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窓ガラスから考える、住まいの防犯と防災 破片の飛散が少なく貫通しにくい「合わせガラス」の性能

高輪警察署主催の「高輪地域安全のつどい」で行われた「ガラス破壊実演」の模様。
中央は一日警察署長を務めたヒャダイン氏、左は機能ガラス普及推進協議会事務局長の池田直輝氏

家を建てるとき、窓ガラスの「性能」まで意識する人はどれだけいるだろうか。

近年は、窓ガラスに断熱性能を求める人が増えている。しかし、防犯や防災に対する性能となると、まだなじみが薄い。

警察庁のデータによると、空き巣など戸建て住宅への侵入窃盗で最も多い侵入口は窓で、全体の半数以上を占める。台風や地震などの自然災害で窓が割れ、破片が飛び散り、けがにつながることもある。住まいの弱点にもなり得る窓をどう守るか。その答えの一つが「合わせガラス」だ。

4種類を破壊実演、貫通しなかった防災防犯ガラス

「窓ガラスの日」の10月10日、東京都港区の高輪区民センターで、防犯意識を高めるイベント「高輪地域安全のつどい」が開かれた(主催:高輪警察署、協力:一般社団法人板硝子協会・機能ガラス普及推進協議会など)。会場で注目を集めたのが、合わせガラスの性能を体感できる「ガラス破壊実演」だ。

実演には、機能ガラス普及推進協議会事務局長の池田直輝氏と、一日警察署長を務めた音楽クリエイターのヒャダイン氏が登壇した。池田氏が防犯と窓ガラスについて解説を行うとともに、フロート板ガラス、網入り板ガラス、強化ガラス、防災防犯ガラス(合わせガラス)の4種類のガラスを、警察官がバールで強くたたき、割れ方を比較した。大柄な警察官がガラスをたたき割る様子は迫力があり、打撃のたびに会場からどよめきが上がった。

ガラスの割れ方の違いにも驚かされた。一般的な単板のフロート板ガラスと、内部にワイヤーが入った網入りガラスは、いずれも一撃で割れて大きな穴が開いた。そして、割れにくいと思われた強化ガラスも、強い打撃を加えると激しい破砕音とともに全体が粉々に砕け散った。これに対し、合わせガラスの防災防犯ガラスは、表面にひびが入ったものの、何回か打撃を加えても貫通しなかった。

表面にひびが入ったものの、数回の打撃では貫通しなかった防災防犯ガラス

室内に侵入しようとする犯罪者は、窓のクレセント(施錠金具)付近のガラスを割って手を差し込み、解錠するという手口をよく使う。池田氏は、侵入に5分以上かかると約7割が犯行を諦めるという警察庁の統計を紹介し、「防犯で有効なのは、穴が開きにくい合わせガラスです」と強調した。

そして、網入りガラスはあくまで防火や延焼防止を目的とするガラスで、ワイヤーは強度を高めるためではなく、ガラス片が脱落しにくくするためのものと説明。強化ガラスも、物や人の衝突には強いが、尖ったものの打撃には弱いと指摘した。どちらも見た目や名前から強いガラスだと思われがちだが、実際には簡単に割れてしまう。池田氏は、今日の実演を通し、網入りガラスや強化ガラスの防犯性能が高いという認識は誤解だと知ってほしいと訴えた。

中間膜の厚みで3つのグレード、マークで判別可能

イベント終了後、池田氏に合わせガラスについて詳しく聞いた。

「合わせガラスは、2枚のガラスの間にPVB(ポリビニルブチラール)という合成樹脂の中間膜を挟み込んだ構造で、耐貫通性能に優れ、万一破損しても破片が飛び散ることはほとんどありません。強靭な中間膜では、打ち破り、こじ破りといった侵入手口に対しても穴が開きにくく、防犯性能も高いです」と池田氏。

挟み込む中間膜(特殊フィルム)の厚さに応じてグレードが分かれており、厚さ30ミル(=0.76mm)未満は「一般グレード」、30ミル以上は「防犯グレード」、60ミル(=1.52mm)以上は「防災防犯グレード」とされている。

一般グレードは「割れても破片が飛び散りにくく、けがのリスクを軽減するガラス」、防犯グレードは「ガラスを破る、こじ開けるといった侵入手口に対し高い抵抗力を発揮。5分以上の侵入抵抗性能を備えた防犯性の高い合わせガラス」、最も強靭な防災防犯グレードは「防犯性能に加え、飛来物の衝突による開口の発生やガラスの飛散を抑制。防災・防犯の両面から住まいの安全・安心を支えるガラス」となっている。これら3つのグレードの合わせガラスは、設置する場所やリスクに応じて使い分けることができる。

グレードを見分ける際には、CP認定とBL-bs認定の2つのマークが参考になる。CPマークは、防犯性能の高い建物部品として、警察庁や国土交通省などによる官民合同会議の認定を取得した製品に付与される。BL-bsマークは、一般財団法人ベターリビングの優良住宅部品認定制度において、よりよい社会の実現に寄与する特長を備えた製品に付与される。

合わせガラスにおいては、防災防犯グレードの製品はCPとBL-bsの両認定を取得、防犯グレードの製品はCP認定を取得している。認定を取得した製品にはそれぞれのマークが付いているので、性能を見分けるのは簡単だ。

大手住宅メーカーも標準装備、安全・安心な暮らしのために

機能ガラス普及推進協議会事務局長の池田直輝氏

池田氏は「イベントでもお話しした通り、合わせガラスは穴を開けさせないことで高い防犯効果を発揮します。より中間膜が厚い防災防犯グレードのガラスであれば、台風で瓦や枝などが飛んできて窓に当たった場合にも、それらが室内に入るのをほぼ防ぐことができます」と合わせガラスの優れた性能を説明する。

犯罪や災害への備えが求められるなか、機能ガラス普及推進協議会は住宅での合わせガラスの普及に努めてきたという。また、避難所の窓が破損し機能しなくなるという事態を防ぐために、災害時に避難所となる小中高等学校への導入も各自治体に働きかけてきた。

現在、大手の住宅メーカーが防災防犯性能と断熱性能を併せ持つ防災防犯エコガラスを標準採用するなど、新築の戸建て住宅や共同住宅、商業ビルなどでは合わせガラスの採用は増えつつある。しかしその一方で、築30年以上の古い建物の窓は、多くがいまだに単板のフロート板ガラスのままだという。

「今のガラスが割れれば合わせガラスに交換しようという方は多くても、まだ使えているガラスをわざわざ取り替えようとはなりにくいのだと思います」と池田氏。物を大切にし長く使うことは大切だが、犯罪や災害の被害に遭ってからでは遅い。安全を優先し意識を変える必要があるだろう。

そのきっかけとして池田氏が広めたいと願うのが、家族会議だ。

「一人暮らしの高齢者が増えるなか、子や孫の世代が親や祖父母の家の窓を気にかけ、1か所でも2か所でも防災防犯ガラスに替える提案をする。そういった話をするための家族会議を設けていただけるとうれしいですね」

毎年10月は「窓ガラス点検月間」でもある。安全・安心に暮らすために、住まいの窓ガラスについて考えることが、大事な備えの第一歩となる。

当日の模様は、動画でもご覧になれます。