段差にぶつかると、ひざの部分が折れて前に倒れることが多いという。BionicMの義足は、モーターとバッテリーを内蔵した電動式。義足で前に進む際に、モーターの力でつま先部分が跳ね上がり、少ない力で楽に義足を動かすことができる。段差にぶつかっても、義足のひざ部分が固定され、モーターの力で体を垂直に支えて転倒を防ぐ仕組みになっている。

     中心メンバーの孫さんは中国・貴州省出身。9歳の時に骨肉腫で右足を切断したが、当時、義足は高価で買うことができなかった。松葉づえ生活を経て、24歳の時に初めて義足を使用すると、傘をさして歩いたり、食堂で食べ物をトレーにのせて運んだりなど、日常生活を不自由なく送れることに感動したという。技術者として民間企業で働いていたが、「技術を自分のように困っている人のために使いたい」と、企業を退職し、東大の大学院に入学。研究が進んでいたロボット技術を応用し、使いやすさとデザイン性の良さを兼ね備えた義足の開発に取り組んだ。

     授賞式にはチームメートの若田部亮さん(25)、菅井文仁・特任助教と共に臨んだ。自分たちの開発した義足を装着した孫さんが壇上に上がり、自分の生い立ちを語った後、「すべての人が自由に動ける社会にしたい」と声を張ると、会場中の参加者がスタンディングオベーションをし、拍手は10秒以上鳴りやまなかった。

     若田部さんは「研究レベルの技術を製品化した点を評価してもらった。受賞はとてもうれしいが、まだまだ開発途上」といい、今後も人間の動きに近づけるよう製品の改良を重ねるとともに、製造コストを抑えて安価に提供することも目指す。孫さんは「これまでは人間が義足に合わせてきたが、義足が人間の動きに合わせるようにしたい。2020年の東京五輪の時に実用化を目指したい」と話している。

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    2017年03月16日 16時52分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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