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    長澤秀行JIAA常務理事

    新聞社に欠けている意識とは…JIAA(後編)

    前編から続く)

    「情報マグニチュード」という概念

    ――今年7月の参院選では、自民、公明の与党が改選定数の過半数を取って、大勝したと思います。

    • 「小さなニュースでも、情報マグニチュードがあれば一気に広まる」
      「小さなニュースでも、情報マグニチュードがあれば一気に広まる」

     いや、その3週間後に行われた都知事選挙を戦っていた小池百合子さんに負けたんですよ。自民党は選挙結果では勝っているが、情報世論的には、参院選の話題よりも小池候補の話題の方がずっと多かった。そういうことです。その前に舛添前知事の話題があって盛り上げた後を、小池さんが継いだ形ですけれど、彼女は直感的にやっている感じですね。テレビキャスターをやってきただけあって、(ネット上の話題を独り占めするような)そのあたりの感覚がすごくある。

    ――なるほど、そういうことも気にして、政党が選挙対策をやるようになってきたということでしょうか。『情報参謀』にもありますが、権力がぐりぐりと力任せに圧力をかけてくるのではなく、ある種のソフトパワーを使って、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やネットを含めたメディア上での話題をコントロールしようとし始めているということでしょうか。そうなると、私たちの権力監視の方法も変わってくるのでしょうか?

     そうだと思います。安倍首相がスーパーマリオを演じて、ネットでも「日本のパワーはすごい」と話題になりましたが、あの演出にも裏、つまり権力側の思惑はあるはず。

     僕は不謹慎なたとえかもしれないが、「情報マグニチュード」という言葉を作りました。情報そのものが持っているマグニチュードというパワーがあって、それが大きいと情報が大きな震動となって伝わっていきます。ソーシャルメディアは情報マグニチュードがあるニュースを瞬時に広げてしまう。小さなニュースでも、情報マグニチュードがあれば広がります。だから、ソーシャル上では、ある話題にワーッと火がついて、それが世界の政治や、経済にまで影響してしまう。

    ――安倍マリオの情報マグニチュードは相当大きかったということですか?

    • リオデジャネイロ五輪の閉会式に登場した安倍首相(2016年8月21日=竹田津敦史撮影)
      リオデジャネイロ五輪の閉会式に登場した安倍首相(2016年8月21日=竹田津敦史撮影)

     そうです。そして新聞社も、情報マグニチュードをどうやって拡散させ、長続きさせるかというノウハウが必要になってきている。そのための、専門記者の育成が必要になってくる。その一方で、ネットの中で起こっていることも、同時にもっと監視する必要がある。出された情報を監視するということと、情報の出し方を覚えるということを同時にしなければなりません。ある情報を、ソーシャルに出した時にどういう反応が来るのか、肌で感じるということです。

    ――権力側はすでにそうしたことを始めている。監視する新聞社も、その方法論を実践的に理解しなければならないということですか?

     そうです。だから僕は、ある人から「バズフィード(※)がY社と組むらしい」と聞かされた時に、Yとは読売のことだと思い、「それはいいことだ」と瞬間的に思いました。後から、Yはヤフーだと分かり、がっかりしたのを覚えています。

    ※バズフィード=米国のウェブメディア企業。2016年に日本版の運営もスタートした。

    2016年12月06日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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