大阪・神戸の中間に位置し、歴史、文化、スポーツの魅力あふれる街で知られる兵庫県西宮市が今年4月、市制施行100周年という大きな節目を迎えた。豊かな自然と都市機能が調和し、「住みたい・住み続けたい街」として関西屈指の人気を誇る同市の歩みと今後の展望について、石井登志郎市長に語ってもらった。
100年の賑わい 文教住宅都市宣言とともに
さらに鉄道開通を機に住宅都市としての性格が強まり、市民が主役となって街づくりを進める進取の気風が育まれました。象徴的な出来事に、1960年代初頭の西宮沖への石油コンビナート誘致計画の反対運動があります。浜辺の景観や環境の悪化を懸念した市民が立ち上がり、計画は白紙撤回されました。それが63年の「文教住宅都市宣言」につながり、「憩いと安住の地」としての市の方向性が決定づけられました。
震災から30年 市内各地で街づくりに挑む
街づくりでは、95年の阪神・淡路大震災が大きな節目となりました。被害が大きかった西宮北口エリアでは、復興のシンボルとして県立芸術文化センターがオープンし、区画整理や再開発等により都市基盤を整えました。その後、復興に要した多額の市債(借金)を着実に減らし、懸案だったJR西宮駅南西地区の再開発にも着手しました。老朽化した卸売市場を食の流通拠点として再整備し、賑わいと魅力ある都市空間を形成する事業を進めています。2026年7月には市立中央病院と県立西宮病院との統合新病院が完成し、高度な医療体制が充実するとともに、救急救命センターや医療従事者の育成拠点としての役割が強化されます。
こうしたハード面だけでなく、次代を担う子どもたちの成長に焦点を当て、力を注いでいます。例えば、子どもたちが安全に過ごせる居場所としての「放課後キッズ」は、全小学校区への拡大を目指しています。阪神甲子園球場で行われる小中学校の連合体育大会や二十歳のつどいなどを通じて、子どもたちや若者にふるさと西宮への愛着と誇りを育んでいってもらえればと願っています。
住みたい都市であり続けるために
これからの10年は、阪神西宮駅北側の再開発や武庫川新駅の整備なども加わり、次の時代の西宮を形作る非常に重要な時期となります。これまでに培ってきた地域のつながりや「憩いと安住」を感じられる街づくりといった財産もしっかりと継承し、100年後も誇れる街を目指していきます。
放課後に小学校を開放 自助・共助の防災活動を支援
■西宮市放課後キッズルーム事業(放課後キッズ)
放課後キッズルーム事業は市内の小学校を活用し、遊びや学習の場として放課後に開放することで、子ども同士の触れ合いや地域の大人との関わりを促進。親子の交流の場を設け、育児相談などを手掛ける子育て支援センターの充実と併せ、市の子育て・教育支援の柱となっている。
■防災啓発事業
防災啓発事業では、阪神・淡路大震災の教訓から自助・共助の取り組みを強化するため、地域の自主防災組織のサポートや防災啓発イベントの実施により、地域防災力の向上や防災知識の普及を進めている。
良質で優しい医療を提供、駅前の新たな賑わいも創出
■県市統合病院 西宮総合医療センター(仮称)
市立中央病院と県立西宮病院は地域医療の充実を目的に統合再編され、「西宮総合医療センター(仮称)」として2026年7月1日に開院する。地上11階建て、552床の規模を誇り、救急・がん・周産期などの高度医療が強化され、地域の医療ニーズに対応する体制が整備される。免震構造を採用し、災害時の医療提供機能も向上。市の救急ワークステーションも併設することで救命率の向上を図るほか、感染症対策にも万全を期し、市の医療環境が大きく進化することが期待される。
■JR西宮駅南西地区第一種市街地再開発事業
老朽化した木造建築が密集し、地震や火災のリスク対策が必要とされていたJR西宮駅南西地区は進行中の再開発プロジェクトにより、賑わいのある都市空間に生まれ変わろうとしている。すでに中核となる「西宮地方卸売市場」が2023年にリニューアルオープンし、大屋根の下で地元事業者が出店するマルシェやフードイベントなど様々なイベントが開催され、地域住民の新たな交流拠点になっている。国道2号沿いには商業施設やタワーマンションを建設中で、市全体の活性化にもつながる重要なプロジェクトとして注目されている。