20万冊の「善意」
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| 全国から送られた大量の書籍が、町の集会施設の床いっぱいに広がる(9月24日、矢祭町の山村開発センターで)。特産の杉で作った札に寄贈者の名前が書き入れられ、図書館に掲示される予定だ |
本は買いたし、先立つものはなし――。財政難の福島県矢祭(やまつり)町が費用をかけずに町民の図書館を作ろうと、不用になった本の寄贈をネットで呼びかけたところ、2か月余りで20万冊が集まった。目標の3万冊をはるかに超える驚きの数字。善意の輪が「本の町」を生もうとしている。
同町は自立できる町づくりを目指し、「市町村合併しない宣言」で知られている。だが現実は厳しく、町民アンケートで要望の多かった図書館建設の実現に手を着けたものの、乏しい財源では、古い武道場に書架を設けて改装するのがやっとだった。
大量の本の購入はとても無理。そこで町のホームページを通じて7月中旬、寄贈の呼びかけを開始した。
反応は上々で、すぐに全国から次々と段ボール箱入りの本が郵送されてくるようになった。多くの箱に、「本が喜んでいる」「本が生かされることは本当に幸せ」など、読書好きならではのメッセージが添えられている。ほこりっぽい本の整理の作業を思いやってか、のどあめや作業後に使えるタオルやせっけんなどが入っていたことも。
来年1月の開館に向け、これらの本の分類、登録作業をするのは町民ボランティアだ。結婚を機に同町に移り住んだ緑川直子さんは「元々は読書好きだったのに、矢祭には本屋もなく、次第に縁遠くなっていた。送られてくる箱を開けると、世の中にはいろんな本を読んでいる人がいるものだと感心し、開けるのが楽しみ」と言う。
重複する本や教材としての活用度の高い本などは、町内の小中学校に分配することになった。「そのほか、人の集まる場所に図書コーナーを設置したり、山間部のお年寄りも利用できる移動図書館も作ったり……。矢祭を本だらけの町にしたいんです」。町役場自立課の高信由美子さんは目を輝かす。
図書館の夢の続きは、まだまだありそうだ。
カメラとペン・小西太郎




