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アルムナイ
アルムナイ(alumni)は「卒業生」という意味で、もともとOBやOGを示す言葉でしたが、自社を退職した人を指す言葉となり、最近では自社OB、OGを再雇用する「出戻り採用」を「アルムナイ採用」と呼ぶようになりました。
総務省の労働力調査(詳細集計)によると、2023年に転職した人は前年より25万人増えて328万人となり、転職希望者は前年比39万人増の1007万人と、初めて1000万人の大台を超えました。23年の正社員の転職率は7.5%と3年連続で高い水準になっています。厚生労働省の調査では、大卒新規就業者約45万人のほぼ3人にひとりは、3年以内に会社を辞めています。
最近では転職や中途採用が当たり前となり、自己成長やキャリアアップなどを目的に退職する人が増えています。こうした人たちは必ずしも会社に不満があったわけではなく、業務内容や仕事の流れなども頭に入っています。社外で経験を積んで、退職時より成長していることも期待でき、中途採用者より即戦力となる可能性が高いといえます。大企業を中心に、退職後もSNSやホームページに専用ページをつくるなどして定期的な交流や情報交換を続け、出戻り採用(アルムナイ採用)につなげようとする企業が増えています。
アルムナイは過去に会社の採用基準をクリアしていますし、すでに会社の実態を知っていますから、再雇用後に「こんなはずでは…」というミスマッチは起こりにくく、外部から雇用した中途採用社員よりエンゲージメントも高まりやすいといわれています。「戻ってこないか」という声かけもしやすく、普通に中途採用をするより採用や教育費用は抑えることができるでしょう。
また、一度は退職した社員が「再び働きたい」と出戻るのは、働きやすく、従業員を大切にする会社だから、というPRができます。「いつでも戻って来い」ということを、会社の寛大さ、度量の大きさと受け取る人もいます。アルムナイ採用は企業のブランドイメージ向上につながるメリットがあります。
一方で、退職時の急な業務の引き継ぎなどで他の社員に迷惑や負担をかけたりしたアルムナイを再雇用すると、社内に不満や反発が生じかねません。既存社員がアルムナイの採用に反発して職場全体のモチベーションが下がったり、アルムナイ採用への不満から新たな離職者が出てしまったりしては何のためにアルムナイ採用をしたのかわからなくなってしまいます。採用基準や選考プロセス、待遇を勝手に変えたりせず、採用後も既存社員と同じように接することが大切です。
会社に戻ってほしい上司が、説得材料として戻ってからやってもらう具体的なプロジェクトや人事構想を打ち明けてしまうと、結果的に社外に重要な経営情報が漏れてしまうリスクがあります。退職後も定期的な交流や情報交換を続けるコストもかかります。
アルムナイを採用するには、退職後も良いコミュニケーションを維持することが大切です。既存社員とつながりがあるアルムナイも多いですから、既存社員に中途採用の実施を周知しておくと、優秀なアルムナイを採用できる確率が高まるといわれています。これからは同僚や上司が退職したら終わり、ではなく、既存社員側もアルムナイとの付き合い方を考える時代になったということでしょう。
(読売新聞東京本社編集委員 丸山淳一)