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(8)完璧追求する鉄仮面スキージャンプ ヤンネ・アホネン(フィンランド)28勝っても負けても変わらない鉄仮面が、トリノでどんな表情を見せるのだろうか。2年連続ワールドカップ(W杯)総合王者。今年も2位につけ、3連覇を射程にとらえた現役最強ジャンパーは、20年を超える競技歴で手にしていないただ一つの勲章、五輪での個人メダルに向け、これまでにない周到な助走をしているように見える。 “予行演習”はすでに済ませている。昨年2月、独オーベルストドルフで行われた世界選手権。大会前の2週間、W杯から姿を消した。「かぜを引いた」という理由だったが、調整は十分。フィンランド国内のジャンプ台で練習を積んでやってきた本番、ラージヒルで初めて世界選手権を制した。 そして今季は、開幕からじわじわと調子を上げ、年末年始のジャンプ週間でW杯今季初勝利を含む2勝。調子のピークが2月に来そうな雰囲気だ。 「いままで完璧(かんぺき)なジャンプは一度も飛んだことがない」と言う。大ジャンプの後にガッツポーズをしても、ヘルメットの下の表情は変わらない。W杯の優勝は32回を誇るが、勝っても「いいジャンプだったが納得はしていない」が口癖。酒を飲んでもジャンプの話ばかりというまじめなアスリートだ。 北欧チャンピオンにもなったことがある自動車のドラッグレース(数百メートルの直線を、いかに早く走るかを争うレース)は、もはや趣味の域を出ている実力。だがそれも、時には「ジャンプのことを考えず、リラックスするため」にやっているに過ぎない。7歳で始めたころから飛びたい気持ちは変わることがなく、「ジャンプはいちばん大切なもの」と言い切る。その飛型は、少年時代も今も変わらない。 世界選手権で優勝した時も、「どんなにうれしいか、言い表せない」と言いながら表情は変わらなかった。トリノでのメダルだけが「完璧なジャンプ」という言葉と、会心の笑顔を引き出せるのかもしれない。(萱津節)(おわり) ◇ 1977年5月11日生まれ。W杯通算32勝で総合は2連覇中。ソルトレーク五輪団体銀メダル。世界選手権は、昨年のラージヒルと97年ノーマルヒルで優勝。 (2006年1月27日 読売新聞)
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