GX〈グリーントランスフォーメーション〉は、化石燃料に頼らずクリーンエネルギーの活用を進めるとともに、その活動が経済成長の機会にもなるよう、社会全体を変革していこうとする取り組みのこと。世界に誇る卓越した技術力で、カーボンニュートラルの実現に向けて挑戦を続ける建設・鉱山機械大手のコマツが、2025年2月18日(火)、GXを推進する東京都のプロジェクト「TOKYO GX ACTION」の一環として、芝浦工業大学附属高等学校の1年生 約200名を対象に、GXと建設機械の電動化をテーマに出張授業を実施した。
今回の出張授業は、コマツ 開発本部 ビジネスマネージャ遠藤武士さんのチームを中心に、スライドを使った講義と、校庭での建設機械の実物によるデモンストレーションの2部構成で行われ、日本屈指のグローバル企業として地球環境への貢献に取り組むコマツと、次世代を担う高校生とが出会う貴重な試みとなった。
なぜ今カーボンニュートラルなのか? “自分ごと”として考え始める未来の担い手たち
GXに関連する最新技術を学び、環境問題への意識を高めることを目的とした今回の出張授業。その導入として、まずはTOKYO GX ACTION 広報事務局の担当者から、地球温暖化やGXの概要についてのレクチャーが行われた。地球温暖化によって引き起こされる干ばつや山火事、大地や海水温の上昇がもたらす強い台風や豪雨、真夏日の日数更新などは、生徒たちにとっても日々のニュースで見聞きしたり、生活の中で実感することの多い問題だろう。いま地球に何が起きているのかを知り、私たちがこれから何をしていかなければならないかを考えること。再生可能エネルギーを使ったり、食事を見直してフードロスを減らしたり、脱炭素に取り組む企業を応援するなど、ひとりひとりができる取り組みが広がることで、社会全体が変わっていくということ。2050年に二酸化炭素(CO₂)排出量を実質ゼロにする「ゼロ・エミッション東京」の実現のために、環境問題を“自分ごと”と捉えることから、授業はスタートした。
コマツが実践するGXの取り組みとは?
『コマツ GXの取り組み〜小さなショベルの大きな挑戦~』と題した講義は、コマツの遠藤さんによる自社の紹介から始まった。鉱石・セメント・砕石など資源を“採る”鉱山機械や、土木・建築・道路・上下水道など“作る”現場と、ビルや家屋の解体・リサイクルなど“壊す”現場で働く建設機械、道路や電気・ガス・水道工事のほか除雪や災害復旧でも活躍する小さなサイズの建設機械など、多種多様な機械の紹介とともに、世界の大規模鉱山で活躍する世界最大級のダンプなどがスライドに映し出されると、その圧倒的な大きさ感に「おお〜」とどよめく場面も。
さまざまな用途に合わせて複雑な動きが求められ、時には過酷な環境で働くこれらの建設機械は、1台の製品ができるまでに400〜500種類もの膨大な試験が行われる。試験を全てクリアして製品化され、その基幹部品の多くを自社で作っているというコマツの建設機械の耐久性や信頼性の高さを、生徒たちも感じている様子だった。
コマツは、「2030年までに2010年比でCO₂の排出量を半減して再生可能エネルギーの比率を50%に引き上げること、そして2050年までにCO₂排出を実質ゼロとすること」をチャレンジ目標として掲げている。例えば、コマツは2010年から研究をスタートさせたマイクロショベルの電動化に成功。バッテリーで駆動することでCO₂排出ゼロを実現した。さらに、運転音も静かで排熱やにおいもほとんどない。このマイクロショベルは住宅工事や庭・畑での作業、公園や森林・動物園の整備など、人の暮らしのすぐ近くで働くことから、電動化が人や動物のストレス軽減にも役立っている。さらに、電動化によって、従来、マイクロショベルが稼働する際に必要だった燃料の手配や保管といった作業が不要になり、メンテナンスの手間も軽減されるなど、働く人々のメリットにもつながっているという。
2023年には油圧ショベルの電動化も実現し、コマツは現在、7つの機種で国土交通省の“GX建設機械”認定を取得している。
カーボンニュートラル実現のためにたゆまぬ研究と努力を重ね、GXに貢献するコマツの取り組みに、多くの生徒が納得の表情でうなずいたり、積極的に質問して理解をさらに深めたりする姿が印象的であった。
見て、聞いて、感じたコマツの魅力を未来につなげる
場所を校庭に移して行われたデモンストレーションでは、ずらりと並んだマイクロショベルを間近で体感した生徒たち。全幅580mmと全幅690mmの電動マイクロショベル2機種と、エンジンを積んだ従来型について、開発部門の担当者が各機械の解説や実演を行った。
大きなエンジン音を響かせ、排ガスの熱とにおいも漂う従来型に比べ、音も小さく排ガスも出さない最新型の電動マイクロショベルを、生徒たちは興味津々の面持ちで見学。電動マイクロショベルがバケットを地面につけ、軽々と自らの車体を浮かせるパフォーマンスには、「わあっ」と歓声が上がっていた。実演後は多くの生徒が建設機械の周りに集まり「どんな場所で使われているんですか?」「メンテナンスはどうしているのですか?」など質問が飛び交う一幕も。授業の最後、遠藤さんが理系を学ぶ生徒たちに、「例えば物理が好きで、もし将来、その知識を活かした仕事がしたいと考えているなら、建設機械の設計という仕事も選択肢に入れてもらえたらうれしいです」と呼びかけると、ワクワクした眼差しがそこかしこに見られた。
出張授業を体験した生徒の声
「再生可能エネルギーに関する開発などに興味はあったのですが、今回の授業で初めて深く考える機会になったので、とても貴重な体験でした。これまではエンジンで動く建設機械しか見たことがありませんでしたが、今回見せていただいた電動マイクロショベルは音も静かで、小さなサイズだからこそ活躍の場がたくさんあることを知りました」
「もともと学校の授業でSDGsや再生可能エネルギーについての学習はしていましたが、今までは気づかなかった新たな発見があり、カーボンニュートラルについてもより深く知ることができて、とてもよい体験になりました。今日初めて建設機械を間近に見せていただいて、小さなサイズでも、あんなに大きな力が出せるんだと驚くと同時に、技術はどんどん進歩しているんだなと感じました。自分がもし将来、建設機械を設計する立場になったら、誰もが驚くような大きくてパワフルなものを作りたいなと思いました」
「コマツさんの地球環境のための取り組みについて深く知ることができて、とてもためになったし楽しかったです。今回、実際に近くで建設機械をじっくり見て、エンジンやバッテリーで動く様子などに感動したし、自分でも建設機械を動かしてみたいと思いました。これまでは建設機械というと、大きくて、重くて、動かすのも大変そうというイメージがあったのですが、こんなに小さなサイズで、操縦もしやすく、庭など身近なところで活躍できる上に環境にも配慮しているなら、自分の家にも欲しくなりました。もし未来に自分が建設機械を作ることになったとしたら、より環境にも人にもやさしい建設機械を作りたいですね」
――最初はコマツという企業を「ほとんど知らない」と答えていた生徒たちも、授業が進むにつれ、真剣な表情で環境問題を考えたり、うれしそうに担当者と会話したり、積極的に質問をしたり、活気のある出張授業となった。多くの学びを得る場になるとともに、コマツならではの技術力を活かしたGXへの取り組みとその意義が、未来を担う若い世代へとつながった。