高校生記者が万博を取材。彼らがそこで感じたこととは?

大阪府内の高校生が万博会場を訪れ、シグネチャーパビリオン「Better Co-Being」やテーマ事業プロデューサー・宮田裕章氏の話を取材するイベントが8月19日、開催された。

アテンダントの話を聞きながらBetter Co-Beingを見学する高校生たち

「未来への問い」を見つける、高校生記者の取り組み

 取材会は残暑が厳しい8月19日(火)に夢洲(ゆめしま)の万博会場で行われた。参加者は府内の高校生10人。中にはすでに万博に30回も来場している高校生の姿もあった。
 取材会はまず、読売新聞大阪本社・新聞のちから事務局の瀧上和世講師による取材や質問、メモの取り方についてのレクチャーからスタート。その後、大屋根リングへと移動し、協会担当者の話を聞きながら見学をした。続いての講義パートでは協会担当者、そして大阪・関西万博テーマ事業プロデューサーである宮田裕章氏から講義があった。宮田氏は「多くの可能性を五感で体験し、未来への問いを一緒に考えてほしい」とコメントを送った。参加者は宮田氏に質問をしながら「未来への問い」を立てることの重要性について学んだ。
 その後は「静けさの森」、シグネチャーパビリオン「Better Co-Being」を訪れ、実際に「共鳴体験」を取材した。各参加者は取材のメモを基に「取材会を通して学んだことについて感想や意見をまとめる」「学んだことや感想を基に『未来への問い』を立て、未来への課題や未来の姿、自分自身の在り方についてまとめる」といったワークシートで取材内容をまとめた。今回はその中から抜粋して紹介する。

取材会を通して学んだことについて感想や意見をまとめる

万博は「つながり」の船:常翔学園高等学校 3年 加藤 颯(かとう・はやて)さん

 取材会の中で、私は様々な体験を通じて、他者との「つながり」を感じました。シグネチャーパビリオン「Better Co-being」だけではなく、万博の至る所に「つながり」があり、私は体験を通して、万博はそんな「つながり」でできている小さな共同体だと思うようになりました。もちろんそれは、統率の取れた組織という意味ではなく、一つの目標に対してみんなで向かって行く小さな船のようなものだと、考えるようになったということです。静けさの森でのアートインスタレーションは、共通のテーマを持つ作品なのに多種多様で、一つも似たような作品がないという、そんな面白い体験が、私に他者との「つながり」を意識させてくれました。

デジタルとの向き合い方を考える:高槻高等学校 2年 中谷 圭吾(なかたに・けいご)さん

 共により善く生きるためにはどうしたらよいのでしょうか?
 デジタル化によって、地球の真裏の人ともつながることが容易となりました。“他者とつながる”という行為に関しては、以前に増して行いやすくなったのではないでしょうか。ですが、普段の生活を振り返ってみてください。スマートフォンばかり触って、他者との直接的なつながりを蔑(ないがし)ろにしていませんか。デジタルはただの道具にすぎません。宮田プロデューサーのお話にもありましたが、人間は、完全に共鳴しあうことはできません。多種多様に存在する命あるものが、それぞれに未来を考えなければいけません。このような状況の中で、共によりよく生きるためには、“直接的なつながり”と“デジタルでのつながり”を両立しないといけないと学びました。今回の取材会は、デジタルネイティブ世代の一人として、完全にデジタル化を否定するのではなく、時にはデジタル世界から離れるアクションをしようと決意する機会になったと感じています。

多様ないのちと人とのつながり:大阪成蹊女子高等学校 2年 中西 菫(なかにし・すみれ)さん

 取材会で、大阪・関西万博が自然や多様ないのち、そして人とのつながりをとても大切にしていることが伝わってきました。大屋根リングは木のぬくもりがあり、会場全体をゆるやかにつなげるような存在でした。静けさの森では、五感を通して自分の心と向き合い、多様ないのちとのつながりを感じられる時間が持てる場所だと思いました。宮田プロデューサーの話からは、アートやデザインが人の気持ちに響く工夫であることを学びました。「Better Co-Being」というテーマには、さまざまな人が自分らしく、いきいきと過ごせる空間づくりへの思いが込められていて、強く共感しました。

