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医療法人 光誠会 しろばとクリニック しろばとクリニック自分らしく幸せな最期を迎えるために
質の高い在宅医療をめざし、普及と充実に尽力

近鉄八尾駅から徒歩約5分。「しろばとクリニック」は2010年4月の開業以来、一般診療、検診、在宅医療の3本柱で地域の人たちの健康を支えてきた。特に在宅医療に注力し、毎年約120人を在宅で看取っている。近年は老人ホームでの看取りが増加傾向にあるが、介護施設での看取りや在宅医療のあり方、老人ホームの施設選びで留意すべき点などについて、栗岡宏彰院長に話を聞いた。

栗岡 宏彰

院長
栗岡 宏彰

くりおか・ひろあき/日本内科学会認定総合内科専門医、日本救急医学会認定救急科専門医、日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医。



自宅で亡くなる人は横ばい
介護施設で亡くなる人が増加傾向に

 栗岡院長は「超高齢社会を迎え、今後は、自宅で亡くなる人は横ばい傾向ですが、老人ホームなどの介護施設で亡くなる人が増えていきます。厚労省は在宅などでの死亡割合を4割にすることを目標にしています。その場合、最も大事なのは施設での看取りのあり方、在宅医療の関わり方だと感じています」と話す。
 実際、厚生労働省の人口動態統計(令和5年度)によると、病院で亡くなる人が64.5%(2022年の数値。2021年は65.9%)、自宅が17.4%(同17.2%)、老人ホームが11%(同10.0%)で、病院は減少傾向、自宅と老人ホームで亡くなる人の割合は増加傾向にある。
「老人ホームはここ数年、入居者の最期を施設で看取ることができる環境づくりを行なってきました。背景には施設での看取りができなければ入居する利用者に選んでもらえないという現状があります。ただし、看取りができるとうたっている施設でも、看取り時期の入居者の状態が悪化すると救急搬送され、病院で亡くなるケースも少なくありません。施設には必ずしも終末期や在宅医療に精通した医師がいるとは限らないのです」(栗岡院長、以下同)

しろばとクリニック スタッフ集合写真


老人ホームでの看取り ケア体制の充実に期待

 たとえばこんなケースがあったという。
「老人ホームで過ごしていた92歳のおばあさんが風邪をひいて、食欲がなくなってぐったりするようになったと。家族は点滴をしてほしいと施設に頼みましたが『延命のための点滴はできない。するならば病院に行って入院してください』と言われたそうです」
「1年前くらいからだんだんと食事量が低下し嚥下力が落ちて食べられなくなっているなら老衰ですが、風邪など何らかのきっかけで食欲がなくなることはこの歳の高齢者にはよくあること。実際、そのおばあさんは病院で点滴を打ったら元気になってまた食べられるようになり、施設に戻って3年ほど生きたんです」
 栗岡院長は続ける。「誤嚥性肺炎は嚥下力低下で体力が低下し免疫力が弱ることによって起こるわけです。喀痰(かくたん)吸引についても、喀痰排出が困難なため吸引が必要となるわけですが、吸引して低酸素状態からよくなる可能性がある人はたくさんいます。在宅医療では在宅医の判断で点滴、喀痰吸引の指示を出すこともありますが、介護施設ではそうした処置が困難な場合があります。搬送先の病院は治療をする場なので、肺炎でいえば点滴、絶食を基本として治療しますが、退院後、病状自体は回復しても嚥下力などのADL(日常生活動作)が著しく低下し、結局寝たきりになってしまうケースもあります」
 もちろん全ての施設がそうであるわけではないが、栗岡院長は利用者や施設に対してこう提言する。
「利用者が施設を選ばれるときは、食事がおいしそうだ、景色がいい、施設がきれいとかだけではなく、どんな医師が担当しているのか、そこの訪問看護がどう対応してくれるのか、緊急時や24時間の対応は可能か、看取りについて介護と医療の連携がうまくなされているのかなど、その施設の看取り介護ケア体制を事前によく調べることをおすすめします。入居者の容体が急変した場合、その人にいま必要かつ適切な処置とは何か、医師、看護師、介護職が互いに連携して最善を尽くせるかどうかが大切と感じます」


関わる人たちがそれぞれの足りない部分を補い合い
在宅医療の質向上をはかる

「自分が関わった患者さんは最期のときまで責任をもって寄り添いたい」と14年前に同クリニックを開業した栗岡院長。以来、八尾市を中心とした在宅医療に注力し、2024年は年間約120人を在宅で看取っている。末期がんなどどうしても救えない命はあるが、幸せな最期を迎えられるよう「心だけは救う」が信条だ。
 2015年に開設された「しろばと緩和ケアホーム」(八尾市山賀町)は末期がんや神経難病などの患者、他の施設での受け入れが困難な人などが入居対象だ。栗岡院長が毎日巡回し看護師も常駐。24時間365日の診療体制が敷かれている。起床や就寝時間、外出や外泊、飲酒や喫煙、私物やペットの持ち込みなど施設利用の制限はほとんどなく、面会も24時間可。本人の要望やペースに合わせ、自宅とほとんど同じように過ごすことができる。たとえば自宅で療養中に容体が悪化したら施設にきてもらい、落ち着いたらまた自宅に戻る、あるいは、ふだんは施設で過ごし、最期のときだけ慣れ親しんだ自宅に戻るといった利用も可能だ。
 同施設は病院と老人ホームとの中間的な施設に位置付けられる。患者本人や家族から喜ばれており、在宅医療のモデルケースの一つとして全国の関係者から注目されている。
「患者さんを中心とした360度の円を想像してみてください。医師、看護師、介護職、薬剤師などその患者さんに関わる多職種とご家族がその360度を守っています。たとえばですが、介護を担当している人が患者さんのおむつを見てちゃんと水分がとれているかとか、普段より肌がカサカサしているなど、日々気づいたことや体調の変化を医師や看護師に伝えられれば、医療行為はできなくても医師や看護師はより適切な処置をとることができます。また、たとえば看護師が本人の考えや家族の事情を医師や介護職に伝えられればその方と接する際の参考になるでしょう。そんなふうに円を構成する各職種の人たちがそれぞれの足りない部分を補い合いながら、その方が最も幸せな最期を迎えられるような円を形作ろうと努めることが、在宅医療の質向上に繋がっていくと思うんです」
 病院で死ぬことが困難となり2040年までの間に41万人もの死に場所が不足するとの試算もあるいま、問題解決のためには、自宅のみならず施設での看取りケア体制の充実は欠かせない。「老人ホームの看取りがどのように行われているのか、適切な在宅医療を受けることができているのかなどについて利用者の意識が高まれば、それだけ施設の看取りのあり方はよくなっていくはずです」と栗岡院長は期待を込めた。

著書『自宅で最期を迎えたい ~在宅医療の現場から~』

しろばとクリニック

しろばと在宅医療介護情報センター


CLINIC DATA

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住宅型有料老人ホーム しろばと緩和ケアホーム

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