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低迷ニッポン

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スピードスケート

研究・努力「確実な差」

 メダルが有望視されたスピードスケートは、男子五百メートルの及川佑(ゆうや)(びっくりドンキー)、女子五百メートルの岡崎朋美(富士急)、女子団体追い抜きの3種目で4位に入ったのが最高。「もう一歩、及ばなかった」という見方が大勢だろう。

 日本スケート連盟の鈴木恵一強化部長も、両手を胸の幅に開き、「わずかなタイム、わずかな距離、わずかな気持ち。すべてがこの差だった」と嘆き、「それが実力の世界」と完敗を認めた。五輪の勝負は紙一重で決まる。そこに各国の“情報戦”が絡み合う。

 銀メダル1個に終わったソルトレーク五輪の前には、日本も外国との交流という形で情報戦に参画していた。

 当時、長距離のエースだった白幡圭史さんを半年間、スケート大国のオランダ連盟チームに派遣した。先進的な練習を「武者修行」という形で経験させるためだ。その結果白幡さんは、ソルトレーク五輪男子一万メートルで、この種目の史上最高成績となる4位入賞を果たした。さらに青柳徹連盟強化副部長、和田貴志強化コーチを当時、それぞれオランダと米国に派遣し、指導者も養成した。

 白幡さんは「一番、感じたのは日本はすべてが個々の練習。オランダは年間スケジュールが確立されていて、『ナショナル』と名が付けば、別々のチームに分かれている選手が全員、集まった」と指摘する。

 オランダのナショナル合宿は、基本的な体作りを組織的にこなすのが主体。標高1400メートルの五輪となった前回は「高地合宿」が日本でも盛んに叫ばれた。だが、230メートルのトリノでは重要視されなかった。白幡さんは「開催地の標高と関係なく、オランダでは体内の酸素運搬能力を高める高地合宿を定期的、計画的に行っている」と言う。

 種目の距離が長くなるほど、日本は世界と歴然とした差を見せつけられた。高地合宿は一例だが、有効情報が日本チームとして生かされなかったということだ。今の時代、医科学的な情報の管理、運用が出来ないのでは、世界は遠のく。しかも現在、選手、コーチの海外派遣も途絶えたままだ。

 短距離も特徴的な出来事があった。男子五百メートルを制したジョーイ・チーク(米)は、米国五輪委からの報奨金300万円をNGO団体を通じ、飢餓と貧困に苦しむ子供たちに寄付することを記者会見で表明した。その文書は、チーク自身の手でレース直前に書かれたそうだ。目標達成に向け、自らを奮い立たせるための米国式メンタルトレーニングの一環ともいえる。また銅メダルを獲得した李康?(韓国)は、清水宏保(NEC)、加藤条治、長島圭一郎(ともに日本電産サンキョー)、及川佑の滑りを何本ものビデオに撮影し、その技術や特長をパソコンで徹底分析したという。

 日本連盟や選手らは、ライバルたちの取り組みを知っていたのだろうか。中国は若い次世代選手をカナダに送り、先進的な練習を学んだ。各国とも研究と努力を怠らない。だが、日本には具体的な動きが見えなかった。鈴木強化部長は「わずかな差」と言ったが、本当は「確実な差」が存在したのではないか。4年後に向け、まずそこを突き詰めることが重要だ。(三木修司)

2006年2月24日  読売新聞)
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