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    “文学界の藤井四段”14歳の作家デビュー

    読売新聞メディア局編集部 河合良昭
     都内の中学2年生・鈴木るりかさんが先月、14歳の誕生日に連作短編集「さよなら、田中さん」で作家デビューした。小学生対象の「12歳の文学賞」(小学館主催)で、4年生から3年連続で大賞を受賞。作家・あさのあつこ氏が「鳥肌が立つような才能」と賞賛すれば、書店員も“文学界の藤井四段”と宣伝し、発売前に増刷が決定した。発売後もわずか1週間で3万2000冊が発行されるなど、今や文学界の注目の的だ。(読売新聞メディア局編集部 河合良昭)

    会見で報道陣を爆笑の渦に

     「わしゃ、白石麻衣か!」。10月27日、東京・千代田区で行われた著書の発表会見で、デビュー作の発売前に増刷が決まったときの気持ちをこう表現し、集まった約150人の報道関係者たちを笑わせた。人気アイドルグループ・乃木坂46の白石麻衣さんの写真集が発売前に増刷が決まり、話題になったことを意識した発言だ。

     発表会の前にさらに増刷が決まったことも明かし、「いよいよ白石麻衣のケツが…、いえ、背中が見えてきました」と話して爆笑を誘った。

     鈴木さんは自宅の隣が図書館で、幼い頃から通って本に親しんだ。文字を覚える前には絵本を手に取り、小学校に入ってからは志賀直哉などを愛読していた。

     小学4年のとき、副賞の図書カードとノートパソコンにつられて、初めて小説「Dランドは遠い」を書いて「12歳の文学賞」に応募し、いきなり大賞に輝いた。5、6年でも大賞を受賞し、小説家を志すようになった。

    身勝手な大人たちをにらむ、強烈な子どもの視線

     先月、発売されたデビュー作は「Dランドは遠い」を含む5作が収められた連作短編集。物語は小学校6年生の田中花実ちゃんと母親の2人暮らしの家族を中心に、主に花実ちゃんの目線で語られる。

     鈴木さんの家族をモデルにした私小説でもなく、同世代の女の子たちに人気の恋愛小説でもない。発表会での発言のように、ユーモアを交えてテンポ良く話は展開するが、そこで描かれるのは主人公の家庭の貧困、自らの勝手な都合で離婚したり、再婚を考えたりする大人たちの姿だ。

     表題作の「さよなら、田中さん」は、期待に応えることができない小学生の息子に愛情を注ごうとしない母親の話。それでも母親を許そうとする男の子の心情は切なく、読んでいて胸が締めつけられる。14歳の中学生がこれだけの内容を書いたことに驚くが、それ以上に、「大人たちは子育てより、自分の都合を優先していないか?」と責められているようで、深く考えさせられる。

    常にネタ探し、新聞を熟読

     社会問題に着目し、それを自分の言葉で書く筆力はどこで身に付けたのか。「日常生活で目にするものすべてが小説のヒントになる」といい、電車の中で前の席に座った人、街中で見かけた人などを観察し、ネタにならないかを常に考えていると話す。

     また、小学生の頃から新聞を熟読し、小さな記事であっても、「それがなぜ起きたのか?」「今後どうなるのか?」を考え、母親と話し合っているという。

    目標は「本屋大賞」

     普段はスマートフォンでネットニュースも読み、ボーカロイド(歌声合成ソフト)の歌が好きというところは今時の中学生らしい。今は、憧れ続けている「本屋大賞」をとることが夢だという。

    2017年11月10日 16時30分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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