今年の4~5月に実施された「アルツハイマー病に対する意識・認識に関するグローバル意識調査」では、日本人の約半数が「認知症は老化の一部」と考えていることがわかりました(図1)。しかし認知症は、老化とは区別されるべき病的な状態です。
認知症の原因の約7割を占めるのがアルツハイマー病です。脳に「アミロイドβ(ベータ)」というタンパク質が異常にたまり、神経細胞の働きが低下して進行します。まず「もの忘れ」などの記憶障害があらわれ、やがて日常生活をひとりで送るのが難しくなっていくのですが、実は「アミロイドβ」の蓄積は、症状があらわれる10~20年も前から始まるといわれています。ところが調査では、この原因物質「アミロイドβ」を知る人は介護者でさえ12%にとどまりました。
多くの人が、認知症を「老化の一部」であると思い込んでいる
出典:グローバル患者意識・認識調査(5市場、2026年4〜5月実施)日本データ。
【設問】Q10.本調査ではヘルスケア全般、特に「脳の健康」についてお伺いします。以下の項目について、どの程度同意されるかをお答えください。深く考えず、率直な第一印象でお答えください(正解・不正解はありません)。(各項目1つ選択)
認知症のリスク因子には、年齢や遺伝など変えられないものもあれば、高血圧や高血糖、喫煙、難聴、運動不足など、自分で対処できるものも少なくありません。これらへの対策で、最大45%の発症を予防できる可能性が示されています*1。運動や人との交流、生活習慣病の予防に加え、今回のコンテストで募集があった短歌や写真などの創作活動も、脳に良い習慣といえるでしょう。
薬物療法には、進行を緩やかにする薬と症状を和らげる薬の2種類があります。進行を緩やかにする薬が使えるのは、アルツハイマー病によるMCI(軽度認知障害)や軽度の認知症の段階までで、その後は症状を和らげる治療が中心になります。だからこそ、早期の診断が重要なのです。同調査では、診断を受けた方の67%が「もっと早く知りたかった」と答えています。症状がないうちから脳の健康を意識して行動できるよう、正しい知識を広めていきたいと考えています。
*1. The Lancet|Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission