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100年企業が踏み出す次の一歩 ものづくりと社会貢献で描く未来
ベアリングリテーナーで世界トップレベルのシェアを誇る中西金属工業(大阪市北区)は、2024年に創業100周年を迎えた。BtoB企業として、長きにわたり国内産業の発展に貢献してきた同社は、次の100年に向け、社会に新たな価値を提供しようと一歩を踏み出している。その最前線に立つ、光川竜右さん(輸送機事業部)、岡田満菜美さん(特機事業部)、長島史威さん(サステナビリティ戦略部)に、同社が目指す未来について語ってもらった。
ものづくりを起点にマテハン、リフォーム、社会貢献まで
1924年、かざり職人だった創業者が、ベアリングの修理に携わったことをきっかけに、ベアリングの回転を助けるリテーナーの製造会社として同社は発足した。以降、ものづくりの技術を活かし、物流業務の効率化を目指すマテリアルハンドリング(マテハン)※事業や住宅リフォーム業への進出、行政と連携した社会貢献活動など、幅広い事業に取り組んでいる。
※物流・製造現場において材料・製品などの「モノ」を「運ぶ」「保管する」「仕分ける」といった一連の作業全般とそれを効率化するための機器やシステム
光川 輸送機事業部は、主にコンベアや生産設備など、いわゆるマテハンに関わる機器の製作・設計・施工を一貫して行っています。特に300㎏以上の重量物を運ぶ設備を得意とし、主に自動車の生産用コンベアを提供しています。一方、身近なものとしては、火葬場で使用されるひつぎの搬送と収骨の台車を一体化させた設備の製造も行っており、これは昨年グッドデザイン賞を受賞しました。
岡田 特機事業部は、窓まわりの機能部品を作っています。窓のスライドをスムーズにする戸車や、前後に開閉する窓を操作するハンドルなどの製造が中心で、サッシメーカーからのオーダーに基づいて、部品を製造するのが主な事業です。
長島 サステナビリティ戦略部は事業部門ではなく、間接スタッフ部門になります。環境や社会問題と企業統治、いわゆるESGを横断的に見ている部署です。中でも、私が所属している未来共創室では、行政と連携した社会課題解決に向けた活動や、当社の社員が社会課題に関心を持ち自分なりのアクションに踏み出してもらうための施策を実行したりしています。障がいのある人の就業を支援する「福祉カフェ」と「こども食堂」の機能を併せ持つ「なかにわカフェ」の設置・運営なども行っています。
社員の挑戦を後押しする社風
非上場の強みを活かし、短期利益にとらわれない長期的な視点に基づいた経営が同社の特徴。意思決定までのスピードが速く、社員は日々、会社の変化を実感している。
岡田 100年続いてきた企業のわりに、変化を好む文化があります。今の話の通り、守らなければいけないもの、例えばうちの部署では品質を最優先にしており、大量生産、大量消費というものづくりとは一線を画しています。そういった当社としての価値観を大切にしていれば、部署としてだけでなく個人のチャレンジも背中を押してもらえるので、おもしろい会社だと思っています。
長島 私は2年半ほど前に転職してきたんですが、転職を決めた最大の理由は、この会社が長期的な目線に立った活動を地に足を着けてやっているということでした。社会的な意義があることであれば、ひいては企業価値の向上にも資することとしてゴーサインが出る。こんな会社はなかなかないと思うので、転職してきて本当に良かったです。
光川 新しいことにチャレンジするフットワークが非常に軽い。本当に軽いです。知らないところで新規事業がどんどん立ち上がっていて驚くことがあります。ものづくりという、当社として大事にしなければいけないものは守りつつ、新しいことにチャレンジする両利きの経営が、当社が長く続いてきた要因なのではと感じています。
新たなフィールドを切り拓く
「先回りをこつこつと」。101周年を迎えた同社が大切にしているコーポレート・アイデンティティー※だ。社会の変化を見据えた着実な歩みが、既存事業の枠を超えた新しいビジネスへの挑戦に繋がっている。
※企業理念やイメージを明確化し、呼称やマークなどを統一することで、社内外に印象づけること
長島 本業と社会貢献を融合させていくことが、当社のサステナビリティ活動の目指す次の一歩だと思っています。これまでのサステナビリティは、事業で稼いだお金を一方的に社会貢献に流すという構図で見られがちな面もありましたが、社会課題の解決に向けた取り組みが本業の事業とシナジーを産めなければ、結局は活動の継続もできません。私たちの活動が会社の信頼度を高め、新たなビジネスチャンスにもつながればと願っています。
光川 これまでは自動車メーカー向けの設備をメインとしていましたが、もっと広い分野に技術を提供できないかと、物流や農業、半導体など、今まで運んだことのないものへの技術転用にも積極的に取り組んでいるところです。特に物流では、新型コロナの流行やトラックドライバーの時間外労働に上限を設ける2024年問題を経て、関西に大型倉庫を構える企業が増え、倉庫の自動化というニーズが急増しました。こうしたニーズの高まりに応える形で、いくつかの会社に大型設備を導入していただくことができました。
岡田 特機事業部では今、住宅関連製品を扱ってきた経験を生かし、リフォーム事業にも力を入れています。分譲マンションに向けた戸車交換サービスなどがそれに当たります。さらに修繕を主としたリフォームだけでなく、建物に新しい価値をもたらすリノベーションにも踏み出しており、空間全体の課題解決に向け顧客にどのようなサービスを提供できるか、チーム内でタスクを構築しているところです。
社会課題に向き合い、次の100年へ
地球環境への配慮や地域社会との共存など、次の100年を目指す上で、社会的な使命という視点は欠かせない。それぞれの部署が取り組む未来へのビジョンとは。
光川 輸送機事業部のミッションは、物を運ぶ技術で社会に安心・快適を提供すること。そのゴールは全自動工場の実現ではないかと思っています。まだ壁は高いですが、新しい付加価値を生み出すことにチャレンジしていくことで、日本全体の生産性を上げることに貢献し、社としての次の100年につながればと思います。
岡田 住宅自体の新規着工件数が減っていく中、メーカーからの注文に応えるだけでは事業が継続できません。事業自体をサステナブルにするために、大工不足やDX、ZEH(=ゼッチ、省エネ性能の高い住宅)など、メーカーが抱える社会課題に着目し、それを一緒になって解決するサプライヤーに転換していきたいと思っています。
長島 本業と社会貢献のセットで社会に良いインパクトを与え、結果として会社の存続や社員の幸せにつなげる循環を生んでいくことが大きな目標です。そのためには、日常の業務で組織の垣根を越えて、全社的にパワーを発揮できるような連携・体制を整えることが必須です。各事業部が自分たちの技術やリソースを新たな社会課題解決に活かしたいというときに声をかけてもらえるよう、チームの知見や外部とのパイプを強化していきながら、これまで以上に事業部との連携を緊密にしていきたいですね。