「大阪・関西万博デザイン展」開催中
"こみゃく"生みの親・引地耕太さんに聞く

万博公式グッズ

 大阪府立江之子島文化芸術創造センター(大阪市西区)で「大阪・関西万博デザイン展」(主催:読売新聞社)が開催され、連日多くの来場者でにぎわっている。19日(日)まで。大阪・関西万博のデザインが生まれるまでのプロセスを紐解き、アーティストやクリエイターが手がけた会場装飾やサウンドスケープの展示、さらに関わったクリエイターやプロデューサーによるトークイベントも実施される。「こみゃく」として親しまれる万博デザインシステムの生みの親であるクリエイティブディレクターの引地耕太さんに、本展の見どころや、デザインへの思いを聞いた。

―「大阪・関西万博デザイン展」の見どころは
 普通、デザインは完成されたものを見せるが、今回の万博デザインシステムは、あえて余白を残して作った。余白があることで、共通の理解があれば、派生して様々な創作がどんどん生まれる余地もあると考えたからだ。例えば、目玉さえあればそれ以外のデザインは自由で、そのどれもが「こみゃく」になりうるというような考え方だ。色々なクリエイターが、デザインシステムから着想を得て新たなもの生み出せるようなデザインが狙いだった。本展でも、完成されたものではない、デザインシステムが生まれるまでの経過を感じてもらえるような資料を時系列で並べているので、ぜひプロセスの部分に注目して見ていただきたい。
 また、クリエイティブを志す学生や若いクリエイターたちにとって、万博のような国家プロジェクトは閉じられたもので、どういうふうに出来上がっていくか、知ることが難しいと思う。本展ではナレッジを共有しているので、「こんな風に出来上がっていくんだ」ということを学んでもらえる場にもなれば嬉しい。

クリエイティブディレクター 引地耕太さん

―デザインシステムは「こみゃく」として親しまれ、多くの公式ライセンス商品やクリエイターらによる二次創作も生まれた。これらの盛り上がりを制作者としてどのように感じていたか
 「こみゃく」という名前は、約1年前にインターネット上での私とユーザーとのやり取りの中で、キャッチ―な愛称がつけばいいな、という話から生まれた。その後、「こみゃく」の二次創作が今年2月頃から爆発的に増えたように思う。こうした二次創作が生まれるような、開かれたデザインというコンセプト自体は5年前には考えていたが、こちらから仕掛けて作ってもらうのではなく、自発的に生まれていかないといけないという思いがあった。開幕前は、世の中的には万博にネガティブな印象もあって逆風だった。それでも自分が当初から考えていたコンセプトが、種をまくように広がり、ようやく多彩な花が咲いていったように感じた。すごく感動的で、一生忘れられない出来事だ。

取材はオープンインタビュー形式で行われ、多くの人が聞き入った

―「こみゃく」と伝統工芸品とがコラボレーションした公式ライセンス商品について、どのような点に魅力を感じたか
 「こみゃく」を使っていないものも含めて、どれもデザイン性が高い形で仕上がっている印象を受けた。それはやはり、伝統工芸に携わる作家らの感性が息づいているからだと思う。デザインシステムを作った人間として、一つ一つ丁寧に、上質な良いものを作ろうという思いが感じられ、デザインも大切に扱ってもらっていることが非常に嬉しかった。
 特に印象に残っているのは「EXPO2025 VI WAGASA WORLD」(132,000円)。デザインシステムの「WORLD」という柄を使って、 全体に赤、青、グレーをあしらったデザインが伝統工芸品なのにアバンギャルドで、日本のカッコよさを感じた。それでいて一本一本、職人の手で作られているというのがすごい。

写真提供:京和傘 日吉屋

―万博閉幕後の未来に向けた思いは
 今、世の中の閉塞感がある雰囲気から開かれた社会に変えたい、という思いがある。今回のデザインシステムを考えるにあたっても、どのように世の中の人とコミュニケートすればよいだろう、というところからスタートした。まずは「こみゃく」のことや自分の考えを伝えていこうとXで投稿を続けると、少しずつ共感してくれる仲間が増えて色々なアイデアが生まれていった。デザインの話だけではなく、これからの国家プロジェクト、ひいては社会全体についてみんなで問いを作って答えを考えていくようなあり方が垣間見られる経験になったので、今回のレガシーにしてほしいと心から思う。

<開催概要>
会  期 : 2025年10月1日(水)〜19日(日) 
会  場 : 大阪府立江之子島文化芸術創造センター(enoco)
観覧料金 : 無料
開館時間 : 11:00〜20:00 入場は閉館30分前まで ※最終日は15時まで
※本展では公式ライセンス商品の一部を展示しておりますが、販売は実施していません。

※完売した商品も展示しています

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読売新聞は、日本の伝統文化を守り、次世代に伝えるため、伝統的な技術やデザイン、美術品等を用いた2025大阪・関西万博公式ライセンス商品を制作、販売しています。