編集委員のキーワード解説 KEYWORD
ローカル・ゼブラ企業
地域の課題解決に取り組みつつ、持続的な繁栄を目指す企業のことです。相反することが多い「企業の利益」と「社会貢献」の両立を目指すことを、正反対の色である白と黒を模様にするゼブラ(シマウマ)に例えてこの名がつきました。
ゼブラ企業はユニコーン企業とは正反対の企業として誕生しました。ユニコーン企業は〈1〉創業から10年以内の〈2〉非上場企業にもかかわらず、〈3〉独自の技術(テクノロジー)を持ち、〈4〉企業の評価額が10億ドル以上――という4条件を満たす企業です。こんな企業は神話に出てくる伝説の生き物と同様に、めったにお目にかかれないことからその名がつきました。
多くのユニコーン企業は他社と競争し、利益を重視して事業を拡大し、業績を伸ばすことを優先します。しかし、ゼブラ企業は社会の課題に対してどんな貢献ができるかを考えて行動し、「飛躍的な成長」より「持続的な繁栄」を目指します。経営の価値観や優先順位なども両者は全く異なります。
ローカル・ゼブラ企業は、ゼブラ企業のうち地方を拠点に活動する企業です。売り上げや利益を伸ばして全国展開を目指すことなく、地域に密着して課題の解決を優先しますから、大半は中小企業です。
日本には創業100年以上の企業が3万社以上あるといわれ、世界各国と比較しても企業の割合が高いといわれています。特に地方には中小の老舗企業が多く、地場企業同士で手を組み、金融機関や行政と連携しつつ、過疎や高齢化、新たな特産品の開発といった地域の課題解決に取り組みつつ、持続的にビジネスを続けています。中小企業庁はローカル・ゼブラ企業を増やし、育成していくための基本指針をつくり、地方自治体や金融機関、地方大学なども加わった支援体制を整える方針です。
成長力が高いユニコーン企業が増えることは日本経済の成長にとって望ましいことです。しかし、もうけるだけが企業の存在意義ではありません。「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」が重視され、企業活動で持続性(サステナビリティ)が注目される中で、成長や利益より地域課題の解決や社会貢献を優先するローカル・ゼブラ企業の存在意義は、今後も高まっていくでしょう。
(読売新聞東京本社編集委員 丸山淳一)