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    産業技術総合研究所

    新聞社に求められるエレクトロニクス…産総研(後編)

    前編から続く)

    値札や時刻表が電子化しつつある

    ――新しい技術によって、すでに実用化がなされているという話でしたが、どういうことですか?

    • 時刻表や値札が電子化しつつある(イメージ)
      時刻表や値札が電子化しつつある(イメージ)

     実際に商品になっているものとして、電子値札などがあります。ただし、まだ一般向けではありません。ビジネス仕様なんですね、今のところ。一般仕様にするには安くしないとダメなので、まだまだ厳しいんですよ。日本ではまだあまり多くは見かけませんが、海外ではそこそこ出るようになってきています。

     白い部分、黒い部分、赤い部分が、先ほど言ったようにひっくり返って表示されます。電子ペーパーだということを知らなければ、ただの紙にしか見えないと思います。今までは、(商品の入れ替えなどで)印刷した値札を貼り替えていましたが、これはリモコンでさっと書き換えるだけなので、毎日書き換えても、タイムサービスだけ書き換えても、大した手間はかかりません。値札はこれでいいんですよ。誰も値札を動画で見たいとは思わないでしょ?

    ――これは、ほかにも用途がありそうですね。

     まだ実現はしていませんが、交通機関からの要請は大きいですよ。彼らは時刻表の差し替えに大変な労力をかけているんですね。多くても年1~2回程度の書き換えですが、その1回の書き換えにかかるコストが莫大(ばくだい)なんです。全部の駅や停留所の、全部の時刻表を徹夜で替えるわけですから。だけど、貼り替えのコストがかかり過ぎるからと言って、液晶ディスプレイに電圧をかけ続けて表示するとなると、それも電気代がかなりの高額になると思います。つまり、こうした表示物がもっともコンセプトにはまるんですね。

    ――面白いですね。そうすると、先ほど言ったように、読者の手元の新聞が一日2回差し替わるというのも、あながち無理な話ではないような気もしますが。

     それを実現しようとすると、別の問題が出てきます。表示の差し替えのためには結局、中央から一斉に差し替える内容を配信しないといけません。時刻表の表示は、各駅員が一つ一つ対応してもなんとかなりますが、一斉となると別の配信システムが必要になります。たいそうな無線システムになるかもしれません。

    電子化は街角の広告から

    ――なるほど。では、カバンの中の電子新聞が勝手に夕刊に替わっているというのは難しいかもしれませんが、家に置いてある通信機器にかざすと、次の版の新聞に替わるというのはどうでしょう?

    • 「コンピューターを持ち歩くという生活は今後も変わらない」
      「コンピューターを持ち歩くという生活は今後も変わらない」

     その可能性はあります。今でもすでにスマホという小型パソコンを持ち歩くことが当たり前になっているので、どういう形であれ、コンピューターを持ち歩くという生活は今後も変わらないと思います。それが、電子ペーパーなのか、腕に付けるものなのか。僕は電子ペーパーは個人が持ち歩くデバイスではなく、まず、街角にある広告の類いから普及が始まると考えています。

    ――そうすると、やはりニュースを掲示するものは、ウェアラブルなコンピューターが進化した形になりそうですね。つまり、腕や服に貼りつけられたようなデバイスかもしれません。ところで、こうした技術が世の中に出回るのはいつぐらいと考えればよいですか?

     時期を言うのは難しいですね。技術的にできるのと、それにお金をいくら出しますかというのは別の問題なので。技術は結構できるようになっていますけれどね。

    ――たとえば先ほどの電子値札や電子時刻表などは、鉄道会社や流通から要望は来ているんですよね。あとは、コストが見合うかどうかということですね?

     まだ値段が高いですからね。今のコストなら、人が貼り替えた方が圧倒的に安いんですよ。一部導入しているお店は、そのことを宣伝材料に使っている段階です。そもそも日本のお店ではまだ導入されていないですから。

    2017年01月31日 11時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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