ベストなチームが勝った
決勝にふさわしい素晴らしい試合だった。どちらが勝ってもおかしくなかったし、お互いに自分の国のスタイルを出し合って戦ったところが、やはりW杯だ。
オランダは非常にいい試合の入り方をした。うまい選手に対しては、距離を詰めて守るのがサッカーの鉄則で、オランダは体の強さも生かし、そういう守備をすることで、スペインの良さを消した。ただ、相手のそばで守ると肉体を酷使する。後半以降、これがボディーブローのように効いてしまった。それでも、ボールを奪うとロッベンの驚異的な速さを生かして素早く仕掛ける戦いは見事だった。
スペインの勝因は、60分のヘススナバスの投入だ。彼が右サイドに入ってドリブルを仕掛けたことで、オランダは対応に苦しんだ。87分に入ったセスクもいい仕事をした。デルボスケ監督には試合の流れを読む力があったし、起用に応えられる選手がたくさんいる選手層の厚さも大したものだ。強豪国の伝統の力を感じた。
国際サッカー連盟は今大会、技術のある選手を危険な反則から守ろうというレフェリングを促していたように感じるが、その方針もスペインには有利に働いたと思う。この日のスペインは決してベストの試合をしたわけではないが、それでも勝った。勝ったから強いのではなく、ベストなチームが勝ったという印象だ。
この優勝で、日本でもまたスペインサッカーの信奉者が増えるかもしれない。ただ、日本代表のことを考えると、これまで欧州出身の監督の後は南米出身、そしてまた欧州というように迷走してきた感がある。サッカー先進国が、よその国をまねることはない。日本サッカー協会も、今大会をきちんと総括して、独自のスタイルを確立すべく、人づくりから取り組んでほしい。(元ヴェルディ総監督)
(2010年7月12日 読売新聞)
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