Jとの連携深まらず
次期監督 クラブ束ねる「ビッグ・ボス」期待
「組織だけでは限界があって、個の力を高めた上での組織力が、勝ち抜くには絶対に必要不可欠だ」と、日本協会の川淵三郎会長は総括した。
アジアと世界、親善試合とW杯。舞台が変われば、体のぶつかり合いによるダメージが格段に違うという以前からの問題が改めてクローズアップされた。強さという点で、水準に達していたのは、今回も中田英(ボルトン)と三都主(浦和)の2人だけだった。代表チームというより、Jリーグの現在の地位を如実に表した結果とも言える。
フィニッシュの精度の問題もある。しかし「日本人FWの育成」を掲げた磐田は監督が辞任し、強力な外国人ストライカーが速攻を担うチームが上位にそろう現状で、代表の得点力不足を嘆くのは無意味だ。
「1年間、肉体的強さに加え、技術的な部分をクラブで培ってほしいと言ってきたが、足りない選手もいた」。敗退後、ジーコ監督は嘆いた。しかし監督は日本を離れることも多く、Jクラブと積極的に意思疎通を図る姿勢は見られなかった。代表チームとJクラブの連携は深まらず、「肉体強化と技術向上」という目標は、日本サッカー界共通のテーマにはならなかった。
ただ、3試合の結果だけで、この4年間の歩みを全否定する必要はない。
「どんな強い相手でも名前に負けない強い気持ちを持てた」と監督は進歩を語った。国際経験が豊富とは言えない玉田(名古屋)と巻(千葉)がブラジル戦の突然の先発で見せた奮闘は、その証明となった。
個の成熟を重視する強化も、代表チームとしての練習時間がなかなか取れない「欧州組」を多く抱えた中では現実的な手法。組織力の強化のようにすぐ効果が生まれる手法ではないが、選手個々の能力向上という日本がこれまで避けてきた根本の課題に向き合うことは、ジーコ監督ほど肝の据わった人物でなければ、できなかっただろう。
豪州戦の「魔の8分」に象徴される今回の惨敗は、出直しを図る意味では、これ以上ない「目覚まし」。次期監督とされるオシム氏には、シンプルで明確なチーム作りの指標を掲げ、利害が対立しがちなJクラブを束ねる日本サッカー界の「ビッグ・ボス」としての存在感を期待したい。(助川武弘)
(おわり)
(2006年6月28日 読売新聞)