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日本の医療と国民皆保険制度がこのままではピンチ!? トレンディー俳優とギャルタレントが本音トーク

誰もがいつでもどこでも一定の負担で医療が受けられる「国民皆保険制度」。ところが今、医療とこの制度の未来に黄信号がともっています。一体どれくらいピンチなの? どうすれば制度を守れるの? そんな素朴なギモンから気になる健康保険料のコトまで、俳優の浅野ゆう子さんとタレントの湯上響花さん、健康保険組合連合会(以下、健保連)の米川孝副会長が本音でトーク。3人の言葉から見えてきた「未来の守り方」とは──。


浅野ゆう子さん
あさの・ゆうこ/1960年生まれ。80年代にトレンディドラマの女王として一世を風靡ふうびし、96年に日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。現在もドラマや映画、舞台など多方面で活躍中。


湯上響花さん
ゆがみ・きょうか/2001年生まれ。中央大学卒の知性派ギャルタレントとして知られ、健康保険組合連合会「けんぽれんミライラボ」をはじめ多数のメディアに出演中。


米川孝さん
よねかわ・たかし/1958年生まれ。損害保険ジャパン副社長執行役員を経て、安田日本興亜健康保険組合理事長、健康保険組合連合会東京連合会会長、健康保険組合連合会副会長を務める。

医療と国民皆保険制度の未来は黄信号

── 日本の医療や国民皆保険制度について、どんなイメージをお持ちですか?

浅野 若いころはどちらもほとんど意識したことはありませんでした。それが年齢を重ねるにつれ病院にかかる機会も増え、今では医療や制度に助けられているなと強く感じています。また、高齢の母は高齢者医療制度のおかげで窓口負担が1割なので、通院に付き添うたび日本の制度に守っていただいているなと実感します。

湯上 私は以前、通院のときにうっかり期限切れの健康保険証を持って行っちゃって、窓口でいったん10割負担で払うことになったんです。そうしたら高すぎてその場では全額払えなくて、普段なら3か月分のお薬をもらうところを1か月分にしてもらいました。あのときは「実際にはこんなに医療費がかかるんだ」って、制度のありがたみをすごく感じました。

浅野 海外では事情が違うようですね。アメリカに住んでいる友人はとにかく医療費が高いって言いますし、日本からハワイに移住した方の中でも、高齢になると医療費が不安で日本に戻る例が増えているそうです。そんなことを聞くたびに、日本は温かい国なんだなと改めて思います。

湯上 本当ですね。以前アメリカの方に話を聞いた時、「風邪で病院にかかったら、すごく高い金額がかかる場合もある」って言っていて、日本の制度を説明したら「恵まれているよ、優しすぎるよ」ってすごく驚かれました。

米川 お二人とも、国民皆保険制度のよさを実感されたことがあるようですね。この制度は、誰もが公的医療保険に加入し、保険料を出し合うことで、みんなが必要な医療を受けられる仕組みになっています。医療保険には、企業などで働く人やその家族が加入する健康保険組合(健保組合)や全国健康保険協会(協会けんぽ)、自営業の方などが加入する国民健康保険(国保)などがあり、人によって加入先が違いますが、医療機関での窓口負担は共通で、年齢や所得に応じて1〜3割です。この日本の制度は、世界的に見てもかなり優れていると思います。

しかし今、その制度の未来が危機的状況にあります。日本では、高齢者の増加に伴って医療費も増加しています。2023年度の医療費は47.3兆円で、うち約4割は75歳以上の方々の医療費でした。現役世代の保険料は年々増加していて、その保険料の約4割が高齢者医療に充てられています。少子高齢化が進む中で医療費が増え続ければ、現役世代の負担が増すばかりか制度の存続すら危うくなってしまいます。

「健康保険料、気にしてる?」バブル世代&Z世代の本音

── お二人はご自身の健康保険料を知っていますか?

浅野 20代のころは全然知らなくて、何も考えずにただただ納めていました。当時はバブルで誰もがイケイケゴーゴーでしたから(笑)、周りも誰も気にしていませんでしたね。でも、バブルが終わるとみんなが「これちょっと高くない?」って言い始めて、時代が変わったんだなぁと実感しました。私も今は支払い額をちゃんと把握しています。

湯上 私は健康保険料のお知らせを毎回チェックしています。高いと思ったことはなくて、ありがたいっていう気持ちの方が大きいですね。ただ、同世代の友だち、特に会社員の子は「なんか給料から引かれてるんだよね」ぐらいで、あまり把握していないみたいです。

私たちは日本がキラキラしていた時代を知らないので、初めから割とあきらめモードというか、高くてもしょうがないよねっていう感じがあります。実際、同世代からは「これだけ払っているのに還元されないなら意味なくない?」みたいな声はあまり聞かないですね。気にしていない子もいるし、困ったときはお互いさまだから損得で考えるものじゃないっていう考えの子もいます。

米川 すばらしいですね。保険料は加入先や年齢、収入によってかなり異なるので、まずは国民皆保険制度の状況を知るためにも、できるだけ多くの方に、お二人のようにご自身の額を把握していただきたいですね。ただ、健康保険料を負担に感じている方は、特に現役世代では少なくありません。少子高齢化の進行を考えると、この負担はますます重くなる可能性があります。これを防ぐには、支える側を増やすこと、医療費の総額を下げていくことが重要になってきます。

浅野 私も65歳になり、前期高齢者の仲間入りをしました。でも高齢者って言われたりすると「こんなに元気だしまだまだ働けるのに」ってちょっとカチンと来ちゃったりするんですよ(笑)。そう思うんだったら働いて健康保険料もしっかり納めて、支える側でいましょうということですね。