学んだことや感想を基に『未来への問い』を立て、未来への課題や未来の姿、自分自身の在り方についてまとめる

どうすれば人と自然が共に生きられる社会を作れるのか:興國高等学校 2年 川中 翔太(かわなか・しょうた)さん

 万博での体験を通して、私は、未来は特別な人が築くものではなく、一人ひとりの小さな行動から始まるのだと実感しました。宮田裕章さんの「若い世代が未来を動かす」という言葉は、その考えをさらに強くしました。では、これからの社会をより良くするために、私自身は何を選び、どのように行動していけばよいのでしょうか。自然との共生を体感した「静けさの森」や、人とのつながりを意識させられた「Better Co-Being」での経験を思い出すと、未来への問いは「どうすれば人と自然が共に生きられる社会をつくれるのか」ということに行きつきます。私はその答えを探すために、日常生活の中で環境や人との関わりを意識し、未来に向けた行動を続けていきたいです。

思いをつないで努力する:興國高等学校 2年 澤 郁斗(さわ・いくと)さん

 これからの未来には持続可能な社会と助け合って生きていく未来を願っています。ですが、こういう未来になっていくには様々な困難が立ちはだかると思っています。全てうまくいくのはそう簡単ではありません。なんとか思いをつないで離さず、努力したらいつかこの社会が報われると思います。自分も今回の体験を生かして過ごしていこうと思います。

面白い未来が待っていてほしい:S・Sさん

 未来の姿は今の自分にはあまり想像出来ません。それは未来の都市も自分の姿もです。自分の生き方はいつも行き当たりばったりで面白そうな方の道に進んでいってしまうからです。目指すものに近い道でも面白そうじゃなければ進まない、遠回りをします。なので、こうなってほしいと思う未来の姿は、全てのもの・ことが面白くあってほしいと思います。環境問題や政治の問題も思いがけないものと組み合わさってより豊かになったり、SDGsの必要のない世界になったりして、色々な人種・障害を抱える人が明るく、どこに行っても面白いコンテンツしかない未来だといいなと考えます。

他のものと共存し、開かれた問いを発する:大阪府立東住吉高等学校 2年 新川 良羽(しんかわ・よはね)さん

 なぜ「分断」というテーマに宮田さんがあれほど問題意識を持って、パビリオンで表現したのか、という問いを抱きました。

 そもそも、人間はそれぞれ違う考えを持ちます。分断も格差も仕方ないと思っていました。しかし、「Better Co-Being」や宮田さんの話を聞いてからは考えが変わりました。排他的にならず他のものと共存していくことの大切さを感じました。そして、それを象徴的に表現し、また独自のとらえ方も存在するパビリオンという形で表現するということはとてもすごいと思いました。これからは、他のものと共存する、開かれた答えの問いを発して、考えようと思います。そこには社会をよくすることのできる力がある、と思いました。

SDGsの完成を目指したい:興國高等学校 3年 濱口 伊吹(はまぐち・いぶき)さん

 自分が思う未来への問いは、SDGsを完成させ、今までよりもより良い社会を作って行くことが課題だと感じています。石を使ったパビリオンは自分では、新感覚であり、とてもためになりました。

技術の力で文化や伝統を未来へ:興國高等学校 2年 藤井 友星(ふじい・ゆうせい)さん

 今回の体験を通して感じたのは、昔から続いてきた文化や伝統が少しずつ失われているという現実です。このままだと、大切なものが誰にも知られないまま消えてしまうのではないかと不安になりました。だからこそ、インターネットや技術の力を使って、その魅力をもっと多くの人に知ってもらえるようにできたら良いなと思います。そうすれば、興味を持つ人や受け継ぐ人も増えていくはずです。自分自身も、ただ知るだけで終わらせず、実際に見たり聞いたりしたことを周りの人に伝えたり、学び続けたりする姿勢を大事にしたいです。将来は、何かを守ったりつなげたりする仕事や活動にも関わっていけたらと思っています。