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BtoC

 「BtoC」(ビー・トゥ・シー)は、Business to Consumerの略称です。Consumerは一般消費者を指しますから「消費者向けのビジネス」、つまり、モノやサービスを一般の消費者に提供するビジネスモデルを意味します。ふだん買い物をするコンビニやスーパー、家電量販店などの小売り、ファストフード、旅館やホテル、遊園地などのビジネスは個人向けのBtoC事業となります。

 これに対して、企業(会社)向けのビジネスは「BtoB」(Business to Business)と呼ばれています。BtoCは一般消費者をビジネスターゲットとするのに対し、BtoBは企業相手に事業や商取引を行うことが特徴です。

BtoC 図解

 BtoBは取引相手も企業ですから、完成品だけでなく、歯車や半導体などの部品や木材、石油、小麦粉などの原材料の取引が多く含まれます。これに対してBtoCでは自動車や家電などの完成品を消費者に販売し、食品も加工・調理された商品が多くなります。

 物価指数には国内の企業間の取引での商品の価格変動(サービスは含みません)を指数化した「企業物価指数」と、全国の家庭(世帯)が購入する商品やサービスの物価変動を指数化した「消費者物価指数」がありますが、企業物価指数はBtoB、消費者物価指数はBtoCビジネスが大きく関係しています。

 最近の物価高は、ロシアのウクライナ侵略などをきっかけに原油や小麦などの国際価格が上昇して起き、原材料の取引が多い国内の企業物価指数は大きく上がりました。しかし、消費者物価は企業物価ほど上がりませんでした。日本銀行が企業に行っているアンケート調査(企業短期経済観測調査=短観)では、原材料などの仕入れ価格が上昇している企業の割合と、商品の販売価格(小売価格)を引き上げた企業の割合には大きな開きがあります。BtoCビジネスを行う企業を中心に、仕入れ価格が上がっても、上昇分を小売価格に転嫁できていない様子がうかがえます。

企業の仕入れ価格と販売価格に関する判断DIの推移

 小売価格への転嫁が遅れているのは、これまでデフレ傾向が長く続いたため、消費者に「商品の値段は上がらない」という意識(デフレマインド)が根付いているためとみられます。BtoCビジネスを行う企業は、「自社の商品を値上げすると、消費者からそっぽを向かれてしまう」と考え、仕入れ価格が上がっても値上げを我慢したわけです。

 23年になると、我慢できなくなって値上げが相次ぎ、消費者のデフレマインドは消えつつありますが、売上減を避けるため価格転嫁をためらう傾向はまだ続いています。値上げできずに収益が減った分を人件費の削減などで補えば、賃上げも遅れてしまいます。BtoBビジネスでも、大企業を取引相手にしている中小企業などは、取引打ち切りを恐れて価格転嫁を言い出しにくい状況があるといわれています。BtoBにもBtoCにも、賃金の上昇を伴う持続的・安定的な物価上昇の実現には、なお課題が残っているのです。

(読売新聞東京本社編集委員 丸山淳一)