
京都産業大学
社会を動かす、新しい心理学が始まる
インタビュー
京都産業大学 藤野 敦子 副学長
心と社会の両面を理解し、より良い社会の実現に貢献
1965年に経済学部と理学部の2学部体制でスタートした本学は、時代の変化と要請に呼応するように学びの領域を拡大。11の学部・学環を有する文理融合型総合大学という現在の姿にいたっています。そして2027年4月には、現代社会学部の中に3つ目の学科として、心理学科を新設します。
心の悩みや生きづらさを抱える人は、近年、増加を続けています。従来の心理支援は、そういった人の心を理解し、適切な支援の方法を模索することに軸足を置いてきました。いわば、「個人」へ働きかけるアプローチの心理学です。しかし昨今は、個人へのアプローチだけでは悩みや生きづらさの真の解決を図りにくいケースが増えています。性のあり方をめぐる悩みがその一例です。ジェンダーに対する社会全体の意識や仕組みを変えていかないことには、当事者の生きづらさは緩和されません。個人への支援に加え、「社会」へ働きかけるアプローチが求められる時代だと言えるでしょう。
このような背景を受けて、本学の心理学科は現代社会学部の中に設置することになりました。心理学と社会学という2つの学問領域の知識を備え、人の心と社会との関わりを多角的にとらえ、社会課題の解決を目指す。それが本学の心理学科です。非常にアクティブな心理学だと言うことができます。
学科の設置にあたっては、29年3月末で閉学が予定されている京都ノートルダム女子大学と連携を図っています。同学は、カウンセラーをはじめとした心理専門職の育成に豊富な実績を誇ります。本学心理学科では同学のノウハウを引き継ぎ、優れた心理専門職の育成にも取り組んでいきます。
アクティブな学びで実践力を身につける
学びの特色の1つ目は、心理学と社会学のダブル修得です。両分野の基礎をしっかりと固めることで、心と社会の両面から物事を見つめ、社会課題を読み解く土台を築きます。
2つ目の特色は、データサイエンスのスキルの修得に注力した学びが行われることです。データを収集する方法や分析する方法を学び、客観的根拠に基づいて考える姿勢を身につけます。
4つ目の特色は、心理専門職を目指す「臨床心理プログラム」と、企業や地域など多様な現場で心理学の専門性を発揮する「社会・産業心理プログラム」の2つのプログラムを軸にして学べることです。
これら4つの特色を統合し、実践するのが「演習」です。心理学科の専門的な学修を深める演習に加えて、現代社会学科・健康スポーツ社会学科の学生と協働する「プロジェクト演習」という2種類の演習が展開されており、学生はいずれかを選択して取り組むことができます。
京都産業大学ならではの環境が可能にする学び
都心部では歴史と近代性が同居し、郊外では過疎化などの全国共通の課題を抱える京都は、プロジェクト型の学びを行うにはうってつけの場所です。すべての学部が1つのキャンパスに集まっているという本学ならではの特徴は、学部を越えた連携を後押しします。すでに、他学部からも、心理学科との連携に期待の声が上がっています。
私たち人間は社会との関わりの中で生きています。人の心と社会を理解する力は将来どのような仕事や活動に携わっても、きっと役に立つことでしょう。
京都産業大学 副学長
藤野敦子(ふじの・あつこ)
現代社会学部心理学科教授(着任予定)。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。2004年に京都産業大学経済学部に着任。17年、現代社会学部現代社会学科に着任し、初代の現代社会学部長を務めた。25年4月から副学長。