首都圏の物流や経済活動、人々の暮らしを支える首都高速道路。東京、神奈川、埼玉、千葉に広がる総延長327kmの道路ネットワークには、1日約100万台の車が行き交います。大型車の交通量は一般道の約5倍に上り、農水産品の都区内発着輸送の約58%が首都高を利用するなど、首都圏の「大動脈」として欠かせない役割を担っています。その首都高では、2026年10月に料金が改定されます。首都高をご利用いただいているお客さまにご負担をお願いすることとなりますが、その背景には、労務費・材料費の高騰などにより、維持管理コストが上昇している状況があります。このような状況の中、維持管理の現場で対応しているエッセンシャルワーカーへの適正な労務費を確保しつつ、必要な維持管理を適切に行っていく必要があります。
首都圏を支える「社会インフラ」
首都高は、単なる都市高速道路ではありません。毎日の通勤や通学、営業車や観光客の移動を支えるだけでなく、首都圏の物流ネットワークの中核としても機能しています。首都高を利用する大型車は一般道の約5倍。市場へ運ばれる生鮮食品や工場へ届けられる原材料、店舗に並ぶ日用品など、多くのモノが首都高を経由して運ばれています。首都高は、ドライバーだけにとどまらず、私たちの日々の暮らしや経済活動そのものを支える重要な役割を担っています。
首都高が初めて開通したのは1962年。東京オリンピックを控えた高度経済成長期、急増する交通需要に対応するため建設が進められました。それから60年以上が経過し、首都高はいま、新たな時代の課題に直面しています。
老朽化が進む都市高速
大きな課題の一つが、構造物の高齢化です。都市部の限られた空間を活用して整備された首都高は、一般的な高速道路とは構造が大きく異なります。川や運河、既存道路の上に道路を築いてきたため、高架橋や橋梁、トンネルなどの構造物が全体の約95%を占めています。
さらに首都高は、全国でも有数の交通量を誇る道路です。大型車を含め多くの車両が昼夜を問わず走行しており、道路への負荷は極めて大きい状況です。2030年には、開通から50年以上が経過した路線が約4割を占める見込みです。今後さらに老朽化が進むことを見据え、構造物の健全性を維持するための取り組みは、これまで以上に重要になっています。
安全・安心を支える維持管理の仕事
道路は、完成したら終わりではありません。お客さまが毎日安心して走行できる状態を維持するためには、点検や補修を絶え間なく続ける必要があります。首都高では、橋梁やトンネルなどの道路構造物を計画的に点検し、異常や損傷が見つかれば速やかに補修を行っています。2024年度には約3万4000件の補修を実施しました。
また、道路上で発生する事故や故障車、落下物への対応を実施しています。2024年度には約3万8000件の対応を行いました。パトロールカーが昼夜を問わず首都高全線を巡回し、安全・安心な高速道路を支える役割を果たしています。
さらに近年は、人が近づくことが難しい場所の点検にロボットやドローンを活用するなど、新しい技術の導入も進めています。効率化を図りながらも、道路の安全性を維持するための努力は続いています。
災害への備えも重要な使命
首都高は、災害時にも重要な役割を担います。大規模地震が発生した際には、緊急輸送道路として救急車や消防車、自衛隊車両などが通行します。そのため、橋梁の耐震補強や落橋防止対策を進めるとともに、迅速に道路機能を回復させるための訓練も重ねています。
また近年、大雨や積雪等の自然災害が激甚化する中、台風・大雨への対策や、除排雪体制の強化等の積雪・凍結対策を行っています。
高まる維持管理コスト
こうした取り組みを支える一方で、大きな課題となっているのが維持管理コストの上昇です。近年は労務費が上昇しており、さらに道路構造物の維持管理に必要な材料費も高騰し、道路の維持管理に必要な費用は増加しています。
首都高ではこうした影響により、維持管理コストが2023年までの10年間で約1.4倍となりました。必要な点検や補修を着実に進め、安全・安心な高速道路を提供し続けていくためには、労務費・材料費の高騰分を含めた維持管理費を確保する必要があります。
安全を支える料金
道路を安全な状態で維持し続けるためには、点検や補修など、必要な維持管理を計画的に進めていく必要があります。しかし、近年の労務費や材料費の高騰によって、そのための費用は大きく膨らんでいます。
首都高では、安全・安心な高速道路を提供し続けるため、2026年10月に料金を改定します。今回の料金改定では、ETCを利用する普通車の場合、1kmあたり約3円を引き上げます。ETC普通車の平均利用距離である20kmでは、現在810円の料金が880円となり、70円の増額となります。全車種での平均改定率は8.1%となります。
お客さまへの影響を、できる限り抑えることも考えています。今回の改定で、急激な負担増とならないよう、下限料金は現行のまま維持します。また、上限料金の設定距離も現行の55㎞を維持します。大口・多頻度割引の割引率拡充や、都心部への交通の集中を回避するための都心流入割引、都心流入・湾岸線誘導割引は、2031年3月末まで継続します。
お客さまとともに未来の首都高へ
首都高の維持管理や大規模修繕・更新、防災対策などを支える重要な財源は、お客さまからいただく料金です。
首都高は、首都圏の物流を支え、人々の暮らしを支え、災害時には緊急交通路や緊急輸送道路として命をつなぐ役割も担っています。その機能を維持していくためには、維持管理コストの上昇への対応が、喫緊の課題となっています。そして、今回の料金改定により、当面5年間の労務費・材料費の高騰分を含めた維持管理費を確保することが可能となります。
首都高はこれからも、維持管理の効率化やコスト縮減に取り組みながら、安全・安心な道路ネットワークの維持・更新を進めていきます。首都圏の暮らしと経済を支える社会インフラを未来へつないでいくために──。料金改定へのご理解とご協力をお願いいたします。