(下)次代のスター 生み出す土壌
サンパウロの南、約70キロにあるサントス。古い石畳の港町が今、ブラジル中のサッカーファンから注目を集めている。
サンパウロ州1部リーグ、サントスFCのMFパウロ・エンリケ(20)と、FWネイマール(18)の2人が話題の主。ポルトガル語でガチョウを表す、「ガンソ」の愛称で人気のパウロ・エンリケは、ジーコを超える天才司令塔との呼び声が高い。ネイマールは、ペレに「将来は私を超えるかもしれない」と言わしめた逸材だ。メディアから「国内最強」と評されるサントスの攻撃サッカーを担い、W杯代表入りも熱望された。
若手起用の伝統は有利だと語るユースチームのナルシーゾ監督
2人が育ったサントスの育成は、他のビッグクラブとは一線を画す。育成部門を統括するベベート・エスティバウ氏は「体の大きさや体力を重視しているクラブも多いが、サントスは、小さくてもやせていても除外しない。技術やセンスといった、サッカーの本質を重視する」と明かす。そして13歳までは、徹底してフットサルで技術を磨く。
さらに、トップチームが若手を積極的に起用する伝統もある。1958年W杯に17歳で出場したペレを生み、最近では現代表FWのロビーニョらが育った。元代表MFでもある、ユースチームのナルシーゾ監督は「選手にとって、ベンチに座っているだけでなく、トップの試合に出るチャンスが多いというのは有利だ」と胸を張る。
パウロ・エンリケ、ネイマールという新星の登場に熱狂するファンの姿は、フィジカル重視の「欧州化」に対する反発とも受け取れる。国内の大小様々なクラブが、それぞれの個性と伝統を失わず、才能ある選手を次々と生み出す。サッカー王国ブラジルの懐が、とてつもなく深いのは確かだ。(野崎尉、写真も、6月3日掲載)
(2010年6月11日 読売新聞)
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