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希少疾病の新薬を研究開発

読売新聞大阪本社版朝刊

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JCRファーマ 取締役専務執行役員 研究本部長 薗田 啓之氏

2003年に入社。主に研究畑を歩み、20年に取締役研究本部長、現在は取締役専務執行役員研究本部長。26年4月、代表取締役社長に就任予定。47歳。工学博士

 当社は日本でも数少ないバイオ医薬品メーカーとして、昨年9月に創立50周年を迎えました。主なターゲットは、患者さんの数が少ない「希少疾病」です。治療薬のない病気に苦しむ患者さんを一人でも多く救いたい、私たちの存在価値はそこにあると、未知の領域に挑んできました。

 新薬の必要性を強く認識したのが、遺伝子疾患の一つである「ライソゾーム病」です。多くは子どものころに発症します。病気を背負って生まれてきた本人やご家族の負担は大きく、医療現場からも切実な声を聞きます。こうした人たちの人生が変わるような治療薬を生み出したいと研究開発を進めてきました。

 ブレイクスルーになったのは、私も携わってきた「Jーブレイン・カーゴ」という技術です。脳にある「血液脳関門」というバリア機構を突破して、脳内に薬剤を届けることに成功しました。この技術を使った新薬が2021年に国内で製造販売の承認を受けましたが、世界で初めての事例でした。

J-Brain Cargo(J-ブレイン・カーゴ)のイメージ図

 
 本年4月に社長に就任します。創薬には膨大な資金と時間がかかりますが、収益の柱の一つが、このライソゾーム病の治療薬です。海外では最終段階の臨床試験を迎えており、承認が取れれば、グローバル規模で供給が可能になります。また「Jーブレイン・カーゴ」は希少疾病にとどまらず、様々な疾患の治療に応用できる可能性を秘めています。当社の基盤技術を他社にライセンスして共同で創薬すれば、より多くの患者さんを救えます。すでにアルツハイマー病やてんかんなどで海外の会社と連携が進んでいます。自社での創薬と他社とのパートナリング(共同研究開発)をバランスよく拡大し、持続的成長につなげていきます。

 研究開発への投資額などの規模では欧米の製薬会社には勝てません。しかし、希少疾病の創薬は、日本にアドバンテージがある分野だと考えています。日本の勝ち筋になるかもしれない。ここにチャレンジをしない選択肢はありません。希少疾病の新薬をつくるために投資を続けていきます。