米川 最近の65歳はまだまだ元気ですからね。ですからわれわれは、65歳から前期高齢者、75歳から後期高齢者という区分を変えて、たとえば70歳からを高齢者と定義するなどしてはどうかと提言しています。また、医療費の自己負担割合も、現在は70歳以上2割・75歳以上1割のところを、ある程度の収入や資産がある方には2〜3割ご負担いただいてはどうかとも考えています。元気な方には働いていただければ、困っている方を支えるための原資も増やせます。私も前期高齢者ですが、浅野さん、お互い健康で頑張っていきましょう。

浅野 はい、頑張ります。私は60歳を過ぎてから、これからの人生は神様にいただいたおまけみたいなものだと思うようになりました。今まで頑張ってきたんだから、これからは自分の好きなように楽しく生きてもいいんじゃないかなって。だからこそ長く元気でいたいですし、今はまだ隠居や守りの姿勢に入るより、いろいろな分野にトライしたいという気持ちが強いですね。

米川 高齢者と聞くと、支えられ守られる側と思うかもしれませんが、みんながそうとは限りませんからね。特に今の高齢者には、浅野さんのお話に共感される方や、支える側でいようという気概がある方も多いのではと思います。

湯上 そう聞いて未来がめちゃくちゃ明るくなりました! 正直、年上の方から「頑張って支えてね」って言われることも多くて、結構背負ってる感があったんですよ。それがお二人に「やっぱ一緒にやるしかないっしょ!」って言ってもらえた気がして、すごく希望を感じました。

「きいろをみどりへ」実現に向けて一人ひとりにできること

── 医療費の増加を抑え、国民皆保険制度を守っていくためにできることは何でしょうか?

米川 健保連では、医療と国民皆保険制度の未来を黄信号からみどりに変えていこうと、「きいろをみどりへ」という広報を展開しています。黄信号というのは冒頭にお話しした危機的状況のことで、これをみどりに変えるのが一人ひとりの「みどりアクション」です。

このアクションでは、給与明細などを見て健康保険料を知る、早期発見や重症化予防のため健診を受ける、セルフメディケーションを心がけるの3つを推進しています。お二人は健診を受けられていますか?

浅野 40歳を迎えたときから毎年受けています。行くときは何かみつかってしまったらなんて考えてちょっとドキドキしますが、何もなく健康だったとわかると「今年も自分に自信を持って日々を過ごせるな」って安心感をもらえます。

湯上 私も毎年受けています。でも、同世代の子は大多数が行ってないですね。「いやもうマジで行って」って、いつも伝えてるんですけど。やっぱり友だちには健康でいてほしいし、何かあったら頼ってほしいから。ギャルって結構友だち思いなんで(笑)。

米川 お二人ともぜひ健診を受け続けて、その大切さを広めてください。セルフメディケーションはどうですか? われわれは、自分の健康は自分で整える意識を持ち、軽い不調なら休養や市販薬、薬剤師への相談といった選択肢も考えようと提案しています。

浅野 健康を整えるという点では、この仕事は食生活が乱れがちなので、必要な栄養素をきちんと摂るように努力しています。また、私は晩婚でしたので、1日でも長く楽しい時間を一緒に過ごせるようにと、毎朝夫婦で野菜と果物をたくさん入れたスムージーを摂っています。運動面では普段から長めに歩くようにして、週に1回はジムにも通っています。やはり自分の体は自分で守ってあげないと、と考えます。

湯上 そうですね。私は今、体調よく健康でいられる方法を研究するのがすごく楽しいんです。ギャルって盛れるメイクをめちゃくちゃ研究するので、その延長線上で健康に行き着いた感じですね。同世代でも健康を意識する子は増えているように感じます。不健康なダイエットはやめようっていう風潮もあるし、運動や栄養に気を遣っている子も多いんですよ。メイクだけじゃなくて体の内側からキレイなのが理想なのかなと。健康こそが一番自分を盛れるアイテムだなって思います。

浅野 若い世代の皆さんの健康意識が高くてびっくりです。それに比べて私たちバブル世代は、若いころは健康意識が低かったですよね(笑)。

米川 本当ですね。われわれの世代が若い世代の反面教師になったのかな(笑)。若い世代の健康意識の高さは、その背中を見ている後の世代への効果も大きいのではと思います。お二人はセルフメディケーション以前に、根本から健康でいるための活動を実践されている。後の世代のためにも、その取り組みをどんどん発信してください。

みんなで力を合わせ、制度を次世代につなぎたい

── 今回のお話で気づいたこと、読者に伝えたいことなどをお聞かせください。

浅野 今日は、私たち世代が日本のすばらしい医療と制度を若い世代につないでいかなくてはと思ってこちらに来たのですが、逆に若い方から「もっと頑張って一緒につないでいこうよ」とエールをいただいたように感じています。おかげで、自分も元気に働いて健康寿命を延ばして、若い方と一緒に制度を守っていきたいという気持ちがぐんと強くなりました。

湯上 こちらこそエールをいただきました! 以前は制度を背負ってる感があって、高齢の方を支えたいとは思いつつも、不安とか責任の重さも感じていたんです。それが今日、「そっか、いろいろな世代で力を合わせて頑張ればいいんだ」っていう風にマインドが変わりました。一緒に、この制度を守っていきたいですね。

米川 みんなで力を合わせて次の世代にバトンを渡していきましょう。その実現に向けては、国民の皆さんにもできることがあります。
繰り返しにはなりますが、私たち健保連は「きいろをみどりへ」を合言葉に、給与明細を見る(健康保険料を知る)、健診を受ける、セルフメディケーションを心がける、という「みどりアクション」を啓発しています。

浅野さんや湯上さんのように、一人ひとりご自身にできることからチャレンジしていただけたらと思います。