重粒子線治療の拠点
山形大学医学部東日本重粒子センター開設3年で存在意義が高まる山形大学医学部東日本重粒子センターは開設3年で総治療数が2000例を突破。
重粒子線の特徴や新たに保険適用になったがんについて小藤昌志治療センター長に聞いた。

山形大学医学部附属病院
重粒子線治療センター長
山形大学大学院医学系研究科医学専攻 放射線医学(放射線腫瘍学分野)講座 教授
小藤 昌志
1996年東北大学医学部卒。放射線医学研究所副所長などを経て、2024年7月より現職。
がんの重粒子線治療は近年相次いで保険適用が拡大し、放射線治療の中でも大きな注目を集める治療法です。炭素イオンを超高速に加速した炭素線(重粒子線)で、一般的な放射線(X線)の3倍近い威力でがん細胞を狙い撃ち、「放射線が効きにくい」と言われるがんにも効果が期待できること。さらに重要な臓器を避けながら治療できるためX線治療より副作用が少ないことも重粒子線の大きな特徴です。
治療は外来通院が基本で、当センターではがんに応じて固定照射室と360度最適な方向から照射できる回転ガントリー室を使い分けています。がんの位置合わせは半自動的なシステムを採用しており、1回の照射時間は5分~数10分。腫瘍の形状に合わせてペンで塗りつぶすように細かくビームを当てる3次元スキャニング照射が行えるほか、呼吸で動く臓器でも同期システムを使って精度の高い治療が可能です。この間、患者さんが痛みや熱さを感じることはなく、X線より治療回数が少ないのもメリットの一つです。

回転ガントリー照射室
患者は楽な姿勢のまま治療を受けられる

近未来的な待合スペース

前立腺がんの治療には固定照射室が使われる
2024年は手術非適応の早期肺がん(Ⅰ~ⅡA期)、局所進行子宮頸部扁平上皮がん(長径6cm以上)、婦人科領域の悪性黒色腫の3種が新たに保険適用となり、とくに肺がんの問い合わせが増えています。もともと患者数の多いがんで患者さんの関心も高く、一度肺がんの手術を受けて組織の癒着が強い方や、肺機能が悪い方などからのご相談が多く見られます。子宮頸部扁平上皮がんは6㎝以上の大きな腫瘍かつ病変が骨盤内に限局している方に適応が限られますが、当院では小線源治療と組み合わせることで大きな腫瘍に対してもより効果的な治療を行えるようになりました。当センターは月に数例の問い合わせや治療に対応しています。
開設して3年が経過し、昨年治療総数が2000例を越えました。年間患者数は当初の見込み(2027年までに年間600例)を大きく上回るペースで推移しています。現在95%が保険適用のがん治療ですが、食道がんなど先進医療のがんには山形県で「重粒子線がん治療患者支援事業」という照射費用の助成制度が設けられています。当センターHPでご案内していますので詳しくは窓口にお問い合わせください。
今後は大学病院に隣接する立地を強みにさまざまな診療科の先生と密な連携を取り、乳がんなどの臨床研究をはじめ、不整脈などがん以外の新しい治療にも取り組んでいきたいと考えています。

医師9名、医学物理士5名など専門職が揃う

山形大学医学部附属病院
山形大学医学部 東日本重粒子センター
〒990-9585 山形県山形市飯田西2-2-2
TEL.023-628-5404
https://www.id.yamagata-u.ac.jp/nhpb/
