不妊治療・生殖補助医療で実績のある病院・クリニック

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片桐 由起子

[取材協力]

東邦大学医療センター 大森病院
リプロダクションセンター(婦人科)教授

片桐 由起子

かたぎり・ゆきこ/1992年東邦大学医学部卒。2001~2005年 米国コーネル大学留学。2007年同産科婦人科学講座講師、10年准教授、16年教授。専門は不妊症、生殖遺伝学。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本生殖医学会認定生殖医療専門医。



若い年齢で早い段階から不妊治療を受ける方が増加

 不妊とは、妊娠を望む健康なカップルが1年間妊娠しない状態のことをいいます。およそ10組に1組の割合でみられ、今では1年間に生まれる赤ちゃんのうち9.8%が高度生殖補助医療(ART)により生まれています。
 タイミング療法以外の不妊治療の多くが自由診療で行われてきましたが、2022年4月に人工授精およびARTと呼ばれる体外受精、顕微授精などが保険適用となりました。
 経済的負担が少なくなったことで、年齢の若い方、つまり早い段階から治療を受ける方が増えた印象です。しかし、35歳以上や40歳以上の方が減ったわけではありません。日本産科婦人科学会の2022年の統計(下記グラフ参照)を見ると39~42歳が多く、ピークは42歳です。以前は40歳くらいをピークになだらかに下降していきましたが、不妊治療の保険適用が43歳未満に制限されたことや、保険適用開始前に助成金制度を利用する方が増えたことで、このようなグラフの形になったと考えられます。

ART治療周期数 2022

ART妊娠率・生産率・流産率 2022



調節卵巣刺激法で採卵すると1回の採卵で2人目も

 日本の不妊治療の課題として、採卵周期あたりの妊娠率が低いことがあげられます。すなわち、排卵誘発剤をあまり使用しない周期では採卵数が少なく、結果として採卵を繰り返すことになるからです。1回の採卵で獲得できる卵子数が、15個あるいは20個程度まで多ければ多いほど、出産に近づく可能性が高いことが統計学的に明らかになっています。そのときには、排卵誘発剤の副作用である卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症に十分注意しなくてはいけませんが、OHSS発症予防の内服薬も保険適用となりました。排卵誘発剤の上手な使い方により、より短い治療期間、少ない通院回数で出産に至る方向へ向かうことが期待されます。また、残った胚を凍結しておくことで、2人目、3人目の出産につなげられる可能性も高く、当センターもそれを目指して治療に取り組んでいます。
 保険適用外の技術でも、強拡大顕微鏡により選別した形態良好精子を用いる顕微授精(IMSI)など、先進医療で受けられるものがあります。また、不妊原因を調べる検査に対して助成金制度を設けている自治体が増えています。お住まいの自治体の助成金制度を調べておくとよいでしょう。
 卵巣刺激法などの治療方針は、医療機関ごとに異なります。通院のしやすさ、不妊原因、持病の有無なども考慮し、ご夫婦に合った医療機関で納得のいく不妊治療を受けましょう。


古井 憲司

[取材協力]

日本IVF学会 理事長
クリニックママ

古井 憲司

ふるい・けんじ/1986年日本医科大学医学部卒。名古屋大学医学部産婦人科教室入局。同文部教官、大垣市民病院産婦人科医長などを経て、1998年クリニックママ開設。医学博士。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本生殖医学会認定生殖医療専門医。



不妊かもと思ったら早めに検査を
繰り返す流産はPGT-A(着床前胚染色体異数性検査)を検討

 妊娠率・生産率は若年層で高く、当院のデータでも、34歳未満は妊娠率、生産率とも80%以上ですが、35~39歳は妊娠率73.5%、生産率63.8%、40歳以上は妊娠率38.5%、生産率26.9%まで下がります。
 不妊症の検査で、女性において最も大切な検査は卵胞刺激ホルモン(FSH)と抗ミュラー管ホルモン(AMH)の測定です。 FSHは、卵胞の発育を促すホルモンです。月経3日目までに採血し、6~8mlU/mlくらいなら問題ありませんが、10mlU/mlを超える場合は卵巣が老化していると考えられます。
 もうひとつ重要なのは、卵巣内に存在する卵子の数を反映するAMH検査です。平均値は30歳で4~5ng/ml。40歳を過ぎると1~2ng/mlに減少します。AMHは卵子の質とは関係がありませんが、値が低いと体外受精において採卵数が少なくなるなど、妊娠率の低下につながるので患者様には不妊治療の検討を勧めています。
 不妊の30~50%は男性側にあると言われているため、精液検査も必要です。精子が少ないとショックを受ける人もいますが、顕微授精で妊娠は可能なので、まずは検査を受けることが大切です。
 FSH、 AMH、精液検査、この3つを早めに受けることで、妊娠率・生産率がより高い時期に治療を開始することができます。
 一般的な不妊検査で問題がなくても、妊娠不成立や流産を繰り返す場合、原因の約70%は受精卵(胚)の染色体異常と言われています。見た目が良好なグレードの高い胚でもその可能性はあり、年齢が上がるほど染色体異常が増加します。胚に染色体異常がないかを調べるのは、着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)です。正常な染色体を持つ胚を PGT-Aで見分け、移植することで妊娠率を上昇させ、流産のリスクを減少させることができます。ただし、PGT-Aは今のところ保険適用外の治療です。自治体によっては補助金を支給してくれるところがありますが、PGT-Aが保険適用になるように私たちは国に働きかけています。
 1回の採卵でグレードの良い胚が複数できた場合は、それらを凍結しておくことによって、採卵時の年齢でつくられた胚で2人目、3人目を望むことが可能になります。つまり、2人目、3人目のお子様を望むときも、1人目の採卵時の若い年齢で凍結した胚を用いて胚移植をすることができるので、2人目を希望するのが数年後であっても1人目の採卵時の若い年齢と同等の妊娠率を期待することができます。体外受精を受ける際は、お子様が何人欲しいかを事前にご夫婦で話し合い、担当医に伝えておくとよいでしょう。
 不妊を専門とする私たち医療者は、患者様の希望と検査結果、年齢を照らし合わせて、適切な治療を提案することと、治療中の気持ちに寄り添うことが大切であると考えております。

年齢別妊娠率・生産率


治療実績

医療法人 神岡産婦人科医院 ヒルズレディースクリニック

医療法人社団 慶育会 セントウィメンズクリニック

おおぬきARTクリニック水戸

名古屋市立大学医学部附属 西部医療センター

医療法人社団 親愛産婦人科

医療法人社団 樹慶会 神奈川レディースクリニック