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この夏、四国水族館で考えよう "生きものとの共生"

瀬戸内海に面した香川県宇多津町の四国水族館では、現在、特別展「ニホンカワウソ大捜索隊司令部」を開催中です。環境省はニホンカワウソを絶滅種としていますが、今なお生存を信じる声もあり、彼らの物語はまだ続いています。そこで、フリーアナウンサーの中野美奈子さんが、野生動物生態研究者・谷地森秀二さんに、その生態や四国との関わり、最新の状況について聞きました。

左から谷地森氏、中野氏

海と清流のある四国の自然が 生きる環境に適していた

中野 ニホンカワウソとは、どんな生きものなのでしょう。水族館で人気のコツメカワウソとは、どんな違いがありますか。
谷地森 同じイタチの仲間ですが、コツメカワウソより約2倍大きく、体長は1mほどあります。魚やカニ、エビなどを食べる肉食動物で、川や海辺に巣穴をつくって暮らします。縄張り意識も強い動物ですね。
中野 特に四国に多く生息していたのでしょうか。
谷地森 もともとは北海道から九州まで全国各地に生息していましたが、北から順に姿を消していきました。四国は海に囲まれ、川も多く、ニホンカワウソにとって暮らしやすい環境だったのか、愛媛県では沿岸部、高知県では四万十川河口付近を中心に、複数の目撃情報が残っています。
中野 今では、ほとんど見られなくなったそうですね。

大月町教育委員会所蔵の剥製
谷地森 大きな要因は乱獲です。良質な毛皮がとれたため、えりまきやコートなどの防寒具に利用され、戦後にはほとんど姿を見かけなくなりました。さらに自然環境の変化で、エサ場や繁殖のための巣穴をつくる場所が減っていったことも影響したと考えられます。
中野 最後に確認されたのが、1979年の高知県・新荘(しんじょう)川ですね。
谷地森 河口近くで見つかり、住民が与えた魚を食べながら半年ほど過ごしていましたが、その後、中流へ向かって姿を消したと記録されています。

絶滅種か絶滅危惧種か 新たな情報が出る可能性も!?

中野 ニホンカワウソは、高知県・愛媛県・徳島県では、絶滅ではなく絶滅危惧種という見解ですね。
谷地森 環境省では「過去50年間に確かな生息記録が得られない場合は絶滅種と判断する」という考え方です。私のもとにも「まだ生きているのでは」という情報が寄せられますが、現時点では確かな証拠には至っていません。愛媛県では77年、高知県では79年が最後の確実な記録ですので、この2〜3年のうちに両県でも何らかの判断が示される可能性があります。
中野 そう考えると、今回の特別展は本当に貴重な機会ですね。
谷地森 そうですね。この展示をきっかけに多くの人が関心を持ち、新たな情報につながればと思います。
中野 四国では、今もニホンカワウソへの関心が高い印象があります。
谷地森 高知県では「子どもの頃に川で一緒に泳いだ」という80歳代の方もおられます。当時は人をあまり警戒せず、とても身近な存在だったのでしょう。また、四国の川は透明度が高く、魚も豊富です。今も調査を続ける人がいるのは、生き残っているかもしれないと思わせる自然環境があるからだと感じます。

カナダカワウソの毛皮に触れられる
中野 今回の展示では、どんなところに注目していますか。
谷地森 高知県須崎市教育委員会所蔵の毛皮は、この夏休み期間中は実物を展示しています。通常は写真展示なので、とても貴重です。また、大月町教育委員会所蔵の剥製は鑑定書付きで、背中の美しい茶色もよく残っています。ニホンカワウソの姿をより身近に感じていただけると思います。
中野 実物を見ると迫力がありますね。本当に、どこかで生きていてほしいと思いました。
谷地森 ニホンカワウソに限らず、生きものは人の関心が薄れることでも絶滅へ近づいてしまいます。この展示を通して身近な自然や生きものに目を向け、自分たちにできることを考えるきっかけになればうれしいですね。

フンのにおいも体験

Prifile

フリーアナウンサー
中野 美奈子氏
(なかの・みなこ)香川県生まれ。2002年にフジテレビ入社、アナウンサーとして「めざましテレビ」などを歴任。12年にフリーに。現在は丸亀市文化観光大使として、地域の情報発信にも努めている。

