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サプライチェーン

 原材料や部品の調達から生産、流通、小売りを経て製品が消費者に届くまでのプロセス(手順・過程)は、鎖〈ルビ・くさり〉のようにつながっています。それぞれのプロセスは同じ会社が担うことも、複数の会社が担うこともありますが、この関係している会社や部署も含め、この「供給の鎖」を英語にした呼び名がサプライチェーンです。

 最近は、トラック運転手などの働き方改革によって物流が滞るおそれがある「2024年問題」で登場することばですが、サプライチェーンには物流以外にも、消費者に製品が流れるまでのすべてのプロセスが含まれます。消費者が支払う対価や製品の評判などのデータは、製品の流れとは逆にサプライチェーンをさかのぼって消費者からメーカー、部品、原料企業へと流れていきます。

製造業のサプライチェーン

 サプライチェーン全体で需要予測に関する情報が共有されていないと、メーカーが製品を作り過ぎてしまい、倉庫が山のような在庫を抱えてしまったり、逆に「売れ行き好調」という消費者の情報がメーカーに届かず、生産が間に合わなくなってしまったり、といった非効率が生じてしまいます。工場が人気商品を増産しても、それを一時保管する倉庫に空きがなく、店に運ぶトラックが手配できなければ、うまく製品は流れません。

 サプライチェーンを行き来する「製品」「お金」「データ」を見ながら、全体の最適化を図る経営手法を「サプライチェーンマネジメント(SCM)」といいます。マネジメントがうまくできれば、サプライチェーンに参加するすべての会社の効率が上がり、無駄なく多くの製品を消費者に届けることができます。つまり、参加する会社の生産性をまとめて向上させることができ、そこで働く社員の賃上げなどもしやすくなります。

 参加する会社への利益配分に偏りがあるような場合はサプライチェーンがうまく機能しなくなり、仕入れや輸送代を見直すことになりますから、立場の弱い中小企業が原材料や人件費の上昇を価格に転嫁しやすくなるという効果も期待できます。政府は経済界とも連携して、サプライチェーンを担う会社が共存共栄を目指して材料費などの価格転嫁などについて協議する「パートナーシップ構築宣言」という枠組みを活用するよう呼び掛けています。

 サプライチェーンが注目されるようになった背景には、コロナ禍があります。中国での新型コロナの流行による工場の稼働休止が世界的な半導体不足につながり、日本では供給体制を見直す動きが進んでいます。国内でも新型コロナの外出制限をきっかけにネット通販(EC)やフードデリバリーが定着して、製品の販売と配送を一体化したビジネスが拡大しました。

宅配貨物運送業はコロナ禍を機に拡大した

 経済が世界規模でつながる「グローバル化」が進み、国内では家の玄関まで製品を届ける配送網が広がっています。世界と家庭をつなぐサプライチェーンを維持し、強くしていくのは簡単ではありません。サプライチェーンの強化は今後の経済再生のカギを握る大きな問題といえます。