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「駅」と「つながり」が支える 持続可能な街づくり

 大阪・関西万博も追い風となり大阪駅周辺エリアの大規模開発が西日本に波及する。持続可能な社会実現のために今、街づくりに求められているものとは。駅を起点に事業展開するJR西日本不動産開発取締役会長の杉岡篤氏とフリーアナウンサーの八木早希氏が思いを語り合った。

JR西日本不動産開発 取締役会長
杉岡 篤氏
1982年、京都大学大学院工学研究科修了後、日本国有鉄道(現・JR西日本)入社。執行役員広島支社長、常務執行役員総合企画本部長、代表取締役副社長兼執行役員創造本部長などを経て、2022 年より現職。

フリーアナウンサー
八木 早紀氏
アメリカ・ロサンゼルスで生まれ、大阪で育つ。毎日放送アナウンサー、「NEWS ZERO」キャスターを経て現在はテレビ・ラジオやインタビュー、講演など多方面で活動中。2023年からは大阪工業大学の客員教授を務める。

駅から始まる街づくり

「駅から始まる街づくり」のイメージ

八木 「えき、街、暮らしのとなりに」をコーポレートスローガンに西日本エリアを起点に多様な事業を展開されています。開発の軸である「駅から始まる街づくり」について教えてください。

杉岡 街の玄関口である「駅」。その高架下の開発を出発点として「駅から始まった」のが当社です。鉄道を中心に住みたい街・働きたい街・訪れたい街を作ってきました。駅を起点に商業施設やオフィスができ、エリアににぎわいが生まれ、その先には住まいが広がっていく、駅から街へと輪が広がっていくイメージです。駅と街がお互いに補完しあうことが結果的に街の価値向上へとつながっていくのではないでしょうか。

八木 駅があっての街の発展なのですね。

杉岡 街づくりは完成までに時間がかかります。社会の変化を見据えて、持続可能な街づくりを目指さなければなりません。一つ一つの開発に地道に誠実に取り組んでいくことで鉄道の発展や街の活性化に貢献できればと思います。

コミュニティ形成を促進

「Make PLACE」のイメージ

八木 つながりの場を作るという「Make PLACE」という独自の取り組みもされています。

杉岡 住んでいる人、働いている人たちに心地よい空間を提供するだけでなく、コミュニティ形成につながるような場所作りを通して、地域社会の発展に貢献していく。非常に大切な価値観に位置づけています。

八木 阪神・淡路大震災や大阪北部地震を経験し、ご近所の方ともお話するようになりました。地域の個性を生かしてゆるやかなつながりを大事にする。持続可能なコミュニティは大事ですよね。

杉岡 少子高齢化・防犯・防災・子育てなど地域や社会が抱える様々な困りごとの解決にデベロッパーとして寄与し、日々の暮らしを支えるソフト面でのサービスに注力していく。助けてもらいたい人は必ずいます。孤立させるのではなく、地域と一緒になって助けられる世界を作っていきたい。地域共生を大事にして、最終的には自走ができる仕掛け作りができればと思います。

万博をきっかけに関西が一体となって発展

八木 JR大阪駅周辺は、急速に街が整備され利便性が増しました。都会の真ん中で人々が憩える洗練された街が誕生しています。

杉岡 JR大阪駅を核に「グラングリーン大阪」を始めとする大規模な街づくりが行われています。今年3月開業予定の「うめきた地上駅舎(うめきたグリーンプレイス)」や大阪ステーションシティを構成する「イノゲート大阪」「JPタワー大阪」の開業など万博がきっかけとなって街づくりが加速しました。

八木 グラングリーンは、緑を価値の中心に置いて未来志向の街という印象です。ライフスタイルにも大きな影響を与えるのではないでしょうか。

杉岡 大阪駅周辺のみならず、「中之島」や「堂島」も発展が著しいエリアです。

八木 関西独自の発展の仕方で、どんどんと周辺へと広がっていっています。

杉岡 このエリアは将来的にも高いポテンシャルを継続することが期待できます。いい所は残しながら、関西が一体となった発展につながっていければと思います。
対談を終えて堂島エリアを視察する杉岡会長と八木氏

