形成外科治療最前線
社会医療法人 寿量会
熊本機能病院チーム医療で口唇口蓋裂など先天性疾患の治療に尽力「医療の谷間を作らない」ことを信念に、創始者・米満弘之氏が昭和大学医学部の協力を仰ぎ、今や九州在住患者の治療拠点となっている同院の形成外科。対象疾患が多岐にわたる中、特に注力している「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」の治療や患者家族へのサポートなどについて、小薗喜久夫・同院副院長と田邉毅・形成外科部長に話を聞いた。

形成外科
副院長
小薗 喜久夫
こぞの・きくお/熊本大学医学部卒業。1991年熊本機能病院形成外科部長、2020年より現職。日本形成外科学会認定形成外科専門医、小児形成外科分野指導医、皮膚腫瘍外科分野指導医。

形成外科・小児形成外科部長
田邉 毅
たなべ・つよし/昭和大学医学部卒業。2008年から熊本機能病院形成外科、同年より現職。日本形成外科学会認定形成外科専門医、皮膚腫瘍外科分野指導医、小児形成外科分野指導医。
同院の形成外科の歴史は1981年の病院開設時に創始者の米満弘之氏が口唇口蓋裂などの世界的権威として知られる昭和大学医学部形成外科の鬼塚卓彌教授を訪れたことに始まる。
当時、口唇口蓋裂の手術は都会に行かねば受けられず、「地方にいても都会と同じ医療を受けることができ、医療の谷間を作らない」ことが大切と考えていた米満氏。その情熱に心打たれた鬼塚氏は、以来36年にわたり熊本まで出向いて月2回の手術を行ってきた。1991年には熊本唇裂口蓋裂センターを開設(98年 国際唇裂口蓋裂センターに名称変更)。現在も昭和大学医学部との協力関係は続いており、同大学藤が丘病院形成外科の角谷徳芳客員教授らが定期的に診察を行なっている。これまで同院で診療を受けた唇裂口蓋裂の患者は千名以上にのぼる。
形成外科の専門領域は、体にできた組織の異常、変形、欠損などに対し、機能のみならず見た目も正常に、美しくすること。
田邉毅・形成外科部長は「対象疾患は外傷、先天異常、腫瘍など多岐にわたりますが、当院では特に小児領域の口唇口蓋裂をはじめ、多指、合指症、副耳などの先天性疾患の治療に力を入れています。手術が最も多いのは皮膚皮下腫瘍摘出で近年では褥瘡、難治性皮膚潰瘍の手術、加齢による眼瞼下垂なども増えています」と話す(別表)。
口唇口蓋裂とは通常なら妊娠初期にできる唇や口蓋(口腔内の天井部)が何らかの原因によって裂けた状態のままとなり、唇、口蓋、歯茎などに割れ目が生じる病気。日本人の場合、約500人に1人の赤ちゃんにみられるという。出生後すぐ哺乳しづらい問題に直面し、初回手術後も歯並びが悪い、発音しづらいなどの症状を伴う。
口唇口蓋裂の治療に詳しい小薗喜久夫副院長は「当院では四角弁法による片側唇裂初回手術を行なっています。目的は患者さんのキューピッド弓、人中、上口唇溝を健側(障害のない側)と対称的に再建すること。この方法により、患側(障害のある側)の充分な人中稜の延長とキューピッド弓、上口唇溝の良好な形成が得られており、有用な手術法と考えています」。
その後も成長に応じた治療を行う必要があり、耳鼻咽喉科、矯正歯科、言語聴覚士、ケースワーカーなどによるサポートが欠かせないが、同院では「多職種がチーム医療で患者さんに寄り添い、九州の治療拠点として地元の患者さんや家族から喜ばれています」と田邉部長。小薗副院長も「患者さんが満足される結果を目指そうと常に心がけています。成人された患者さんが結婚されて子どもができたといった話を聞くと、とても嬉しいですね」と微笑む。
同院には週2回、入院中の子どもを世話する親御さんへの「ママフリーサービス」もある(もちろんパパもOK)。最大2時間、看護師や保育士らが交代で子どもを預かり、お母さんに自由な時間をリフレッシュタイムとして使ってもらうというもので「大変喜ばれている」(田邉部長)という。

21名の言語聴覚士が在籍、うち3名が小児を担当している。

社会医療法人 寿量会
熊本機能病院
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