目と再生医療 両にらみ
大阪万博連携プロジェクトマネージャー 梅村健さん
読売新聞大阪本社版朝刊
来年4月に開幕する大阪・関西万博には、地元・大阪の産官学が連携して「大阪ヘルスケアパビリオン」を出展する。ロート製薬はここに参画し、目の健康を守る先進技術と再生医療が身近になった未来社会の姿を示す予定だ。大阪万博連携プロジェクトマネージャーの梅村健氏は「万博をゴールではなく、様々なことが始まる『スタート地点だった』と言える場にしたい」と力を込める。
ヘルスケアパビリオンの目玉は、訪れた人が健康にまつわる未来の技術をいくつも体験する中で、どのように身体が変わっていくかが体感できる仕掛けだ。
その中で、ロートは二つの技術を提案する。一つが目の健康を維持する新たな技術で、VR(仮想現実)ゴーグルを着けて映像を見ることで近視や老眼を抑制し、改善を促す。目の状態を調べるだけで、認知症の進行度やストレス度を判定する技術も紹介する。
ロートは目薬で知られるが、梅村氏は「目に関する研究の種まきもしていて、万博では未来感のある、そうした技術を届けたい」と語る。
もう一つが、2013年から研究に取り組む再生医療だ。再生医療では、人体の再生に使う細胞を培養する必要があるが、現在は熟練した技術者しか培養できず、コストの高さが課題となっている。
ロートは人工知能(AI)を活用し、患者ごとに適切な細胞を自動で培養できる装置の開発を進めている。完成は目前といい、万博では小型の試作モデルを展示する。
再生医療が普及すると、難病だけではなく、例えば関節痛の治療や美肌、頭髪の再生、ペットの長寿命化も視野に入る。コストが下がれば、街中のクリニックで気軽に治療が受けられる未来も夢ではなくなる。梅村氏は「通勤時に病院に寄って細胞を採取し、帰宅時に治療を受ける。そんな時代になれば」と期待する。
ロートは大阪市で創業し、今年2月に125周年を迎えた。会社の成長を支えてくれた大阪を盛り上げたいと万博への出展を決めたという。梅村氏は「万博は子どもに夢を見せる場。『日本の未来は面白く、明るいんだよ』ということを発信したい」と意気込む。
(松本裕平)