(下)経済成長 示す好機
貧民街のモール 大型TVが好調
推定50万人が住むヨハネスブルクの貧民街アレクサンドラに昨年5月、巨大ショッピングモールが開店した。集客数は月200万人。サッカー・ワールドカップ(W杯)を控え、最新の大型テレビが売れている。客は「1万ランド(約12万円)の商品を2〜3年のローンで買っていく」(店員)という。経営者(52)は「この地域にここまで購買力があったとは」と驚く。
近くに住むジョハンナさん(65)は「アパルトヘイト(人種隔離政策)時代と比べると生活は格段に良くなった」と目を細める。夫と死別し、スーパーで働きながら女手ひとつで4人の子供を育てた。収入の大半を教育費にあて、全員を大学にやった。「銀行員になった娘らがプレゼントしてくれた」と、自慢の大型冷蔵庫の前で笑顔を見せた。
南アフリカはアパルトヘイト体制崩壊後、経済成長で国民所得が底上げされた。政府によると、月収約2000ランド(約2万4000円)以下の最貧層は2001年に40%を占めたが、昨年は19%に減少。日本円で月収約3万〜7万円の中所得者層が、国民のほぼ半数を占めるようになった。
アフリカ大陸では、産油国ナイジェリアやアンゴラ、観光国ケニアでも、中所得者層が増えているという。資源開発による経済成長の成果だ。
植民地支配から17か国が独立した1960年の「アフリカの年」から半世紀。アフリカはいま、「巨大な新興市場」として熱い視線を浴びる。大陸人口は昨年、10億人を超えた。高い犯罪率、エイズ禍など負の側面は残るが、開発の足かせだった地域紛争は過去20年で3分の1に減った。
アフリカ大陸で初めてのW杯は、こんな変化を印象付ける格好の機会となる。招致運動は、南アのマンデラ元大統領が先頭に立った。国連開発計画の親善大使を務めるコートジボワール代表のドログバ選手(32)は、「世界から遅れていると思われがちなアフリカが、新たな一面を示す好機だ」と意気込む。アフリカ諸国でサッカー熱は高く、ドログバやエトー(29)(カメルーン)ら多くのスターを輩出してきた。
観戦者延べ300万人、テレビ視聴者同260億人を見込むW杯。アフリカ全土の期待を担い、大陸史上最大のイベントが開幕する。(ヨハネスブルク 中西賢司、写真も、6月6日)
| アフリカ経済 |
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| 2000年代、石油やニッケルなどの資源開発が進み、さらに価格高騰が追い風となって急成長した。国連統計などによると、03〜07年、アフリカ大陸53か国の経済成長率は平均年約12%。一昨年の世界同時不況で減速したが、今年は多くの国で回復が見込まれる。 |
- (下)経済成長 示す好機
(6月10日) - (中)人種隔離 知らぬ若者
(6月8日) - (上)人種差別と闘うシュート (6月4日)

