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レジリエンス
もともと「回復力」「柔軟性」という意味の英語(resilience)です。ビジネスの世界では、仕事上のストレスに強く、逆境を克服できる力がある「レジリエントな社員を増やす」といった心理学用語としても使われます。最近では、自然災害などの有事が起きた際に会社がすみやかに復旧する力を指すことが増えています。
目覚めよJAPAN Podcast12th インフラが危ない!?全国に広がる老朽化リスク
温暖化による気候変動の影響で世界的に自然災害は増加傾向にあります。日本でも過去に例がない猛暑や豪雨、大雪などの自然災害が増えているほか、南海トラフなどを震源とする巨大地震や火山の噴火はいつあってもおかしくないといわれています。
こうした大規模な自然災害が起きれば停電や断水、交通・物流網の寸断などで、企業の事業継続は難しくなります。また、高度経済成長期につくられた道路や上下水道などのインフラは今後、耐用年数に達するものが多く、大規模な災害が起きなくても途絶するおそれが高まってきています。
災害などで停電したり、物流が途絶えたりしたときに事業をすみやかに復旧・継続するための具体的な手順を示した計画を「BCP(Business Continuity Planning)」といいますが、BCPをつくる際にレジリエンスの向上を図ることが重要です。
災害のダメージからすばやく回復するためには、まず、あらかじめ被害を防止または最小限に抑える対策が必要です。具体的にはオフィスや工場の耐震化や、物流ルートの複線化などです。次に考えるべきは、それでも被害が出た時の早急な復旧方法です。工場の自動生産ラインが使えなくなった時に手作業での生産に切り替えたり、オフィスが使えなくなった時に予備のオフィスに移ったりする手順を整えておくことです。
業務に不可欠なデータはバックアップしておけば被害の最小化につながり、すぐに取り出して使えるようにしておけば事業の復旧を早めることができます。被害の最小化は企業の「対応力」、すばやい事業の復旧は企業の「復旧力」を高めますが、どちらかを高めるだけでは万全とはいえません。
応急措置で事業の継続・復旧ができても、それで終わりではありません。レジリエンス向上の理想形は、被災前を上回る水準までオフィスや工場の生産性を高める「創造的復興」を果たすことです。こうした対策にはコストを伴いますから、保険でカバーするなど、財務上の備えについても考えておく必要があります。
政府は国土強靭化の一環として、レジリエンスの向上に取り組んで一定の基準を満たした企業を認証する制度をつくっています。認証を取ると自社の広告や名刺にレジリエンス認証マークをつけることができ、取引先などにレジリエンスの高さをPRできたり、政府系金融機関から有利な条件で融資を受けたりすることができるメリットがあります。
(読売新聞東京本社編集委員 丸山淳一)