農学博士
谷地森 秀二氏
(やちもり・しゅうじ)1967年宮城県仙台市生まれ。高知県須崎市在住。日本大学で畜産学を学び、同大学院で博士学位取得。2003年4月NPO法人四国自然史科学研究センターを設立し、野生動物生態研究者として調査活動を展開。

<谷地森 秀二先生講演会>
8/19(水)11:30~ 綿津見ホール
四国の自然環境と野生動物たちの現状について、NPO法人としての活動や谷地森先生が携わる絶滅危惧種の評価などを交えて講演

ニホンカワウソに関する資料のほか、多数のモニターで貴重な映像を上映。高知県須崎市教育委員会所蔵の毛皮(期間限定)や同大月町教育委員会所蔵の剥製も展示されます。足跡やフン、毛皮や骨格の特徴などを調べるフィールド調査の模擬体験、巨大ニホンカワウソ(造形)との記念撮影も楽しめます。

四国の豊かな水景と生きものたちに出会う

イルカプレイングタイム

イルカプレイングタイム

夏休み中は1日4回(お盆期間は5回)開催する「イルカプレイングタイム」。イルカが泳ぐプール越しに瀬戸内海が広がり、夕暮れには海に沈む夕日とイルカたちが織りなす美しい景色を楽しめます。

渦潮の景

渦潮の景

世界三大潮流の一つ、鳴門のうずしおを生み出す強い潮の流れを表現した「渦潮の景」。マダイやカンパチ、イサキなど、身近な魚たちの力強い姿を見ることができます。

神無月の景

神無月の景
 
アカシュモクザメを下から見上げる「神無月の景」。頭上の直径4.5mの丸窓から悠々と泳ぐサメたちを観察できます。アロマが香る空間には円形ソファもあり、ゆったりと過ごせます。

海月の景

海月の景
 
ミズクラゲなど四国周辺で見られるクラゲを展示する「海月の景」。海中を漂う動物プランクトンの仲間で、ふわりと浮遊する幻想的な姿が魅力的です。展示する種類は季節によって変わります。

動物取扱業に関する表示
氏名:株式会社 四国水族館開発/代表者:代表取締役 藤岡 勇/名称:四国水族館/所在地:香川県綾歌郡宇多津町浜一番丁4/種別及び登録番号〇展示:35375号〇販売:31371号〇保管:32372号〇貸出:33373号〇訓練:34374号/登録年月日:令和元年10月16日/登録有効期限:令和11年10月15日/動物取扱責任者:加来 雅人

中野さんがオススメ! 香川の観光・グルメスポット

四国の名産品が集まる TAKAMATSU ORNE

〒760-0011 香川県高松市浜ノ町1-20

JR高松駅の駅ビルにあるショッピングモール。香川の人気店や県内初出店の店舗など約60店が集まります。四国各地のグルメ商品が並ぶ「シコク メグル マルシェ」、約80席を備えたフードコート「シコク メグル キッチン」、クラフトビールや香川産のラム酒を味わえるスタンドもあります。

四国各地の古民家を移築した 四国村ミウゼアム

〒761-0112 香川県高松市屋島中町91

四国四県にあった江戸時代から大正時代までの住宅や作業小屋、芝居小屋、米倉、醤油醸造所など33棟の建物を移築・復原した野外博物館。「祖谷(いや)のかずら橋」などの名勝も再現されています。建築家・安藤忠雄氏が手がけたギャラリーでは、フランス絵画や中国の金銅仏などを鑑賞できます。

創作うどんも人気の ヨコクラうどん

〒761-8026 香川県高松市鬼無町鬼無136−1

創業は江戸時代末期というセルフ方式の老舗うどん店。ツヤツヤでもっちりとした麺に、自家製の鶏チャーシューとネギ油をトッピングしたしょう油味の「鶏チャー葱炙油(ねぎあぶりゃー)うどん」や「炙(あぶ)りカレーうどん」といった創作メニューが人気です。高野豆腐などを使った天ぷらも種類豊富。

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