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都市に鉱脈

一見ゴミに見える廃棄物。近代的なリサイクル工場から現代の鉱石は生まれる(東京・大田区城南島のリーテム東京工場で)
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精密機器の基板などから取り出され、鋳込み作業を終えたばかりの金塊。1本およそ3000万円(秋田県小坂町で)

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小坂製錬に集まった精密機器の基板。鉱石にかわって金やレアメタルを取り出す資源だ

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小坂鉱山の跡地で金属リサイクルに力を入れている小坂製錬

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日本政府が備蓄する希少金属のクロムを含む合金。ハイテク産業の将来には欠かせない資源だが、限られた生産国からの輸入に頼っているのが現状だ。今後、安定供給のためにリサイクル率を伸ばしていくことが必要だ(茨城県高萩市の独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構備蓄倉庫で)

パソコンから 携帯から お宝ザクザク

 現代の「山師」は、工場にいた。

 羽田空港に着陸する飛行機のごう音もかまびすしい東京・大田区の城南島。白が基調の近代的な装いのリサイクル工場内を、フォークリフトが目まぐるしく走り回る。持ち上げて運ぶのは、パソコンや自販機などから取り出された電子基板。一見粗大ゴミの塊が、実は貴重な資源の山なのだ。

 「都市鉱山」の考え方が、鉱物資源の乏しい日本で注目されている。金やプラチナなどの貴金属類や、パラジウム、インジウムなどハイテク産業に欠かせない希少金属(レアメタル)を廃棄物から取り出し、再利用する。電子基板類はその最も有力な鉱脈だ。

 とりわけレアメタルは、主要輸出国・中国が猛烈な経済成長で自国の需要に回すようになるなど、国際事情も絡んで、値段は高騰している。「関心と知識、そして手間を惜しまなければ十分採算がとれる」(都内のリサイクル会社役員)時代となって、従来は捨てられていたパソコンや携帯電話などにも、熱い視線が当てられるようになった。

 本物の鉱山が「都市鉱山」に生まれ変わったケースもある。12年前に約130年の採掘の歴史に幕を下ろし、閉山した秋田県小坂町の「小坂製錬」(旧小坂鉱山)。鉱山時代の巨大な製錬施設を利用して、いまは電子基板からの金属回収作業を行っている。

 基板を粉砕し、輸入鉱石とともに炉で製錬。改めて銅や金銀、パラジウム、ビスマスなどの商品にする。金の場合、普通の鉱山では1トンの鉱石当たり数十グラムしか採れないが、電子基板からは1トンで500グラムも採れることがあるという。まさに宝の鉱脈だ。

 経済産業省・資源エネルギー庁も「需要増が続くと見込まれるレアメタルの量の確保には、新たな輸入先の開拓や代替材料技術の研究はもちろん、『都市鉱山』のリサイクル率の拡大が重要」と後押しする。

 日本産業を支える〈鉱石〉は、日常生活の中に眠っている。

カメラとペン・小林武仁

2006年8月30日  読売新聞)


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