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    東洋経済オンライン

    メディアのあり方問い直そう…東洋経済オンライン(後編)

    前編から続く

    編集権を手放す是非を考える

    • 「キュレーションサイトと上手に付き合っていきたい」
      「キュレーションサイトと上手に付き合っていきたい」

    ――東洋経済オンラインで展開したキャンペーン「硬派なニュース、もっと読もう」について、もう少し深くお聞きしたいと思います。

     個人的には今回のキャンペーンの趣旨に100%共感しています。内部へのアピールという狙いについても「なるほど」と納得しました。しかし、読者に対してどのくらいキャンペーンの実効性があるかというと、そう簡単には読者やユーザーは変わらないのではないかと思います。これを変えようとすると、パブリッシャーのビジネスのあり方自体を考えないといけないのではないでしょうか。

     要するに、編集権をプラットホーム、キュレーションサイトに渡すということについて、そろそろ真面目にその是非を考えるべきではないのか、ということです。

     今はページビュー(PV)にしても、どういう風にして記事が読まれたかは簡単に計算できるようになりました。どこのサイトから読みに来ている人が多いのか、検索して読んでもらっているのか、などです。記事が自分のサイトの外で、どういう人にどういう風に読まれているかということが分析できます。その結果、仮に自分のサイトのPVが3億となったときに、1億分が外部からの流れてきたものだが、これがなくても2億PVを稼げて、それでサイトが成立するなら、他サイトに記事を渡さないという道筋が見えると思うんですね。

     でもそうなったら、実はメディア側よりもキュレーションサイトのほうが競争は激しいし、彼らには新しいテクノロジーもあるので、もっと面白いもの、もっと人気のあるものを求めて、彼らは新しいことを始めるでしょうね。新しいものは必ず出てきますよ。結果的には、今僕たちが付き合っているキュレーションサイトとは違うところがホットになってきて、今度はそことどう付き合うかという問題になると思います。

     確かにおっしゃる通り、メディアから見たら色々なところに記事を搾取されているように見えるんですけれど、「搾取している」と言われるプラットホームの立場から見ると、自分たちの周りにたくさん敵がいて、付き合っている僕らメディアは浮気をしている。「できたらうちだけに配信してほしい」という思いがあるかもしれないが、メディアはあらゆるところに配信している。見方によって、状況は違うと思いますね。だから、うまくやっていかないといけないんです。

     たとえば、「ヤフー」は配信を受けた記事の見出しを勝手に改変しています。彼らはすべての記事に13文字の見出しをつけています。それに文句を言うばかりではなくて、必要なら13文字をこちらでつけて配信するという交渉もあるでしょう。彼らを切り捨てるのではなく、うまく付き合っていく方が得だと思います。

    メディアの厳しい現状をどう捉えるか

    • 「全ての情報をただ守るだけが正しい道なのか?」
      「全ての情報をただ守るだけが正しい道なのか?」

    ――彼らの技術力、革新力はものすごいものがある。それはとてもメディア側も対抗できないわけです。だから、どんな新しいサービスがでてくるかも想像できない。となると、全部の情報を自分たちでただ守っているだけが、正しい道かどうかも分からないということですね。

     僕たちが百貨店だとしましょう。ブランドの総本山としては、自分たちのデパートがあっていいんです。「将来はすべて分散型メディア(※)になる」と極論を言う人はいますけれど、ブランドの総本山は残すべきです。ただ、お客さん全員に「デパートまで買い物に来て」と言ったら、売り上げはなかなか上がっていかないですよ。だから、「アマゾン」にも出店するし、ほかのWebモールにも出店する。なぜかというと、デパートには来たことがなくても、良質な品物(記事)を僕たちのブランド名で買うという経験を積み重ねてくれれば、次のステップとして、いつかはデパートに来てくれると思います。

    ※分散型メディア=自社のサイトだけでなく、ヤフーやFacebookなどのプラットホームや、他社メディアにも記事などを提供し、様々なルートで自社コンテンツを流通させる手法のこと。

    ――問題は、この状況を山田さんのように楽観的にみられるかどうか、です。

     悲観的な人から見ると、紙の部数も落ちているし、出版部数もどんどん落ちて、売り上げも落ちている中で、いつまで僕たちが耐えられるのか、と不安を持っている人もいますね。確かに状況はものすごく厳しいです。ですが、「会社をやっていくためにはコストがかかっているので、それをまかなうためには読者の皆さんにこの料金を払ってもらいます」と主張してもうまくいきませんよ。となると、Webビジネスは本当に小さいビジネスであって、もうマスメディアとも呼べなくなるかもしれません。逆に言うと、マスメディアとして今の規模感を前提にしたら、それに見合う人員というのは、Webビジネスとしてはものすごく多すぎる。

     だから、マイナス部分をすべてオンラインで負わせるのではなく、何か新規事業を模索しなければなりません。たとえばセミナー事業です。ターゲットを絞った客層を相手に、もっと有料でやれるかもしれないと検討しています。そういう施策を重ねながら、売り上げを確保していきたいと思います。

    2016年10月25日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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