ミライのサカナを知ろう! 品種改良加速技術(ゲノム編集技術)が拓く、食の未来とは【PR】

読売新聞大阪本社版朝刊

お魚は好きですか? 寿司、刺身、焼き魚、煮魚、天ぷら...日本の食卓に、お魚は欠かせない存在です。 しかし近い将来、魚料理が"高級品"になったり、お魚を手に入れることすら難しくなったりするかもしれません。本特集ではそうした食卓の危機に立ち向かう注目の技術に焦点を当て、水産業の未来を切り拓く可能性を探ります。

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日本の食卓の危機

世界では人口増加や経済発展に伴い、タンパク質の供給が需要に追いつかなくなる「タンパク質クライシス」が懸念されています。こうした中、良質なタンパク源である魚への需要は今後ますます高まると見込まれています。

一方、日本における魚を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。日本近海では、地球温暖化による海水温の上昇が世界平均を上回るペースで進んでおり、漁業では魚の生育分布が変わることでこれまで獲れていた魚が獲れなくなり、養殖業では夏の高水温で魚が大量死する現象が起きています。
また、国内の漁業就業者数と生産量はいずれも過去30年で約3分の1まで減少しており(※1)、深刻な人手不足と産業の縮小化が進んでいます。

日本は世界屈指の魚食文化を誇ってきましたが、その基盤は急速に揺らいでいるのです。

※1)出典:令和6年度 水産白書

品種改良加速技術(ゲノム編集技術)とは?

こうした課題に対し、持続的に水産物を供給するための新しいアプローチが求められています。そのひとつが品種改良加速技術(ゲノム編集技術)です。

生物が持つ「設計図」であるゲノムを変化させることで、優れた性質を持つ新たな品種を作ることを品種改良といいます。ゲノムと聞くと少し難しそうに感じますが、私たちは1万年以上にわたって、自然界で発生する突然変異や交配等によるゲノムの変化を活用しながら品種改良を行ってきた歴史があります。その中で、ブロッコリーやキャベツ(いずれもヤセイカンランという植物が起源)、豚の主要な品種であるヨークシャー(イノシシが起源)といった数多くの品種を生み出してきました。

品種改良加速技術(ゲノム編集技術)は、このゲノムの変化を狙って引き起こすことで、自然界で起こる突然変異を効率良く、正確に再現する技術です。これにより、今まで30年以上かかっていた品種改良を、短期間で計画的に実現できる可能性があります。

遺伝子組み換え技術との違い

似た技術として、遺伝子組換え技術を連想する方も多いかも知れませんが、その2つは性質の異なる技術です。遺伝子組換え技術は、他の生物の遺伝子を導入することで、元の生物に新たな性質を付与する技術です。一方、品種改良加速技術(ゲノム編集技術)は、他の生物の遺伝子の導入は行わず、突然変異で発生するゲノムのわずかな変化を人工的に再現することで、生物が新たな性質を獲得する技術です。

魚の品種改良は、農作物や畜産物と比べて発展途上にある中で、こうした品種改良をスピーディーに進める技術は将来の水産業の基盤を支えるものとして期待されています。従来の品種と比べて、可食部が多く少ない餌で育つマダイや、成長性が高いトラフグ・ヒラメが、消費者庁・農林水産省への届出を経て既に実用化されています。さらに、美味しさやアレルゲンフリーといった特性を持つ新品種の研究・開発も進められています。

日本が誇る魚食文化を守り、受け継いでいくために、水産物の品種改良を加速させる技術は、これからの水産業に新たな選択肢と希望をもたらす存在だと言えるでしょう。

上がゲノム編集トラフグ、下が従来のトラフグ

トーク&試食イベント開催!

品種改良加速技術(ゲノム編集技術)について正しく理解し、それが食にどう関わるのかを考えるきっかけにしてもらおうと、トーク&試食イベント「ミライのサカナを知ろう!」を3月21日、京都市内で開催しました。小学生の親子を含む33組43人が参加し、軽妙なトークを交えた解説と、ゲノム編集技術を活用したお魚料理の試食を楽しみました。

トークセッションでは木下政人・京大農学研究科准教授が技術の概要や、その技術が産業や人々の暮らしにどう役立つのかをわかりやすく解説。タレントのやのぱんさんの進行で、「安全面は問題ない?」「今ある魚と何が違うの?」など〝気になる点〞にも丁寧に答え、参加者からは「何となく感じていた不安を解消できた」「担い手不足の漁業の力になれる技術なんだなと思った」などの感想が聞かれました。

理解を深めたところで、実際に味わってみることに。口当たりがしっとりしているというお魚の特性を生かし、メニューは厚切りにしたヒラメの昆布締めとフライ、トラフグのカルパッチョと唐揚げの4品。参加者は一口一口確か
めるように味わいながら「生だともちもちしていておいしい」「フライのフワフワ感が最高」「ぷりっとした弾力で旨みが広がる」などと笑顔を見せていました。

木下政人准教授は「新たな技術は敬遠されがちですが、まず正しく知ることが大切です。今ある魚に『ゲノム編集魚』という選択肢が一つ増えたと受け止めていただけるとありがたく思います」と語って締めくくりました。