虫歯と歯周病の発生のメカニズム
歯を失う原因の約9割は①虫歯(う蝕)②歯周病(歯槽膿漏)③外傷などによって歯が割れる破折です。口の中にいる何百億もの菌の数が増えたり質が悪くなったりすると、虫歯や歯周病になります。口内の口腔フローラには良い菌と悪い菌が共生しており、そのバランスをよくすることが必要です。
虫歯の発生メカニズムですが、歯の表面に唾液中の菌が付着して層を形成し、それが分厚くなってくるとバイオフィルム(プラーク)となります。この中にいる虫歯菌(ミュータンス菌)が酸を出して歯の表面が溶けます。ある文献によると脳内出血は虫歯菌と深い関係があるとのことです。歯の病気は全身の健康にも影響するという認識が広がりつつあります。
一方、歯周病は歯茎に炎症を起こして骨が溶ける、少し特殊な病気です。歯茎と歯の境目に菌がたまって炎症が起き、ポケットができます。ポケットが深くなると菌の毒素が骨を溶かします。その菌が増えて質が変わることで歯周病になります。骨を溶かす破骨細胞が活性化すると歯茎の周りの骨が徐々に溶けていきます。骨を作る骨芽細胞というのも存在しており、歯科医師が治療で悪い菌を取り除くと、骨芽細胞が溶けた骨を再生してくれます。
様々な病気との関連性が明らかになりつつある歯周病。
適切な口腔ケアで健康維持を意識
歯周病菌によって歯茎のまわりに炎症が起きると血管が破綻します。これをつたって菌や菌の成分、炎症の成分などがほかの臓器にも移動します。そんな中で歯周病と関連する様々な病気があることが判明しました。特に糖尿病と歯周病の関連性が深いと言われています。アルツハイマー病については、原因のひとつに脳内に侵入した歯周病菌の菌体成分が脳の神経細胞を変性させて病気を発生させるという報告があります。細菌性の心内膜炎や誤嚥性肺炎にも関連性があり、高齢者施設で口腔ケアを行うと発熱を抑えられるとの報告があります。ほかにも低体重児出産のリスクも高まり、動脈硬化や関節リウマチや脂肪性肝炎、喘息、大腸がんにも歯周病菌の一部が関わっていると考えられています。
口と腸と脳は全身臓器の連関の要と言われており、口の中の健康を管理する歯科医師の重要性が増してきているのを感じています。大切なのは口の健康と全身の健康はつながっていることを意識してセルフケアを行うことです。そしてかかりつけ歯科医での定期的なメンテナンスをすること、さらに災害時の口腔ケア対策を立てておくことで、ぜひ全身の健康を保っていただきたいと思います。




