20万人超す聴衆に「皆さんの勝利」とオバマ氏【シカゴ(米イリノイ州)=白川義和】米国の次期大統領に決まった民主党のバラク・オバマ上院議員(47)は4日深夜(日本時間5日午後)、地元シカゴ市中心部の公園「グラント・パーク」で勝利演説を行った。 オバマ氏は20万人を超える聴衆を前に「米国に変革が訪れた」と宣言。イラク、アフガニスタンでの戦争や金融危機、環境問題を次期政権の最優先課題に挙げ、国民の結束と協力を求めた。 米CNNテレビによると、オバマ氏は5日午前(日本時間6日未明)までに、当選に必要な選挙人270人を大きく上回る338人を獲得した。 オバマ氏は勝利演説で、大勝の喜びと重みをかみしめるような落ち着いた口調で、「米国の民主主義の力を疑う者がいるとするなら、今晩(の勝利)こそが、その答えとなった」と強調。人種や年齢、貧富、党派の違いを超えた支持を得たことに「皆さんの勝利だ」とたたえ、謝意を示した。 一方で、「今夜はお祝いでも明日には最も重い課題が待っている」と表情を険しくし、アフガンやイラクでの戦争や金融危機などを列挙。住宅費や教育費、医療費の支払い、新エネルギーや雇用の確保、同盟関係の修復も例に挙げ、山積する課題をブッシュ政権から引き継がねばならない厳しい現実を明示した。 オバマ氏はこうした課題の克服について、「我々は一丸となって必ず成し遂げる」と国民を鼓舞。公園を埋め尽くした聴衆が大歓声を上げ、「イエス・ウィ・キャン(そうだ、我々にはできる)」と唱和すると、ようやく笑顔がこぼれた。 諸外国に対しては「米国のリーダーシップの新たな夜明けは目前だ」と述べ、一国主義的な姿勢で批判を受けることの多かったブッシュ政権からの変化を強調。「我が国の本当の強さが武力や経済力ではなく、民主主義と自由、機会、決して朽ちることのない希望にあることが今夜改めて示された」と胸を張った。 最後に、米国が人種や性別による差別に取り組んできた歴史に触れながら、次世代に向けて「まだやるべきことがたくさんある」と呼びかけ、「イエス・ウィ・キャン」の精神で挑戦し続ける重要性を訴えた。 ◇ バラク・オバマ氏が4日深夜、行った米大統領選勝利演説の要旨は以下の通り。 米国にあらゆる可能性があることを疑い、建国の父の夢が生き続けていることを信じず、民主主義の力を疑う者がいるとすれば、今晩(の勝利)こそが、その答えとなった。今回こそ違いを実現できると信じ、(投票するために)並んだ人たちの、この国が目にしたことがない規模の列が、その答えを示したのだ。 答えとは、我々は民主党や共和党、黒人や白人、そしてラテン系、アジア系といった州や個人の寄せ集めではなく、アメリカ合衆国であり、これからもそうだということだ。今、米国に変革の時が訪れたのだ。 だが何よりも、この勝利はあなた方の物だ。私は決して最有力の候補ではなかった。何百万人ものボランティアのお陰で勢いを得た。人民の人民による人民のための政治が、滅びていないことを証明したのだ。 我々の前に立ちはだかる試練は極めて大きい。(イラクとアフガニスタンの)二つの戦争、気候変動、そして経済危機。道のりは長く、上るべき坂は厳しい。1年や1期(4年)では、成し遂げられないかもしれない。だが米国が今夜ほど希望に満ちたことはない。約束しよう。我々は、必ずそこにたどり着くと。 今夜、偉大な勝利を果たしたのは民主党で、私を支持しなかったあなた方の票は得られなかったかもしれない。しかし、私はあなた方の声に耳を傾けていく。私はあなた方の大統領にもなる。 世界を破壊しようとする者は打ち倒し、平和と安全を求める者は支えよう。米国の真の強さは武力や経済力ではなく、理想を実現する力――民主主義と自由、機会、決して朽ちることのない希望にある。 今夜、私の胸に去来したのは、アトランタで投票をした106歳の女性のことだ。彼女は、女性であることと(黒い)肌の色を理由に、投票することはできないと言われた。 私は彼女が1世紀にわたり目にして来たことに思いをはせる。全米が大恐慌の絶望に包まれた時、彼女は国家がニューディール政策により、恐怖を克服するのを目にした。独裁国家が世界を脅かした時、人々が立ち上がり民主主義が守られるのを目にした。 アトランタ出身の(キング)牧師が「我々は乗り越えねばならない」と人々に訴えた時も、そこにいた。 そして今年、この選挙で、彼女は1票を投じた。106年を米国で過ごし、彼女は米国がどのように変われるのか知っている。「イエス・ウィ・キャン(そうだ、我々にはできる)」 (2008年11月6日01時34分 読売新聞)
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