台湾MICEの進化:文化の都・台南から港湾都市・高雄へ
南台湾のMICE拠点が持つ多彩な魅力を探る
台南―文化の都:歴史遺産と近代的インフラの融合
「文化首都」台南
近未来的施設と屋台連なる旧市街
近年、目覚ましい成長を遂げている台湾のMICE産業。首都・台北はもちろんのこと、台南は古都としての文化的な深み、高雄は港湾都市ならではの創造性を活かすなど、南部の各都市も独自の魅力を国際的に発信しています。
ツアーで向かったのは台北から南に約300キロ離れた台南。高速鉄道の台北駅を朝8時31分に出発して、台南駅に到着したのが午前9時56分。所要時間は約1時間25分ほどとあっという間の到着です。台南は古都で文化遺産も多く、台湾の「文化首都」としても知られています。一方で、半導体産業やバイオテクノロジー、そしてグリーンエネルギー産業なども盛んで、高速鉄道の台南駅周辺にはそのような研究施設や大学などが点在しています。
その一角に2022年4月にオープンしたのが複合型のコンベンションセンター、ICC台南コンベンション&エキシビションセンターです。高速鉄道の台南駅から徒歩約5分の便利な場所にあり、展示スペースは約10692平方メートルと広大で、東西に分割して利用することもできます。展示会に加え、コンサートやパーティーなどでも利用が可能とのこと。
また、コンベンションのスペースは1000人収容と800人収容のシアターを備えるほか、20人から100人を収容可能なスペースも数多く用意され、広大な屋外の施設を利用したパーティーなども開くことができるそうです。駅前には大型商業施設の三井アウトレットパーク台南もあり、MICEと連動した企画も実現できそうです。今後は来場者が宿泊できる大型ホテルの建設も検討されており、日本のMICE関係者にとって今後しばらく台南は要注目ワードとなることでしょう。
こうした近未来都市を思わせるICC TAINANとは対照的に、懐かしさを感じさせる街並が旧市街には広がっており、旅人を優しく癒やしてくれます。例えば、神農街。清代の面影が残る300メートルほどの路地で、かつては住居兼工房だったバルコニーのせり出した伝統的な商店が今やカフェやアートギャラリーとして活用され、多くの地元客と観光客を惹きつけています。
台南は「食の都」としても知られ、ミシュランガイドなどで高く評価された郷土料理を出すレストランなどもあります。一方で、日本人建築家の坂茂氏がデザインした台南市美術館2号館もあり、この街の芸術的景観に現代的なアクセントを加えています。街の規模も台北ほど大きくなく、海外から訪れたビジネス客なども仕事の合間にリラックスして観光を楽しめそうです。歴史的遺産、美意識、現代性が重層的に織りなすこの都市の魅力は、文化的な側面から感じる台湾の本物の価値と業務効率性を兼ね備えた、台頭するビジネスイベントの目的地としての地位を確立しています。
高雄 – 港湾都市:イノベーションとグローバルな接続性の拠点
台湾南部に位置する高雄は、海洋文化と革新的都市というイメージで知られ、同市のMICE発展は都市再生と産業融合を重視して進められてきました。R23糖倉会展中心や高雄展示センターなどの施設がその好例です。
19世紀末に日本が建設した製糖工場と倉庫の跡地を利用して2022年にオープンしたR23糖倉会展中心。倉庫などを改修し、展示会や会議などに利用できるスペースが数多く設けられています。歴史的建築の風合いと、開放的なテーマパークのような空間の活気を融合させ、展示会・公演・ビジネスイベントに対応する多目的会場を創出。敷地は広大で、製糖工場を利用したテーマパークの趣で地元の人たちも観光目的で数多く訪れ、地域文化と企業活動の融合を体現するモデルケースとなっています。
すでに商品展示会や各種シンポジウムなどが行われているそうで、ハイテク一点張りのMICEとはひと味違う趣向を凝らしたビジネスイベントを企画している人にはうってつけの会場と言えるでしょう。
高雄湾岸に独創的な建築群
交通網やホテルも充実
ツアーの最終日は高雄市街のMICE施設を見学しました。高雄でMICEの拠点となるのは、高雄ウォーターフロントの中心にそびえる、市の旗艦ビジネスイベント施設、高雄展覧館です。約1万6000枚の熱反射ガラスで覆われた曲線的な外観は高雄の象徴にもなっています。1階の中央通路両脇が展示スペースになっていて、メイン会場の南ホールは9100平方メートルと広大な上に、柱がなく、天井の高さは最高部で27メートルもあります。このスペースを利用して、台湾国際ボート見本市では大型の船舶を会場内に展示したそうです。
施設のある高雄湾岸は「亜洲新湾区」として開発が進み、2020年に完成した高雄音楽中心や2022年に開業した高雄港旅運中心など、世界的にも注目を集める建築物が目を引きます。また、高雄展覧館から徒歩15分圏内に五つ星ホテルが数軒あり、架線のない次世代型路面電車LRTも2024年1月に市街地を1周する環状線として全線開通しており、移動手段として活用できます。まさにMICEの出展者や参加者にとって至れり尽くせりの環境が整っています。
港町の文化を背景に、創造性と開放性によって牽引される高雄は、国際ビジネスイベントの舞台において新たな注目スポットとして急速に台頭しています。その包括的で先見性のある精神は、アジア全域からグローバルな会議や展示会を引き寄せ続けています。
世界をつなぐ台湾南部の革新
台南が持つ文化的深みや、高雄が持つ港町の活気など、台湾南部のMICE環境は多様な可能性を提示しています。これらの都市は地域産業強化に貢献するだけでなく、国際企業に対して人と人をつなげる理想的なプラットフォームを提供しています。
台湾北部・中部・南部の各地MICE産業は発展を続けており、同国のMICE産業は複数の中核を持つ形へと進化しています。地域のイノベーションがグローバル市場と結びつく接点を生み出し、新たな国際ビジネスの展望を切り開いています。
この台湾南部の成功は、台湾がアジアのMICE産業において独自性と影響力ある地位を形作る礎となるでしょう。
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