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資産効果

 不動産や株式などの資産を持つ人が、不動産価格や株価の上昇によって豊かになったと思い、消費支出を増やすことをいいます。実際に不動産や株を売却しなくても、「価格が上がったのでいざとなれば売ればいい」と考え、新たに借金をして消費に回す人も出てきます。手持ちの土地などが上昇した企業が、設備投資を増やしたり、事業を拡大したりして積極的な経営にかじを切ることも資産効果といえます。

 2025年の基準地価(7月1日時点)は、全用途の全国平均が前年比で1・5%上昇し、上昇幅は34年ぶりの大きさとなりました。東京圏をはじめ3大都市圏の上昇率が大きく、特に東京23区の住宅地は1年で8.3%も上昇しました。新築マンションの平均価格は前年同期より2割も上昇し、1億3000万円を超えています。マンション購入者の多くは投資のために購入したとみられ、大きな資産効果が生じているとみられます。

 地価の上昇によって、資産を持つ人は不動産を担保にした融資を受けやすくなり、消費や投資に回すお金が増えます。不動産価格の上昇で所有者の信用力が上がり、経済活動が活発になることを信用価格効果といいます。不動産価格が上がっても、それだけでは国内総生産(GDP)はまったく増えません。資産効果と信用価格効果は、資産価格の増加を生産や消費、投資といった実体経済の活性化につなげる橋渡しをしているわけです。
 バブル経済下では資産効果と信用価格効果によって、日本は空前の好景気となりました。しかし、ひとたび資産価格が下落すると信用価格効果は消え、先行き不安から消費も設備投資も一気に冷え込みます。資産価格の暴落で資産効果が消え、逆に不況の元凶になることを「逆資産効果」といいます。バブル経済崩壊で日本経済がかつてない不況へと突入した原因は、この逆資産効果によるものでした。

 資産効果は地価だけでなく、株価や金価格の上昇でも生じます。2025年10月には国内金価格が初めて1グラム2万3000円を超え、日経平均株価が初めて5万円を超えました 。金価格はこれまで、株式や債券などの価格が下落した時に安全な資産として買われることが多く、金価格と株価がほぼ同時に史上最高値をつけるのは異例のことです。
 土地、株、金がそろって値を上げる一方で、資産を持たない庶民は物価高に苦しんでおり、「株高不況」多くの人に好況の実感はありません。資金が流れ込んでいる現状はすでにバブルではないかという警戒感も出ており、市場では資産効果が逆資産効果に一転することへの警戒感も出てきています。

(読売新聞東京本社編集委員 丸山淳一)