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    ハーバード大ジャーナリズム研究所ニーマン・ラボの報告を読売新聞が邦訳しています。

    伝統的メディアもSNSも米国民の信頼は低く――最新世論調査

    リカルド・ビルトン(ニーマン・ラボ特別寄稿者)
    • 米メディアは国民からの不信に加え、新たな分断「フィルターバブル」にも直面している(画像はイメージ)
      米メディアは国民からの不信に加え、新たな分断「フィルターバブル」にも直面している(画像はイメージ)

     米国民が今のニュース報道の体系をいかに、信頼しておらず、自分たちが十分な情報提供を受けていないと考えているか。厳しい現実が、また一つの世論調査結果で浮き彫りになった。

     ギャラップ社とナイト財団が最近、「アメリカの視点――信頼、メディア、民主主義」と題して行った世論調査によると、米国民はかつてないほど多くのニュースの供給源に接しているが、供給源が広がったことで十分な情報を得ることが容易になるどころか、かえって難しくなったと述べている。客観性と信頼性の点で伝統的メディアに低い点数を付ける人が相変わらず多かった一方、新興の巨大な技術系メディアの評価も決して芳しくはなかった。

     調査で明らかになった主な点を列挙してみよう。

    ――米国民は、メディアは重要な仕事と考えているが、既存の報道機関はうまく機能しているとは思っていない。

     回答者の大多数(84%)が、民主主義においてメディアが重要な役割を果たすと認める一方、報道機関に「大変良い」あるいは「まあ良い」という印象を持つ人は33%にとどまった。

     報道機関に好意的な見方をする人ほど、情報の量が増えれば自分も十分な情報を得ていると考える傾向がみられた。それでも58%の人は、ニュース供給源が広がったことで情報を得るのはかえって難しくなると答えた。十分なニュース供給源があることで偏見に陥るのを防げると考える人は半数程度で、1世代前の66%から後退した。

    ――報道機関についての見方が割れる背景には、やはり政治の二極化がある。

     民主党支持者の54%は報道機関を好意的に見ているが、共和党支持者では15%にとどまった。民主党支持者と比べて共和党支持者の間では、現在の報道機関の主要な問題点として、報道の偏向や扇情的意図、イデオロギー色を挙げる人の割合が際立って高かった。

    ――米国民全体でも、報道の偏向が以前より目立つと考える人が多い。

     報道に「相当程度の」政治的偏向がみられると感じる人は45%で、1989年の25%と比べて大幅に増えた。一方で、客観的な報道機関の名前を挙げることができるという人は半分以下だった。

     名前を挙げられるとした人のうち、共和党支持者の60%はFOXニュースと答えた。民主党支持者はそれほど画一的ではなかったが、CNNや米公共ラジオ(NPR)がしばしば挙がった。

    ――フェイスブックとツイッターがニュースに与える影響については全般に否定的な意見が目立った。

     ソーシャルメディアについて、過去10年間で報道機関を巡る環境にプラスの影響を与えてきたと答えた人は42%だけだった。多くの人は、「フィルターバブル(※)」の問題を懸念していると答えた。ソーシャルメディアによるアルゴリズム分析を駆使したニュース選別は、米国の民主主義に「重大な問題」を突きつけていると答えた人は57%に上った。

     ただ、フィルターバブル問題にどう対処するかでは意見が大きく分かれた。ソーシャルメディアによるニュース提供の仕方に関して規則や制限を設けるべきという回答が49%に達した一方、設けるべきでないという人も47%いた。

    (※)フィルターバブル ネット上のサイトが、情報を利用者の好みに合わせて「フィルター」にかけ、選別を行うことで、利用者は自分と異なる意見から隔離され、利用者自身の作った「バブル(泡)」の中に閉じこめられてしまうという意味の新語。

    (1月16日配信記事から抜粋。全文は こちら

    プロフィル
    リカルド・ビルトン( Ricardo Bilton
     ニーマン・ラボ特別寄稿者。ネットメディアの記者として、デジタル・メディアのビジネス全般を担当してきた。この他にも、雑誌や海外の新聞など数々の媒体に多数の寄稿がある。休日の映画観賞は生活の一部だ。

    2018年02月15日 10時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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