【特集】生徒の夢を確かな目標に変える学校づくり…東京成徳

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 東京成徳大学中学・高等学校(東京都北区)は今年度、2025年度の学園創立100年に向けて「夢が目標に変わり、未来につながる」というテーマを掲げ、教育改革に乗り出した。「未来を見据える」「世界を知る」「自分を (ひら) く」という三つのキーワードで、海外留学やゼミ形式の授業など、これまで実践してきたさまざまなプログラムを整理統合し、主体的に学び、考え、行動する人材の育成を目指すという。

大学合格のその先を見据えた教育改革

「大学合格の先の道を生徒自ら見いだし、夢ではなく明確な目標として目指す力を育てたい」と話す石井副校長
「大学合格の先の道を生徒自ら見いだし、夢ではなく明確な目標として目指す力を育てたい」と話す石井副校長

 「本校は1998年に中高一貫部を創設し、進学校を目指して受験教育の強化に務めた結果、東大や早慶などへの合格実績も出してきました。しかし、社会の変化が進む中で、単に受験にとどまらない学校教育の価値が問われるようになりました。そこで本校としても、大学合格をゴールとするのではなく、その先の道を生徒自ら見いだし、夢ではなく明確な目標として目指す力を育てたいと考えるようになったのです」。陣頭に立って教育改革を進める、中高一貫部の石井英樹副校長はこう語る。

 石井副校長は2000年4月、同校中高一貫部に理科教員として赴任。高等部の教員を経て19年に中高一貫部教頭、21年に副校長に就任した。そして今年度、石井副校長は、25年度の学園創立100年に向けて「夢が目標に変わり、未来につながる」というテーマを掲げた。

 さらに、このテーマのもとで「主体的に学び、考え、行動する人材」の育成を目指し、「未来を見据える」「世界を知る」「自分を拓く」という三つキーワードを定めた。これによって、これまで実践してきた留学制度や英語教育、ゼミ形式の探究学習などの多様なプログラムを整理統合したうえ、新たなプログラムも加え、今年度の中学入学生から、中高6年間の新しい教育メソッドを実施しているという。

 「中高一貫部には、高校受験のために教育を中断せずに済むという強みがあり、例えば中学3年後半の多感な時期に海外留学もできます。中学・高校時代は、人間が大きく変わる時期ですから、この間にさまざまなことを感じたり、経験したりする機会を数多く用意し、生徒が主体的に自分の道を見極める糧としたい」

三つのキーワードに沿った学習展開

「ダイバーシティセミナー」に取り組む高1の生徒たち
「ダイバーシティセミナー」に取り組む高1の生徒たち

 三つのキーワードのうち、「未来を見据える」教育として高1で行われるのは、1年間かけて学習テーマを追求する「ダイバーシティセミナー(ゼミ)」だ。1講座10~15人の少人数で行われるこの授業では、「人と自然との関わり」「アプリケーション開発」「SDGsと社会貢献」「芸術文化から世界を見る」など6講座ほどが用意される。生徒は自分の関心に基づいて一つを選び、実地見学やプロジェクトの立案、実践など多様な手法で探究学習を行う。狙いは主体的な学習態度や積極性、行動力を育むことだ。

 高2では、生徒の興味関心に基づいてテーマを設定して探究する「実地踏査型研修旅行」が行われる。数人のグループに分かれてテーマを決め、必要な場所へ3泊までの日程で出向き、調査や取材を行う予定だ。

英語スピーチコンテストで発表する生徒
英語スピーチコンテストで発表する生徒

 「世界を知る」教育は、実践的英語力の養成や異文化体験などのプログラムで構成される。中学では週2~3時間、オールイングリッシュの授業があり、毎朝10分間の速読・音読トレーニングやオンライン英会話などで4技能をバランスよく鍛えていく。また、各学年で英語スピーチコンテストや、外国人講師による3日間の英語トレーニング「イングリッシュキャンプ」などの行事も実施される。さらに、中2の3学期には全員参加で、フィリピン・セブ島の宿泊施設付き語学学校で2週間の語学研修が行われる。

 なお、これまで中3の3学期に実施してきた全員参加の学期留学は、「留学タイプ」と「国内タイプ」を希望で選択できるように改編された。「留学タイプ」はニュージーランドへの学期留学で、現地校へ通学し、1人1家族でホームステイする英語漬けの環境で、英語力と自立心を養う。「国内タイプ」では、少人数クラスによりグローバル教育中心の授業を実施する。授業の中心となる「グローバル・コンピテンシー・プログラム(GCP)」は外部のネイティブの講師が担当し、異文化理解やクリティカルシンキングなどをテーマに、英語主体で進められる。

中学の道徳授業で行われる「自分を深める学習」
中学の道徳授業で行われる「自分を深める学習」

 「自分を拓く」教育は、自分の特性や可能性を知り、目標を実現する力を育てることを狙いとする。

 自分の特性や可能性を知るために、中学の道徳授業で行っているのが「自分を深める学習」だ。中1で「人と人とのつながり」、中2で「いのちのつながり」、中3で「グローバル社会でどう生きるか」など大きな学年テーマを決め、さまざまな資料をもとにした講義やワークショップ、グループワークを行い、自らを見つめ人生を考える足掛かりとする。この学習は高校でも特別授業などで発展的に行われる。

 自分を知ったうえで、目標を実現する力を育てるために、学力の基礎固めも重視される。石井副校長は、「望む未来へ進むために、 語彙(ごい) 力や計算力といった基礎力を蓄積する日々の学習は非常に大切です」と強調する。

 教員たちも、生徒たちの学習をサポートするために授業の方法を日々研究、実践している。授業にあたって特に意識しているのは、「教え型」「学び型」という二つの型だという。

 例えば、動画共有サイトの活用は「教え型」の一例だ。「数学の授業では、教員が問題を解く過程を5分程度の動画にして配信します。分からない時は繰り返し見られるし、その間に教員は生徒からの質問にも対応できる。苦手な生徒を置いてきぼりにせず、できる生徒は理解をさらに深められます」

 また、「学び型」にも工夫が凝らされる。国語の文学鑑賞で、ある作家の作品を二つ読んで比較・考察するリポートを課した際、その内容を生徒に自分の言葉で説明させるようにしたという。「ネットで調べたことも、語るには思考が必要です。そうして理解したことは人に話したくなるため、調べる内容も広がりや深みが出ます」

「すてき」な人生を送れるよう視野を縦横に広げる

 石井副校長は、これらの教育改革の狙いを、「横の視野」と「縦の視野」を身に付けることだと言う。「よく言われるように、知識が多ければ良い時代は終わりを迎えます。与えられた作業は機械が担うようになり、人間には自分が見つけた道を主体的に追求していく意思と力が必要になる。そのために本校では、数多くの体験によって『横の視野』を広げ、その中から自分が『これだ』と思う分野を深掘りする『縦の視野』を大切に伸ばします。本校の授業やプログラムは、すべてそうした考えのもとに行っています」

 「私は生徒と話をする際、よく、『すてきに生きたいよね』と言います。校名の『成徳』が意味する『徳』を持った人間になることができれば、いつでも、自分の生き方を『幸せです』と胸を張って言える。そうあってこそ、『すてき』な人生を生きることができます。そんな人生への道を生徒と共に見つけ、実現する力をしっかり育てたい。本校には、その環境や仕組みが整っています」

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:東京成徳大学中学・高等学校)

 東京成徳大学中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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