広がる都心 高まるエリア価値 ── 大阪駅周辺エリア ──

大阪駅前 開発が加速
 JR大阪駅周辺では、昨年相次いだ新規開業に続き、今年3月にはJR西日本グループの「うめきたグリーンプレイス」が全面開業するなど、さらなる利便性の向上とにぎわいの創出が期待される。
 「『みどり』と『イノベーション』の融合拠点」を掲げるうめきた2期の中で存在感を示すのが4.5㌶もの敷地を持つ広大な「うめきた公園」だ。緑の空間が新たに人や企業を呼び込み、米紙も「行くべき旅先」と評価をした。
 1日240万人が行き交うターミナル駅を核に「関西最後の一等地」で進む再開発。多くの事業者が連携しながら先進的な街が姿を見せる。
うめきたグリーンプレイス(イメージ)
JR大阪駅を中心に開発が加速
魅力が増す 堂島・中之島エリア
 JR大阪駅周辺の発展が周辺エリアにも波及し「堂島」「中之島」を中心に開発が進む。JR西日本不動産開発も堂島・東梅田・芝田エリアなどに複数保有する不動産の価値向上に取り組むほか、新大阪エリアでのオフィス開発や心斎橋でのプロジェクトにも積極的に参画している。
 堂島エリアは江戸時代に世界初の先物取引所とされる「堂島米会所」の開設を機に大阪経済を先導するオフィス街として発展。近年、マンションや高級ホテルが相次ぎ誕生するなど街としての深みを増している。
 堂島川・土佐堀川に挟まれた中之島エリアも水都大阪にふさわしい様々な機能が集積。2031年開通を目指す「なにわ筋線」では「中之島駅」(新駅)の建設も予定される。
 さらなる発展が期待される西日本エリアにおいても鉄道事業を中心としたグループの総合力を生かしながらエリア開発に取り組み地域の発展に貢献していく。

再開発が進む堂島エリア

高架下の開発とコミュニティづくり ── 福島エリア ──

共創が生む 新たなエリア価値
 昭和レトロな雰囲気と都会的なセンスが交錯する福島エリア。かつてJR大阪環状線と阪神本線が並走していた福島5丁目と7丁目に誕生したのが「ふくまる通り57」だ。鉄道会社2社による初の共同開発で新たなにぎわいを創出した。
 高架化や地下化で生み出された両社の旧線路敷は細長い形状のため単独での開発より共創を選んだ。JR大阪環状線高架下の昔ながらの店舗とホテルや食品マーケットも入る地上12階建ての新複合ビルが「ふくまる通り」を挟み、食の魅力が人の流れを変えた。
 築58年の高架下物件をリノベーションしたのが「WiZ fukushima」だ。レッスンスタジオ兼ギャラリーやコワーキングスペースを設置。「学び・成長・人とのつながり」を提供するコミュニティの場をつくる。
ふくまる通り57
WiZ fukushima

行政とともに社会課題の解決目指す ── 西明石エリア ──

JR西明石駅南口の新駅ビルやマンション(イメージ)

市民の動線確保で新たなにぎわいづくり
 地域と共生した開発が進むのが兵庫県のJR西明石駅周辺だ。山陽新幹線と新快速が停車する人気のエリアだが駅南側は基盤整備が遅れており、社宅跡地を保有するJR西日本と明石市が協定書を結びともに課題の解決に取り組んできた。
 南口の新しい顔となるのが2026年完成予定の3階建ての新たな駅ビルだ。2階部分には改札口を新設しエレベーターも設ける。周辺にはマンションも建設する。
 市側も駅前広場や駐輪場などを整備しアクセス道も拡幅。複合施設「サンライフ明石」を移転新設し、図書館を設けるなど利便性の大幅な向上が期待されている。